劇場公開日 2004年8月7日

「重苦しく胸が抉られるよう、忘れられない傑作」誰も知らない シネマラブさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0重苦しく胸が抉られるよう、忘れられない傑作

2021年8月24日
PCから投稿

ずっと気になっていたものの、子供や動物が苦しむ映画は苦手で辛いので避けてました。
テスカトリポカから無戸籍児を知り、著者の参考文献から、『無戸籍の日本人』を見つけ手に取りました。
無戸籍児の現実にショックを受けましたが、巣鴨児童置き去り事件がベースとなっており、当時まだ初々しい少年だった柳楽くんの演技が絶賛された本作を見るタイミングが来たと思いました。

いやー、辛かった。想像以上でした。
しかし、母親、女性ばかりを責めるコメントもありびっくり。
すみませんが、皆さんもお分かりかと思いますが、妊娠は1人ではできません。責められるべくは母親だけでなく無責任な男たちも、です。

wikiでみたら実際の事件はもっとひどいですね。本作は確かに美化している部分もありますが、最後どうなったかのエンドロールやその他事件の真相にあまり深く触れないのが本作の数ある魅力の一つだと思います。

いたたまれず、最初からずっと泣いていました。そしてYOUがうまい。本当にYOUが嫌いになります。
柳楽くんは素晴らしいですね。
何と自然な演技。他の子役の演技にも舌を巻きます。

特に公衆電話のシーンがすごい。

本作ははではでしい演出や大袈裟な音楽もなく、ただ淡々と進みますが、それが返って起きていることの残虐さを際立てています。そして計算し尽くされたカメラアングルが上手い。

本当に重いですし、胸が抉られるので、あまりネガティブな時は見ない方がいいですが、出来れば少しでも多くの日本人に知ってほしい。

コロナ禍で苦境を強いられる子供は増えていると思います。
少しでも多くの子供が救われますように、と願わずにはいられません。

シネマラブ