誰も知らないのレビュー・感想・評価
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隠れて暮らすメリットとデメリット
是枝裕和監督作品『万引き家族』も好き。
YOUさん演じるお母さんは可愛らしい人だけど、実際何を考えているのか彼女視点で生い立ちから全てを観てみたい。
誰でも隣の芝生は青く見えるし、ないものを欲しがる。思い通りにいかないこともあれば、楽しいこともある。
隠れて暮らすメリットとデメリットを考えさせられた。
役者柳楽優弥の誕生。
劇場公開時鑑賞。
登場場面は少ないが、YOUがいい仕事してる。
柳楽くんが立派に成長してすごい役者さんになっているのを観るたびに、その誕生の瞬間に立ち会ったんだなあと、もはや親戚のつもりになってしまう。
こんなの特殊な話でしょ、と言いきれない方向にどんどん向かっているのがやりきれない。
酷い母親
リアル
一番印象に残ったのは警察に行くことを勧められた明が、4人でいたいから行きたくないと言ったところだ。映画を観る中で私は、早く正しい大人に保護されてほしいと思ってばかりだった。でも明たちの幸せはそれじゃないんだなぁ。少なくともその時望んでいたことではなかった。ゆきが死んでも抜け殻みたいになっても、母が残したあの部屋で生活する選択をしていく明たちがすごくリアルだった。私はぬるま湯に浸かっていてばかりだなぁと実感。もしかしたら同じ教室にいるあの子が虐待されてるかも、近所のあの人が、そう思ってしまう。逆に同じ教室にいるあの子が虐待してしまうかもしれないし、自分がそうなるかもしれない。他人事ではいられない。この危機緩和このままの体温で生きていくことが私にできることなんだと思う。もし同じようなことに直面した時私は何をするんだろう、何をしてしまうんだろう。定期的に見るべきだし、私と同世代のこれから結婚をして子供を産む人たちに見てほしい。
最近はチンピラ役が多いような気がする柳楽優弥が、こんな純真な姿を見...
じゃあ
どうすればいいのか。。みんなで一緒に暮らすためには、、、「誰も知らない」のか、、環境が過酷な程、知恵はつくのか、、万引きする子は、進学していく。明には、思いやりや責任感がある、向上心もある、これはやむを得ず背負わされた結果なのか、、ときおり輝く子どもらしさ、子どもが、特に長男の明は、子どもでいられない、くたびれていくシャツ、伸びていく髪、アジアの他国を連想する、、お金をあげ、食べ物を渡せばいいのか、、全責任は母親だけにあると、いえるのか、、ずっと問いかけられ続けた。ショッキングな映像よりも、子どもの瑞々しさを印象的に映す作風からは、重たさ、だけではないものが伝わってくる。
子供としてみると
主人公とあまり大差のない年視点で見ると、
大分辛かったです。
母親が子供のこと大切ではあるけど邪魔だって思ってるのも兄妹の1番上だからこその辛さも、母親に縋ろうとするのも本当は味方してくれるはずの周りの大人も皆隠してるけど自分たち子供を邪魔者扱いしてるのもそれを長男長女がうっすら感じてるのも全部じわじわ伝わってきました。
思春期に入るとなんとなくわかってくることが表現されてて
ネグレクトとか虐待だけでは無く、思春期ならではの辛さ、心情の動き、全てにおいて本当に辛かったです。
それでも嫌いになれない、心の中では捨てきれないのが母親で、母親には自分勝手に動かれてるけどこの歳じゃそのことを否定するなんて相当大人びていない限りできないのを改めて感じて、辛いのも有りましたが共感しながら見ることでより面白い作品なんじゃないかなあって思いました。
現実だから
子供たちだけの生活
親のいない、子供たちだけの生活。子供の時に一度は夢見る自由な生活かもしれないが、外に出てはいけない大声を出してはいけないという制約の中ではどれほどの自由があったろうか。
洗濯や料理など兄や姉が担っている点は、大人になった私よりも自立した生活をしているだろう。
Youの演じるチャーミングな母親は友達や姉ちゃんとして関わるなら楽しそうと思わせるハッピーなやり取りだった。無責任で勝手な様子を柳楽優弥にお前だってそうだろと言うところ、全く持って間違っているところもなんだか愛おしく感じさせられた。
なぜ子供を隠すのか、なぜ子供を放って出ていってしまうのかがよく分からなかったけど、これを理解できれば私が認識できていない人たちのことがわかるのかな。こういう人たちがいたという事実を知って、この人たちを分かろうとした方が良いのかな。ただ同じ世界で生きているということを認識しながら自分のことをただやっていく、助けを求められればできる限りのことはやっていく傍観者でいいのだろうか。
柳楽優弥の万引きはしないところ、援交で稼いだお金を受け取らないところ、えらいなあと思った。死体遺棄だって悪いこととしてやっているわけではない。何が良くて何が悪いのかの線引きが法律ではなくて、自分の信念から作り出されたようなところが小6なのに素晴らしいと思った。
なるべく社会から見えないように関わらない生きているわけだけど、廃棄をくれるコンビニの兄ちゃん、野球に混ぜてくれた監督、いじめられていた高校生、少しの人とのちょっとした繋がりがあって、少しの優しさがたくましい生活に貢献していた。これからも兄弟仲良く暮らしていきたいという願いが、もう長く続かないだろうともどかしくなった。
今、映画だけを見ても真意は掴みにくいかもしれない
