「やっぱり優しいニック・カサヴェテス監督」きみに読む物語 凛々シストさんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱり優しいニック・カサヴェテス監督
『私の中のあなた』のニック・カサヴェテス監督によるアメリカ(ハリウッド)らしいと言えばそれらしい恋愛映画。
しかし、純愛物のベストセラー小説が原作だからだとか、そういう肩書きはどうでもよくて、『私の中のあなた』同様、ニック・カサヴェテス監督の映画は、重いテーマを題材としながらも、どこか暖かく、観る者を包み込むような優しさを秘めている。
ただ単純に「あぁ素敵やな、こんな恋愛だったり、こんな老後もありなのかもしれないな」と、思いました。
相手役がアルツハイマーだとか、それだけなら韓国映画の「私の頭の中の消しゴム」とかで、全然泣けるんですよ。
「私の頭の中の消しゴム」は、アレはアレで素敵な作品やと思うし、大好きな映画です。
しかしこの映画に流れるテーマは、あくまでも365日手紙を送り続けたり、美しく若い時であろうが、老いて老けて見た目も変わり病気で記憶が無くなり自分という人間を忘れられようが、永遠に愛するという純愛、それだけなんですね。
アルツハイマーだとかは、結果でしかなくて、だから嫌いになるとか、そこに涙があるわけではなくて、そこにあるものは、溢れんばかりの一途な愛。
観ながら確かに涙もあるんやけども、観終わった後にあるのは、ある種の清々しさなんですよね。
潔いまでのアメリカ映画ぶりと言いますかね。
純粋に愛を読む男性に、純粋に愛を聞きたがる女性…
だからと言って、アルツハイマーという現実は変わらず、特に奇跡がおこるようなこともなく、その後に関して辛いことや苦悩もあるであろう含みを現実として捕らえて残しているんですよね。
泣けるとか感動できるとかは別物として、現実を優しく包み込む器量こそに、深く感銘を受ける映画でございますし、単純に素晴らしい恋愛ものの映画です。
また、レイチェル・マクアダムスが、美しい!
純愛もののラブストーリー系の映画が大好きという女性の方は勿論のことながら、男性が観ても全然イイ映画だと思うし、世代も問わないので、結局、老若男女問わずオススメできる映画でございます。