「なんかよく分からない」千と千尋の神隠し kalichan88さんの映画レビュー(感想・評価)
なんかよく分からない
ちょっと田舎に引っ越してきた千尋と両親。新しい家へ着く途中に横道に入ってしまう。突き当たりにあったのは寂れたテーマパークの残骸のような場所。界隈で人気のいない料理店の料理を勝手に食べ始めた千尋の両親は、夜になると豚に変身していた!帰り道を閉ざされ途方にくれていた千尋をハクという少年が助けの手を貸す。神々が集う大先頭で湯婆婆のの下で働くことになる…。千尋は両親を救い無事現実の世界へ戻れるのか。
とても不思議なお話で、何をしたから何になる、という明確な話の展開もないまま、その場その場で話が続く様はまるで児童書を読んでいるような感覚。ふわふわしてて、最後に「?なんか気がつけば丸く収まっているなぁ」と狐につままれたような気分になる。それが狙いなのかどうかは分からない。
描写や世界観などは素晴らしく、千尋の微妙な少女の動きは本物感がでている。下る階段が怖いんだな、とか、どろどろで足元が動かしにくいんだな、とか。花の壁を進んでいく時の描写が綺麗だな、とか。映像と表現力は素晴らしいのだが、だから話も素晴らしいのかと言えば頭をかしげる羽目になる。
例えばよく分からないのが、坊は何故外に出てはいけないのか。(ネズミになって平気に外に出ていた。)坊は赤ん坊なのか?(それにしてはちゃんと喋る。)湯婆婆は外に鳥となって出て行ってどこで何をしているのか。なぜ銭婆は「恐ろしい人、一人で会いに行ってはいけない」と言われているのか(全然怖くないのに。寧ろむちゃ優しい人なのに。)、ハクが血を吐くようなズタズタな姿になっていたのは、あれは殺されかけていたわけであり、銭婆はハクを殺そうとしていたのか。ハクは結局何に殺されかけていたのか。(銭婆に?それとも湯婆婆に?)ハクはなぜ人間の格好をしているのか。結局何が千尋と両親を救ったのか?(ハクが契約破棄を願ったのでハクが実質救ったことになるのか?千尋がハクを思い出したから両親を救えたのか?そんな感じはしなかったけど。)両親を救うという方法が曖昧で、目的や解決法としての明確さなくモヤモヤする。
きっと上記に上げた「?わからん」と思うことは説明しなければならないほど大切なことでもなく、自分で好きに考えてくださいということなのだろう。それぞれが「これは、こういう意味だ」と思えば、そういう意味なのだろう。もうこの映画全体が好きに受け取ってくださいというもので、そういうタイプの映画なんだなと思うしかない。私からすれば、真面目に観れば観るほど話の構成に行き当たりバッタリ感を感じてしまい、ちょっと投げやりなんじゃないのとも思うが、それは好みの問題であり、他の人が「いや素晴らしいよ、すごく気に入ったよ」というのなら、確かに面白い映画だね、とは思う。きっと、どこか部分部分で、観ている人の心に響くものがあればいいなぁと思って作られたのだろう。