「怪物」「ベイビー・ブローカー」「万引き家族」が注目を集めた是枝監督の、2004年の作品。
最近になって配信で見た人は「なんだこれは」という印象を受けるかもしれない。
私は公開当時に劇場で見て(詳しい日付は忘れたので、このレビューの鑑賞日は適当な日付)、その前と後を知っているので、少しは今見ている人たちにも情報を共有できると思う。
知ってほしいのは、社会的に大きな話題となった事件を「ヒットする題材」ととらえて映画を撮ったのではなくて、是枝監督としてはあの事件の当事者となった子供たちに「君たちはそれでも存在して良いのだよ」と伝えたくて撮ったということ。これは監督自身がのちにコメントしている。
映画の前に事件が存在していて、それを映画に再構成したのだが、その目的は興行成績でも観客動員でもなく、あの事件の子供たちに「是」を伝えることだった。
だから、映画の視点は事件をとりまく社会や正義ではなく、子供と生活環境に向けられていた。子供たちに、君たちはこんな環境でも精一杯生きた、よくやったと言っている。
(この視点はのちの作品で子供から親子、家族というテーマに変遷し、最新作「怪物」ではまた子供に戻る)
エンディングで流れるタテタカコの曲「宝石」も、非常に印象に残る。
「誰もよせつけられない 異臭を放った宝石」が指し示すものは、主人公の少年の将来。
それも含めて、この映画では少年を、少年の過去と今と将来を肯定している。
これらの情報は映画単体では掴みにくいかもしれない。
当時の空気、そして是枝監督のコメントまで含めて、やっと真意がわかる。
作品としてそのようなスタンス(副次情報が無いと真意がわからない)が良いとは思わないが、もう世に出てしまった作品。
せめて、予習あるいは復習して、この作品の真意を読み取ってほしい。
タイトルなし
序盤の会話から飛行機は見に行くんだろうなと予想していたが、あんな形で見に行く事に成るとは思ってもいなかった。
なかなか胸糞悪い結末を迎える作品だったが、鑑賞後に元ネタとなった事件を調べてみると映画以上に胸糞悪く、映画が少しマイルドな方向に調整されている事が分かった。現実がどうだったのかは判らないが、育児放棄している母親が子供達の事を全く愛していない訳では無さそうだったのも意外。
本当はコンビニ店員や大家が異変を感じた時点で動くべきなんだろうが、そううまく行かないのもよく分かる。他所の家の事だからイザとなった時に動けばいいと、既にイザという時を迎えているにも関わらず先延ばしにしてしまう人が大半なのではないかと思う。
柳楽優弥さんが演技で賞を取っていたが、他の役者も負けず劣らずの素晴らしい演技、というかアドリブじゃないと出せない子供達の表情を作り出していたYOUさんの演技が見事だった。
胸を打つ!!
ほぼ20年近く前の映画ですが、迫るものが大きい。
「誰も知らない?」
多分みんな薄々知ってたと思う。
見て見ぬふりをする、
知ってても関わると面倒だから、見ないふりをする。
全く他人のことに無関心?
(大家の対応は、あり得ないのは置いておくとして・・・)
母親(YOU)がまったく返ってこなくなる。
約束のクリスマスも過ぎ、
クリスマスケーキが半額近くなるのを待って買う
12歳の長男・明(柳楽優弥)
妹2人と弟がいる。
お正月が来て、一人一人の名前を書いたお年玉を手渡す明。
そして春が来て桜が咲く。
お金が底をつき思い余って、現金書留の住所と名前から、
電話番号を聞いて電話する明。
「山本です・・・」と、同棲相手の名を名乗る母に、
思わず電話を切る明。
はじめはは渡された金を、
家賃、
電気代、
水道にガス、
と分けて振り込んでいた。
母が帰ってこないと明の中でケジメが付く。
そして電気が止められ、ガスが止められ、水道も止まる。
水は公園から汲む。
トイレも公園。
この映画のどこに、何に心を打たれるのか?
明の健気さ。
明の責任感。
家族愛。
実話にヒントを得たフィクションとのことですが、
普通は通報されるだろう、
しかしこれに近いことは今もある。
戸籍のない子、学校へ行かせてもらえない子供の数。
驚くほど多かった。
孤独死の中に餓死も含まれてると思います。
無知であること
ストーリーは大きな変化なく、救いがあるわけでもなく終わってしまいますが、
こんな現実があるということを知ることができました。
母親だけが悪者なわけではなく、様々な問題の結果なのかなと。
そしてこれらの問題は貧しさが原因ではないというのが皮肉的で辛いなと思いました。
母親はハイブランドのバッグを何個も持っていますし、長男はお金がなくても割高のコンビニで買い物、スーパーでも果物に手を出したり、、、と。
貧しさが招く不幸ではなく、無知であるが故の不幸なのかなと思いました。
また、中盤で母親がもう帰ってこないと悟った明が、
無邪気な兄弟たちを煩わしく思い冷たく接するシーンが何とも切なく、
いつの間にか母親と立場が同じになってしまっているのが複雑でした。
実際の事件がモチーフということで少し調べてみましたが、
母親のみが保護責任者遺棄致死の罪で逮捕されたとのこと。
早々に責任放棄した父親には何の処罰もないのかとモヤモヤしました。
日常的にいてくれる母親の必要性と ネグレクトに対する危険性を訴えかける作品
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