「なんで猿なんですか?!」パプリカ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
なんで猿なんですか?!
感動を覚えた『千年女優』でのクライマックスパターンが冒頭から惜しげもなく使われているような感じでした。見事なコスプレチェンジ。これはもうキューティーハニーどころではありません。また、何度も繰り返し出てくる夢の中の不可解なシークエンスは、そのままデジャヴュ効果として現実にも投影される。人間の深層心理を探るフロイト(よく知りません)の夢判断みたいな内容だと思っていたら、流行のタイムスパイラルムービーのようでもあり、「それがそこに繋がるのか」などと妙に感心してしまいました。
筒井康隆の原作本は映像化不可能とも言われたらしいですけれど、逆もまた真なりで、このアニメを文章化するのは不可能なんじゃないかと・・・夢と現実、そして時間が4次元的に絡み合って、なんとも不思議な気分にさせられるのです。他人の夢の中に入って体験を共有するなんてことは恋人同士であれば夢のようなおとぎ話のようですけど、見知らぬオッサンに自分の夢を牛耳られるかと思うと腹立たしくなりますね。ましてや、コンプレックスを抱えたゲイが侵入してくるとなると身震いしてしまいそうです。
夢と現実を行ったり来たりする映画はいくつもあると思いますが、観客が混乱してしまうという欠点もあります。ましてやこの作品では、現実の世界にまで夢が進出してくるのだから、さあ大変です。三種の神器や自由の女神がパレードしてるんですもん、混乱を通り越して発狂してしまうおそれもあるのです。ただし、スピーディな展開と拳銃を持った刑事も絡んでくるので、『エルム街の悪夢』のように緊張感を醸し出し、多少はパプリカちゃんに萌えさせてくれるために何とかついてくことができました。
『ローマの休日』や『地上最大のショー』といった映画の看板もいっぱい出てくるし、数々のアニメや映画へのオマージュがあるので飽きることはありません。特に氷室の部屋が『ブレードランナー』じゃないかと気付けば監督は大喜びするらしいです(公式ブログより)。ちょっと物足りなかったのは音響効果でしたが、その他は満足でした。で、続きはどうなるんだ?