「詭弁」英雄の条件 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
詭弁
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そもそも戦争に人道主義を持ち込むのは大矛盾なのだが平時の世論に合わせる詭弁としてまかり通っている。軍規では非武装の民間人か武器を持っていたかが論点となる、見せられるシーンも意図的で観客を翻弄するつくりである、さらに証拠の監視カメラテープが隠匿されているので被告の残虐性に言及するなど裁判の体を成さない。武器は残っていなくとも大使館の壁面を見れば凄まじい銃痕から状況は推察できよう。
正すべきは勝手な思い込みで証拠を確かめようともしなかった大統領補佐官の失態だろう、補佐官以外に国務省の誰もテープ内容を確認していないのも不自然だ。見てさえいれば武装攻撃であったことが証明されるのだから一軍人に責任転嫁する愚を犯さずとも釈明できる。もっともそれとアメリカの中東政策の是非は別物であるが。
都合が良ければ英雄として持ち上げられ不都合になれば殺人鬼と切り捨てられる軍人の悲哀を問う意味ではランボーとも通じるが古今東西、権力の根本構造は変わらないのだろう。
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