劇場公開日 2001年10月6日

陰陽師 : 映画評論・批評

2001年10月1日更新

2001年10月6日より日劇東宝ほか東宝洋画系にてロードショー

他の日本映画とは一線を画す、ノーブルなおかしみ

陰陽師とは、例えば、「陰陽道叢書全四巻」(名著出版)とは言いませんが、荒俣宏著「陰陽師ロード」(平凡社)を読めばわかるように、本来は、闇の力を自在に操るダークな存在です。しかし今では、岡野玲子の漫画のお陰で、神秘的でさっぱり系美男子の晴明像が世に広まりました。

もちろんその線で、今回の野村萬斎の晴明役があるのですが、これがまあ、意外でもなく、ぴったりなのです。稲垣吾郎的な自意識がまるでない。萬斎という人は、フラットで晴れやかなバカの役を実にエレガントに演じる狂言師なのですが(彼の「千切木」の太郎役など最高です)、闇とか呪いとかアレコレ言うわりに、それは明るい晴明さまでして、その天性の朗らかさに、まず惹きつけられてしまいます。

もっとも、映画自体は唯の学芸会です。安っぽいCG、スカスカの平安京、ユルユルのアクション……。まあ、これぞ滝田監督と、強弁してもいいのですが、この学芸会に大人料金は払いたくないかもしれません。ただ、萬斎はじめ、真田広之、伊藤英明と、男子が実にいい。彼らの嫌味のない素直な演技には、本人自体が笑っているようなノーブルなおかしみがあって、ウザくて貧乏くさい今時の日本映画とは一線を画しているのです。

(日下部行洋)

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