姿三四郎のレビュー・感想・評価
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【痛快柔道活劇&純朴柔道家青年の成長物語。これは、面白いや!ヤッパリ凄いな、黒沢明監督は!】
■柔術家を志して上京した姿三四郎は、修道館の矢野正五郎の柔道に魅せられ弟子入りする。
矢野の元で厳しい修行を重ねた三四郎は、「修道館の四天王」と称されるほど強くなるが、慢心による思い上がりから無頼の徒を相手に大乱闘を起こしてしまう。
◆感想
・初鑑賞である。
・素直に柔道の試合のアクションシーンには驚く。
ー 山嵐って、アンナに豪快な投げ技なんだ!-
・美しい女性の鼻緒が切れた時には、自分の手ぬぐいをちぎって直してあげる三四郎。だが、その女性の父親が対戦相手の村井半助(志村喬)と知って悩むも、試合になれば手加減なし。
ー 村井の投げられても、投げられても起き上がる姿。漢だなあ。そして、試合後には三四郎は村井を見舞うのである。それを快く受け入れる村井と娘の小夜の姿。-
<因縁の相手、檜垣源之助(月形龍之介)との薄が原での決闘のシーンの流れゆく雲や激しく吹く風の効果的な使い方や、ショットの見事さよ。
今作が初監督作品とはとても思えないです、黒沢明監督。
今作後、世界に名だたる凄い監督になった事が良く分かるデビュー作である。>
"黒澤くん、120点満点だよ"
天才はデビュー作からして天才‼️黒澤明監督に並ぶのはジョン・ヒューストン、シドニー・ルメット、ルイ・マル、ペドロ・アルモドバル、クエンティン・タランティーノ、宮崎駿くらいじゃないでしょうか。姿三四郎という作品自体は宮本武蔵の影響を受けているのは明白で、三四郎と矢野正五郎は武蔵と沢庵、三四郎と小夜は武蔵とお通、三四郎と檜垣源之助は武蔵と佐々木小次郎‼️そして三四郎が池に飛び込む(蓮の花の美しさ)は武蔵が千年杉に吊るされる、三四郎と源之助の右京が原の決闘は武蔵と小次郎の巌流島の決闘‼️この決闘における吹きすさぶ風や雲の流れや草のそよぎ、アクションシーンにおけるスローモーションの活用、下駄を使った時間処理など、その天才ぶりを遺憾なく発揮されております。神社の石段でのさわやかなラブシーンも本当に素晴らしい。そして試合のシーンも一つ一つの試合ごとに違った柔道の技、間合い、構図やカット割りなど工夫に工夫を重ねる黒澤明監督の姿が頭に浮かびます。出演者たちも藤田進さんはもちろん、闇討ちシーンのアクションが見事な矢野正五郎役の大河内伝次郎さん、まさに女神ともいうべき轟夕起子さん、源之助役月形龍之介さんの悪役ぶりも最高‼️初公開当時、この黒澤明監督のデビュー作を観た小津安二郎監督の言葉 "100点満点として黒澤くん、120点だよ"。胸が熱くなりますね‼️
かつて「果し合い」は、あった…
現在は「野試合」や「果し合い」は、法律で禁じられている。
つまり、果し合いを柔道で行って物事の決着をつけるというのは、
過去には確かにあったので、日本男児に「武士道」や「大和魂」が
ほぼ無くなった現在においては、この作品はファンタジーとして
語られるのであろう…
K-1、プライド等の格闘技ブーム時にリングに上がっていた男の
日本人選手は、簡単に金儲けができるのが一番の理由で
「武士道」や「大和魂」を復活させる気は、皆無だった…
だから格闘技ブームは、日本列島を元気にしてくれなかった…
「野試合」「果し合い」を過去の映画に見て、それを懐かしむ事しか
無いのであろう…
そのままアニメにすれば
物語自体は大したことないですが、黒澤監督っぽい(?あまり見てないが)手法が存分に楽しめます。
一枚の絵を構図重視で、わざとらしくも大胆に魅せます。現代で言う庵野秀明のように。
だったら今のアニメーションでもいけそうですね。
もうちょっとカット割ってBGMつければ。
才能を感じる作品。
カメラワークと構図の面白さだけでも十分に才能を感じさせる。その上、スローモーションや早送りなど当時まだ使われていなかった表現も含んでいる。俳優の起用も的確。もしも新人がこの作品を作ったら「あっ」と驚くだろう。そして1943年にみんなあっと驚いたのだ。
・・・物語としては原作のほうが面白いので脚本はとくに褒められない。まぁ原作どおりと言っていいだろう。
白黒写真が美しいですね。私は写真が趣味なので分かるが、現像の技術が素晴らしい。フィルムでしか出ない味ですね。多分、現在の職人では再現できないでしょう。フィルムが滅び行きつつあるのはとても残念です。
★伝説のはじまり★
子供の頃、テレビドラマの勝野洋主演1978年版姿三四郎を観ていましたが、今思うと、矢野正五郎が露口茂、檜垣源之助が沖雅也、竜雷太も出演しており、まるで太陽にほえろのような配役だったんですね。
シネ・ヌーヴォで、黒澤明映画祭を開催していて、71年前の映画を劇場で鑑賞することができて非常によかったと思います。
観終わったあとに、最長版(91分)の存在を知り、急きょ最長版を収録されているDVDを購入し鑑賞しました。
公開当時97分ですので、6分の失われたシーン、それにスタッフらがお遊び出演したとされる列車内のシーンなど今後、発見されることを祈ります。
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