息子の部屋のレビュー・感想・評価
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Experience a Death in the Family
Few films have focused on the psychological reactions to death as poignantly as The Son's Room. Whereas its often a mere plot-point in even the saddest films, death is the main character here. Director Moretti's genuine performance as the grieving father psychoanalyst has us witness all the familial facets of loss, managing to find silver linings along with a balanced, minimalized soundtrack.
【”あの時、往診に行かなければ・・”愛する息子を亡くした精神科医の苦悩と後悔。そして、愛する家族と共に緩やかに再生して行く姿を温かいタッチで描いた作品。】
ー 序盤の、精神科医ジョバンニ(ナンニ・モレッティ:監督&脚本も担当)が、様々な患者と交わす会話のシーンが良く分からなかったが、途中で”これは、この後彼が精神科医に掛かる程の哀しみを経験する事を、暗喩しているのでは・・”と思いながら、観賞。-
◆感想 <Caution! 内容に触れています。>
・物語は、哀しいがシンプルである。
・精神科医ジョバンニと妻、パオラ、娘イレーネ、息子アンドレアは穏やかな生活を送っている。
ー アンドレアが学校のアンモナイトの化石を盗んで、一週間の停学になったりするが、皆、彼の無実を信じている。
だが、アンドレアは数日後、”先生の困った顔が見たかった”と盗んだ事を認める。-
・精神科医ジョバンニの診察は続く。自殺願望のある男。生きる意味を失っている男・・。
そして、日曜日に自殺願望のある男から”直ぐに家に来て欲しい”と電話が入り、ジョバンニは車で出かける。
そして、彼のいない時に、悲劇は起きる。アンドレアがダイビング中に洞くつで酸欠死したのだ。
- 自分を激しく攻めるジョバンニ。妻、パオラ、娘イレーネも悲しみの底に叩き落とされる。-
・家族関係がギクシャクし始めた頃、アンドレア宛の、アリアンナという女の子からの手紙を見つけ、家族でその女の子に一度は断られながらも会いに行くジョバンニと妻、パオラ、娘イレーネ・・。
<後半や、ラストシーンで流れる、”ブライアン・イーノ”の名曲”By This River"の優しき音色が、優しきアリアンナや彼女の新たなボーイフレンドの姿と重なり、ジョバンニ一家は徐々に癒され、再生していく姿を彩っている。
それまで、他人の悩みを聞き癒して来た男が、息子を失った事により激しく落胆し、自らを責める中で、亡き息子の一時だけのガールフレンドたちに癒されていく姿。
”良い子たちだな・・””そうね・・”
派手さは無いが、静かに心に沁みてくる作品であると思う。>
パルムドールか・・・
何だかかなり後ろ向きの父親ジョバンニ。精神科医であることも災いしてか、生活を元へ戻せそうにないジョバンニなのだ。むしろ患者の方が息子の死という悲しみから逃れる術を知っているようにもとれる。
立ち直るキッカケは難しい。それを敢えて映像化することに意味が見出せない。家族は全て暗いんだけど、音楽が案外爽やか系であり、患者がかなり面白い人たちだった。序盤からのエピソード、アンモナイトの化石を盗んだ事を母だけに告白するシーンがあったのだが、結局この伏線を生かしきれてないし、息子の友達の描写もおざなりになっている。母と娘の泣くシーンだけは迫真の演技だったのだが、モレッティ自身の演技がだめだ。
ラストに出てくる、アンドレアの最後の彼女(キャンプで云々・・・)がヒッチハイクでジョバンニ一家に訪れるが、帰り際にそのアリアンナの目線で家族が砂浜で戯れている。これがどういう意味になるのか、賛否両論であろう。似たようなシチュエーションならば『普通の人々』のほうがが断然にいいと思います。
出会えてよかった映画
暗いというわけではないけれど、重い内容の映画だ。二度観た。次回は…、観る時を選ぶ内容の映画なので、今こそ観たいという気持ちになる時までしまっておこうかと思う。
わたしたちは、人生で理不尽な不幸な目に遭ってしまったとき、そのやり場のない気持ちをどこに持っていけばいいだろうか? 前向きに考えられない自分の気持ちを、どう整理したらいいだろうか? 理屈も分析も救ってくれない。
この映画は、それを解決してくれるわけではないけれど、そっと寄り添ってくれる。肌の温もりを感じさせてくれる。イタリア映画ならではという感じもする。
このような映画があるだけで、誰かの気持ちが少しだけ救われることがあるのかもしれない。
出会えてよかったお気に入りの映画のひとつ。
音楽も美しく暖かみがある。
精神分析医の苦悩
家族間のそれぞれ独立した苦悩が丁寧に描かれ、最後まで空気を壊さず、それでいて退屈させない作品。精神分析医の元に訪れる患者達が皮肉なほどリアルで、そしてそれに対する主人公の医者としての割りきった対応と疲れきった印象もいい。余韻がいい。
鎮魂のメッセージ
人が生きていくなかで、どうしても逃れることができない。
愛する者の死。
家族はそれぞれに傷つき、心の舵が取れず、互いにぶつかり合う。
なぜ、神は彼を選んだのか?
考えても考えても、ヒントすらない難問。
私がもしこうしていたら、あの人は死なずにすんだ・・・
唯一自分で導き出せる答えだった。
自分が死んで、こんなに打ちひしがれ、惜しんでくれる人がいる。
それこそ、死んだ人への鎮魂のメッセージなのだ。
だから、失った人の悲しみは無駄ではない。
愛在るが故の、耐え難い苦しみなのだから。
個人的には
もう一騒動、欲しかったです。
息子の部屋には、秘密があったとか。
ストーリーが引き締まる何かが・・・
心を掴んで離さない、とまでは行きませんでした。
じわっと感動出来る作品
2001年度のカンヌ映画祭でパルムドール
(最優秀作品賞)を受賞した作品です。
精神分析医ジョバンニはある日事故で息子を失います。
「あの時、こうしていれば。」
「あの日をもう一度やり直せたら。」
残された家族は、悲しみから立ち直れずにいました。
そんな時、死んだ息子と付き合っていたらしい少女から手紙が届きます。
息子の死と真正面から向き合って、
それを乗り越えるまでの家族の姿を描いた感動的な映画です。
全体的に淡々としているんですが、それが逆に活きていると思います。
ジワジワと感動する作品です。
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