「根本要のレビューはあるのか?」スターダスト(2007) kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
根本要のレビューはあるのか?
『ロード・オブ・ザ・リング』以降、この手の映画なら売れる!と、次から次へと公開されているファンタジー映画。そんな中、アメリカで「まるで宮崎アニメの実写版を見ているようだ」と評された作品が登場しました。宮崎アニメファンとしては、なんとか貶してやりたいと鑑賞に臨んだわけですが、途中でそんなことは忘れてしまいました。
いきなりドカーンと地上に落ちてくるクレア・デインズ。飛行石を持っていなかったためシータのようにゆっくり落ちてはくれませんでした。だけど生きている・・・なんと、彼女は人間ではなく“星”だったのです。なぜ流れ星となって落ちてきたのだろう?ピーター・オトゥール王の投げたルビーがぶつかったから?拾ったクレア・デインズをプレゼントするのか?星を見つけて彼女にプレゼントするという、主人公トリスタン(チャーリー・コックス)の純粋な心とは逆に、邪悪な疑問だらけの心となってしまいました。
最後には戦うこととなる主人公ではありますが、なにしろ星をウォール村に持ち帰ることが目的であるため、彼女を狙っている魔女と王族がいるなんてことは全く知りません。また、襲われても戦う力なども持ち合わせてないのです。三つ巴の攻防戦になり、主人公は漁夫の利を得るのかと思わせておいて、さらなるキャラクターが登場する面白さ。異色の設定の上に予想外の展開は大人でもワクワクしてしまいます。
魔女には『ヘアスプレー』での演技が記憶に新しいミシェル・ファイファー。空飛ぶ海賊に『グッド・シェパード』のロバート・デ・ニーロ。この名優2人の怪演によって映画の質がグ~ンと上がっちゃいました。海賊の名前はキャプテン・シェイクスピア。名前を聞いたときのクレア・デインズは『ロミオ&ジュリエット』を思い出したのでしょうか?ついでに『恋におちたシェイクスピア』を思い出して、グウィネス・パルトロウと似てることを自覚したのでしょうか?と考える暇もなく、ロバちゃんのオチに笑わせていただきました。
全体的には子供でも楽しめるファンタジーなのですが、王位継承権争奪の醜さといった奥深さもあったような気がします。そして、ところどころに笑わせるところも・・・。もちろん謎は残ります。“バビロンのロウソク”をもっと有効に使えばいいのに!とか、その後のイヴェインが粉々になってしまったんじゃないかとか・・・根本要のレビューはあるのか?とか。
【2007年10月映画館にて】