パフューム ある人殺しの物語のレビュー・感想・評価
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堕天使のきまぐれ? 彼は人間ではない・・・
ジャン=バティスト・グルヌイユは、堕天使のきまぐれで
人間界に送りこまれたモンスターだったのでは・・
彼には体臭がない、それは彼がこの世のモノではない事を
暗にほのめかしているのではないだろうか。
彼が存在した痕跡を消すかのように、彼にかかわった人々は
次々に非業の死を遂げていく。
そして彼は、刷り込まれた使命を果たすように、
究極の香水の材料として少女達を殺し、体臭を集めていく。
私は神様についてはあまり知らないので、ひとりよがりの妄想に過ぎないが
彼の作り出した香水は、アダムとイヴが食べた「善悪の知識の実」の
解毒剤でもあったのではないだろうか?
広場いっぱいに繰り広げられる交歓絵図は、エロチックと言うよりは
神の楽園に住んでいた頃のアダムとイブのように、無邪気に
ただお互いを求め愛し合う姿のようにも思えた。
そして、解毒剤のききめは短い・・・
彼の香水にひれふし互いに睦み合う人々を見ている内
堕天使の意図しなかった、
赤毛の果物売りの少女を人間として愛したかったという感情が、
彼の中に芽生えてしまったのかもしれない。
彼は自らを消滅させる為、生まれた場所へ戻っていく。
堕天使の指示は、世界を手中に収める事だったのかもしれないが・・・
音楽と映像そして主役のベン・ウィショーが素晴らしい。
怖くて美しい作品
思っていたより…
好き嫌いはあるかもしれません
香水がキーワードということで、映像と音楽で香りを見事に想像させます。
○○の甘い香りにドキドキしたり、魚市場のシーンは非常に臭そうだったり。香水の調合が進むごとにオーケストラのパートが増えていく手法が非常に素晴らしいです。この劇中音楽は、ベルリンフィルが演奏しているそう。
主人公がある目的から連続殺人をするのですが、神出鬼没過ぎて恐ろしいです。女性側の視点のシーンはまるでジェイソンかなんか見ている気分に。
でもこの主人公、極悪殺人犯だというのにどうにも憎みきれない。動機があまりにも純粋だからでしょうか?まるで子供みたいで。主役のベン・ウィショーは怪演。ひょろりと伸びた首に小さい頭が載っていて、目を見開いてペタペタ歩く。その幼さも感じさせる一種異様な姿は、役柄そのものでした。
終盤の予測できない展開にハラハラさせられました。中盤あたりの想定範囲内のストーリーも、狙われた女性の父親(アラン・リックマン)に感情移入させることで、ハラハラ感を高めてきます。
ハンカチで弧を描き香水を群集に嗅がせるシーンがもっとも印象に残りました。群集がバタバタ倒れていく様子は笑っちゃうけれどしびれます。
そして最後に主人公の強烈な孤独を見ました。
突っ込もうと思えばいくらでもって感じではあるんですが、たまに笑いを堪えながらも引き込まれました。
好き嫌いはあるかもしれません。
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