劇場公開日 1950年4月30日

「【黒沢明監督が当時のイエロー・ジャーナリズムに憤慨して製作した作品。だが、今作を観ると現代でも同じだな、と思った作品であるとともに、初めて観た山口淑子さんの日本人離れした美貌にビックリした作品。】」醜聞 スキャンダル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【黒沢明監督が当時のイエロー・ジャーナリズムに憤慨して製作した作品。だが、今作を観ると現代でも同じだな、と思った作品であるとともに、初めて観た山口淑子さんの日本人離れした美貌にビックリした作品。】

2025年5月22日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■画家・青江一郎(三船敏郎)は、オートバイで出掛けた雲取山周辺でスケッチを描いている時に人気歌手・西條美也子(山口淑子)と出会う。
 オートバイで彼女を送った青江は同宿した宿の欄干に凭れ、談笑しているところをカメラマンに撮影され、でっち上げられたラブロマンスが雑誌に掲載されてしまう。
 激怒した青江は雑誌社”アムール”に乗り込み、編集長、堀(小沢栄)を殴ってしまう。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・スキャンダルをテーマにした映画は、今作後も多数公開されている。印象に残っているのは福山雅治主演のパパラッチサイドから芸能界を観た「SCOOP!」や洋画でも、ずばり「スキャンダル」という題名のセクハラを扱った映画が記憶に新しい。

・今作では、ストーリー展開はシンプルであるが、青江の弁護を買って出た冴えない弁護士蛭田を演じた、名優志村喬の演技が矢張り図抜けていると思う。
 弁護を請け負ったは良いが、病弱な娘のために被告側の堀から十万円の小切手を貰い、裁判でもオドオドしながらロクな弁護が出来ない姿。

・だが、圧倒的な不利な状況の中、その娘が青江の勝利を信じながら亡くなった後に、蛭田が最終公判の際に、自ら証言台に立ち堀からの賄賂を受け取った事を叫ぶように告げるシーンは、印象的である。

<今作は、劇中の台詞である”幸福な人を、不幸にすることは面白いらしい。”という大衆心理を描きつつ、イエロー・ジャーナリズムの在り方について、厳しく描きつつも根本は人間性肯定の立場に立った、黒沢明監督の脚本が冴えわたる作品である。>

■年代的に、山口淑子さん(李香蘭)の名は知ってはいたが、初めて鑑賞した。そして、原節子さんと並ぶ日本人離れした洋風の風貌にビックリしたモノである。
 因みに私は、”夜来香”が歌える。
 若き頃に、中国出張時にこの歌を歌うと中国の交渉相手の会社の年配の重役さんからムッチャ受けたからである。(我ながら、嫌らしい・・。)
 そして、今作を観て、今更ながらに山口淑子さんの波乱万乗の人生を綴った本を読みたくなってしまったのである。

NOBU
Mr.C.B.2さんのコメント
2025年5月23日

NOBUさんのレビュー読んで、リバイバルされた時に見ているはずなのに、「静かなる決闘」以上に記憶に無い!全然覚えてないのがショック!!他の黒澤作品みたいに繰り返して観ていないからかな。

Mr.C.B.2
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