きみに読む物語 : 映画評論・批評
2005年2月1日更新
2005年2月5日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてにてロードショー
世界は純愛を渇望?アメリカ版セカチューが登場!
一途に人を愛することや喪失感を切々と描き、人々の涙を絞ったセカチューこと「世界の中心で、愛を叫ぶ」。世界各地で戦争が続き、将来に夢が持てないこのご時勢、人々は「純愛」に涙したいのだとつくづく実感した。と、そこに登場したのがこの映画だ。老人ホームで老人デュークがアルツハイマーの老女アリーに本を読み聞かせている。それは、40年代にさかのぼる令嬢アリーと貧しい青年ノアの身分違いの恋の物語だった。
ニコラス・スパークスのベストセラーの映画化、身分違いの恋、未来を阻む障害、読まれなかった手紙……、とセカチューと共通する泣かせるアイテムがズラリ。男女2組の物語を時制を交錯させながら展開する構成も類似していて、まさにアメリカ版セカチューなのだ。
セカチュー風味満載なので展開はかなりベタ。なので辟易する人もいるかもしれないが、若い恋人を演じるライアン・ゴスリング&レイチェル・マッカダムズのフレッシュな演技は必見だ。全身全霊をかけて人を愛し、傷つく2人の姿に誰もがかつての自分を重ね、失ってしまった情熱や純粋さを懐かしむはずだ。永遠に続く愛なんてケッと思う反面、あって欲しいと心密かに願う自分に気づきもし……。「自分、ロマンチストですから」と開き直るくらいの気持ちで対峙したいラブストーリーなのだ。
(山縣みどり)