アメリカン・スウィートハート : 映画評論・批評
2002年3月5日更新
2002年3月2日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
いやー、「素顔」ってスクリーンに出るもんですね?!
ラブストーリーと勘違いして出かけるか、業界コメディのシニカルな笑いを期待して出かけるか。ジュリアとキャサリンの売れっ子女優初競演作を楽しめるかどうかは、そのスタンスにかかっている。
いや、製作サイドは、映画業界が舞台のラブストーリーのつもりなのかも。でも、傲慢スターな姉に献身的に尽くしつつ、姉と破局したこれまたスターな男を密かに想いつづける健気なヒロインは、ハリウッドの女王様ジュリアが演じるにはあまりに地味すぎ! おかげで、ラブストーリーには入れ込めず、キャサリンの傲慢女優らハリウッド人種が繰り広げる、いかにもありそうなお笑いエピソードにばかり目が行くことに。
しかも、キャサリンのビッチぶりがナイス。憎まれ役でインパクトを与えつつ、最後は先輩スターを立てる役回りを引き受けるあたりにも、女優キャリアを長いスパンで考えている頭の良さがうかがえる。一方のジュリアも、健気なヒロインを演じつつ、最後はおいしいところをさらって、ハリウッドの女王様ぶりを見せつけるし。業界コメディにしては、最近の必須要素セルフパロディがイマイチ足りないと思っていたけれど。いやー、「素顔」ってスクリーンに出るもんですね?!
(杉谷伸子)