劇場公開日 2006年10月21日

スネーク・フライト : 映画評論・批評

2006年10月10日更新

2006年10月21日より有楽座ほか全国東宝系にてロードショー

ヘビに執着した作り手たちの情熱とガッツに脱帽

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原題は「SNAKES ON A PLANE」。これさえ聞けば内容が丸分かりの優れもののタイトルである。“SNAKES”と複数形になっているのがミソで、何と数千匹ものヘビがハワイ発ロサンゼルス行きの旅客機内で大暴れ。浜辺のビキニ美女を映し出す冒頭からして、頭を空っぽにさせてくれるパニック・アクションだ。

まずは小手調べとばかりに機内のトイレでエッチ中の女の子のボイン(笑)に食いつき、男の大切なアソコをガブリ! そして目やノドなど、人間サマの急所を容赦なく狙い噛みするヘビ軍団の猛威が描かれる。発想はとことんB級ながら、CGと本物の区別がつかないそのリアルさ、パワフルさはあっぱれ。パイロットまでがヘビの餌食になって操縦不能に陥る怒濤のストーリー展開も、航空パニックもののツボを押さえている。

ヘビ年生まれの筆者が言うのだから間違いないが、基本的にヘビは地味でおとなしい生き物である。なぜそんなヘビどもが暴走するのかという疑問も、犯罪組織がフェロモンを嗅がせて発情&凶暴化させたという設定で解消。サミュエル・L・ジャクソン扮する命知らずのFBI捜査官が「ラリったヘビが相手かよ!」と呆れ返るセリフに大笑いだ。さらに何とかマンバ、何とかパイソン、何とかコブラと、世界中のあらゆる種類のヘビをわざわざ登場させ、地上のヘビ博士に多彩なウンチクを語らせる描写も心憎い。健気な女性乗客が毒を吸収しないようオリーブ油を口に含み、ヘビに噛まれた子供の傷からドロドロの膿を吸い出すシーンなどもいちいち強烈だ。

かくもヘビに執着した作り手たちの底なしの情熱とガッツに脱帽の一作。上映中に最低20回は「オェーッ!」と観客を呻かせ、なおかつスカッと爽快な後味を提供する。そんな離れ業をやってのけた“前代未聞”の快作である。

高橋諭治

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