劇場公開日 1959年

「陪審員だけでなく、直接出てこない弁護士の問題」十二人の怒れる男 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0陪審員だけでなく、直接出てこない弁護士の問題

2013年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

難しい

総合:80点
ストーリー: 75
キャスト: 80
演出: 85
ビジュアル: 65
音楽: 65

 1つの部屋の中でおきているわずかな時間のことが、立派な映画として成り立った。裁判ものにはずれなし、の格言に当てはまる1つ。

 この中で陪審員が有罪か無罪かを決めるのだが、陪審員の先入観、差別、判断力などが問題になる。
 それはもうさんざん議論されているのでここでは置いておいて、私が引っかかったのは映画では直接出てこなかった裁判そのもの。弁護士はろくな弁護をしていないのが陪審員の話からわかる。黒人のチンピラの事件などいちいちまともに裁判などしなかったのだろう。結局フォンダは少年の弁護士役を陪審員室の中で証拠も現地調査もなく推理だけで勤め上げたことになる。そしてそれはその程度でも有罪でないと明らかに出来るほどの、実は何でもないくだらない内容の裁判であった。弁護士が最初から調査をして真面目に弁護をしていれば問題にすらなってなかった可能性もある。
 先入観、差別、判断力などの陪審員たちが映画の中で話した問題は、本来は駄目弁護士が裁判で明らかにすべき問題でもあった。その代わりにフォンダが陪審員室で弁護士役をこなした。映画の中の陪審員たちの会話の中でもあったように、先入観や人種差別が本来機能すべきはずの制度をしっかりと機能させず、司法の問題点ばかりでなく人々の中にも潜む問題点を明らかにしている。この時代の裁判などこのようにいいかげんなものだったのだろう。

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Cape God