「【”人、生を受けたら志あるべし・・。”男として、ここまで女性に想われたら本望だろうな、と思った恋物語。若きチャン・イーモウ監督の気概が伺える作品でもある。】」初恋のきた道 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”人、生を受けたら志あるべし・・。”男として、ここまで女性に想われたら本望だろうな、と思った恋物語。若きチャン・イーモウ監督の気概が伺える作品でもある。】
ー 1958年、中国の農村地帯。文盲のヒロイン、デイを演じたチャン・ツィイーの町から来た当時、先進的な思想を持っていたルオ先生への思慕する気持ちが現れた、初々しい笑顔が忘れ難き作品。ー
・物語は老いたデイの息子が、父の訃報を聞いて、久しぶりに村に戻るシーンから始まる。
・デイは、愛する夫の亡骸を、村の慣習により、人力でお墓まで運ぶ事を譲らない。そして、亡骸を包む織物を古い機織り機で織り始める・・。
■ここから、物語は若きデイ(チャン・ツィイー:今や国際的な女優であり、美しさは健在である。)が、村にやって来たルオ先生の容姿と、村の子供たちに教える素敵な声に恋をし、一生懸命に彼のために食事を用意する姿が描かれる。
そして、劇中では敢えてハッキリとは描かれないが、ルオ先生が反共産思想を持つ事により、屡、町に戻される事が描かれる。
だが、そんな事情を知らないデイは、雪降る中で、先生が帰って来る日を待っている。例え、高熱を出そうとも・・。
・そして、雪舞う中、各地から訪れたルオ先生の多くの教え子たちが、棺を担ぐシーンは沁みる。
- ルオ先生が、如何に生徒達に慕われていたかが、一発で分かるシーンである。
・更に、大勢の寄付金により、学校が新しく建て替えられることが決まり・・。デイの息子が一日だけではあるが、父の意思を継いで教壇に立ち、父と同じ良く通る声で、生徒に教鞭を振るうシーンも心に残る。
- 老いた、デイが亡き夫に掛ける言葉も心に沁み入る。-
<近年のチャン・イーモウ監督や、ジャッキ―・チェンの中国を統べる男に阿る姿勢を批判する人が多数いるのは承知しているが、私は彼らが映画文化(ジャッキ―・チェンの場合、一国二制度を蹂躙するプーさんに対し、香港映画文化を守るためだと信じたい。)を守るために、一時的に阿る姿勢を取っていると信じたい。
何故なら、若きチャン・イーモウ監督は今作を始めとして、当時反共産思想を滲ませた映画を制作していたのだから・・。>