「“誰も知らない”を変え続ける」誰も知らない hi02さんの映画レビュー(感想・評価)
“誰も知らない”を変え続ける
私は児童養護施設で働いている。
自分で自分のことを専門家と言うのは恥ずかしいが、
専門家の端くれの私から見ても、素晴らしい作品だ。
本作は2003年の作品である。
今から17年前の作品であるにも関わらず色褪せないのは、
フィクションでありながら、
2003年当時の現実に通じるものが描かれ、
2020年現在の現実にも通じるものが描かれているからだろう。
さすがに2020年現在では、
学校に通わずに頻繁に街中をふらふらしていたら、
近隣住民が虐待通告し、児相が関与するだろう。
2020年現在でも、行政機関の関わりを拒絶し、
児相が親子分離の措置を取らない範囲で、
シングルマザーが夜の仕事に行き、
上の子どもが下の子どもの面倒を見ている現実はある。
そういう上の子ども、下の子ども、それぞれのたくましさ、けなげさが
本作品では見事に描かれていた。
とても感心したし、感動した。
私たちに何ができるかは分からないが、
まずはそういう子どもが2020年現在でもいる現実を直視し、
関心を持ち続けることだろう。
タイトルは、“誰も知らない”だ。
まずはこの現実を変え続けなければならない。
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