スズメバチ : 映画評論・批評
2002年10月15日更新
2002年10月26日より渋谷東急3ほかにてロードショー
これぞストロング・スタイルのフランス製アクション映画!
正直な話、大味に過ぎる最近のフランス製アクション。また某有名監督プロデュース作のようなユルい編集を見せられるのでは? ……そうタカを括って観たら、いやぁ驚いた。はっきりいって格が違う。これぞストロング・スタイルのアクション映画! と叫びたくなるような、細心にして大胆な面白さに溢れているのだ。
パソコン窃盗団、マフィアの親玉を護送する特殊警察、そして倉庫の管理人。並行して進行する一見無関係なストーリーを、さしたる台詞も説明もなくスピーディに捌いていく導入部から、監督の映画的手腕は光りまくり。しかし彼らの運命が、ひとつの限られた空間に結集してからの展開はさらに緻密。赤いレーザー・アイ以外ほとんど見えない敵(カーペンターの「ザ・フォッグ」!?)との攻防戦の素晴らしさよ!
なにより無用の映像処理やギミックに頼らず、計算されたカット割りと綿密なモンタージュでサスペンスを構築してみせる志が潔いじゃないか。ジョゼ・ジョバンニ的同志愛も男心に突き刺さるブノワ・マジメルとサミー・ナセリが、「荒野の七人」のテーマを口笛する理由……それはまっとうな映画的アクションを創ってみせるぜという新鋭監督の決意表明に他ならないのだった。
(ミルクマン斉藤)