「現実と、虚構と。」パプリカ 阿久津竜斗さんの映画レビュー(感想・評価)
現実と、虚構と。
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今敏監督による日本のSFアニメ映画、『パプリカ』。のちにクリストファー・ノーラン監督が、自身の『インセプション』で影響を受けたと語るほど、影響力の強い作品です。
今回久しぶりに観てみて、やはりあの独特な世界観に洗脳させられました。癖の強い絵柄と、不気味な作画がなんとも印象的で、さらにそこに平沢進による独創的な音楽が挿入されることで、ホントに夢の世界に入ってしまったような感覚になります。
ところで私は、よく夢を見る人間なのですが、「あっ、これ夢だわ」って思ったことが一度もありません。夢の内容は覚えているものが多いのに、どうしても起きた瞬間に「あっ、なんだ夢か」と落胆するか安心するかしかないのです。せっかくなら「これは夢だ」と自覚して好き放題出来たらいいのに。夢の中ですら夢を見させてもらえないなんて、そんなの現実となんら変わらないじゃないか──と。
しかし千葉敦子は〝夢の中〟でだからこそ、時田浩作と仲直りして、結婚にまで至ったわけで。やっぱり夢の中でも精一杯〝現実〟をやらなくてはいけないのかもしれぬ。現実でも夢でも妄想でもなんでもいいから、とりあえず奮闘して、自分と真っ向から向き合えと。そんなことをこの『パプリカ』は教えてくれた気がします。
何言ってるか分かんないヘンテコな文章になってしまいましたが、ひとまず今作は間違いなく傑作だったということで、以上。
【個人的キーワード】
「非人間的な現実世界にあって、唯一残された人間的なるものの隠れ家──それが〝夢〟だ」
──乾精次郎の言葉より
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