旅するジーンズと16歳の夏 : 映画評論・批評
2005年10月4日更新
2005年10月1日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー
歴代ガールムービー屈指の感動度
体型の違う4人の少女の誰にもジャストフィットする不思議なジーンズ。そのファンタジックなモチーフのおかげで、夢見る女の子向けのお子様映画を想像しがち。しかし、実はこれが、歴代ガールムービーのなかで屈指の感動度の掘り出し物。幼なじみ4人が16歳の夏にそれぞれに向き合う、出逢いと別れ、家族の絆、初めての恋など、描かれる題材は青春ストーリーの定番中の定番。何が取り立ててどうということはないのに、びっくりするほど心が震える。それは、きっと、ひとつひとつのエピソードにリアリティがあるから。もちろん、わかりやすいキャラ分けはあるが、大人への階段に立つ少女たちが抱える怒りや不安、悦びやときめきが、実に丁寧に描かれていて、ティーンムービーにありがちなお手軽感ゼロなのだ。
しかも、日本ではまだ無名の女優陣も、意外と実力派揃い。一歩間違えると学園ドラマのワガママ女王様になりかねないキャラを、その欠点も含めて輝かせて、スターの予感十分の美少女ブレイク・ライブリー。「シン・シティ」とは別人のようなアレクシス・ブレーデルなどなど。5年後には「スターたちの原点」としてカルト作品になる可能性大。いや、今、観ておいてくれないと、語り継がれなくなっちゃうんだけど!
(杉谷伸子)