「【旅②/Strange(r)を巡るストーリー/集うことの面白さ】」ストレンジャー・ザン・パラダイス ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【旅②/Strange(r)を巡るストーリー/集うことの面白さ】
ジム・ジャームッシュのデビューから6番めまでの作品は、全て旅がモチーフだと思う。
出会い/集い、良し悪しではなく、その成り行きを見つめているのだ。
そして、出会い/集い、旅するのは、僕達のことではないのか。
(※ これら6作品のレビューは書き出しが同じです。すみません。)
この「ストレンジャー・ザン・パラダイス」で、僕が一番好きな場面は、エディが空港の駐車場で、車の横にたたずみ、飛び立つ飛行機を見て、「あー、思った通りだよ!」って、嘆きながら車に乗り込むシーンだ。
僕も、案の定と笑ってしまう。
飛び立つ飛行機をエディが見上げるアングルと、飛行機の離陸したアングルが絶妙なバランスでかっこいいのだ。
そして、エヴァはモーテルの部屋に戻り....。
ハンガリーからNYにやってきたストレンジャー(よそ者)のエヴァ。
NYでストレンジャーであることを知られないようにやっているウィリー。
ストレンジャーではないエディ。
クリーブランドにいる祖母はアメリカでストレンジャーであることを隠そうともしない。誇りにすら思っている。
それぞれ異なるストレンジャーに対する立場。
この映画のタイトルは、この「よそ者」という意味の「stranger」と、これにthanを続けることによって、パラダイスより、もっと面白い(stranger)という意味で2つをかけ合わせたのではないのだろうかと、僕は思っている。
アメリカでは、悪意のある「変」という意味で、weirdが使われるが、strange の場合、どちらかというとニュートラルな感じの「変」で、不思議な感じの意味もあるから、興味深く斜めの視線で見つめられている感じだと思うのだ。そう意味では、funny とは違うのだ。
この3人プラス1(祖母)の関係は確かに見ていて不思議だし、なんか面白い。
ただ、嫌な感じでは決してない。
そして、比べられるものが、なぜパラダイスなのか。
最期のチャプターで、3人の向かう先が、憧れの温暖な地・フロリダで、そんな「パラダイス」的な印象からだと思うが、実は、そんなことは思い込みで、季節によっては、陽光なんてないし、ギャンブルで金はすられるは、麻薬の売買が横行してるわで、それこそ、weirdなところなのだ。
それより、こっちの3人の方が、なんかチグハグで不思議で、変な気がする。
ただ、この映画については、もしかしたら、この3人プラス1を受け入れるアメリカ自体が、面白いところだと、さりげなく示唆している気もする。
思いがけず、大金まで転がり込んじゃうこともあるし。
ホーキンスの「I Put a Spell on You」も無茶苦茶良いが、ウィリー役のローリーは音楽担当を兼務していて、ジム・ジャームッシュもNYのカーマイン・ストリート・ギターの常連というほど音楽好きなので、音楽にも注目してもらいたい。
いろんな感想があるだろうけど、ジム・ジャームッシュが、こうした光景を、ありのままで受け止めようとしてるようで、僕は、なんか好きな作品だ。
今晩は
貴重な情報、ありがとうございます。
今作の内容は何度も観ているので、しっかり把握している積りですが、今作を映画館で観たかどうか・・、(年齢的に、観てない気がする・・。)
センチュリーシネマで掛けてくれるというのも、確認しました。
重ねて、有難うございました。
おはようございます。
ジム・ジャームッシュ監督作品の、連続レビュー楽しく拝読しました。
有難うございます。
私、第一作は観てないんですよねえ。
どこかで、流して欲しいな・・。