「のどかで美しい風景とのコントラスト」麦の穂をゆらす風 wutangさんの映画レビュー(感想・評価)
のどかで美しい風景とのコントラスト
史実の悲惨さを「淡々と」描いていたという印象で、ケン・ローチらしい作風なのではないかと感じた。
兄弟を分断させた思想の違いもそれほど浮き彫りになることもなければ、明確な反戦メッセージとも捉えられず、どちらかというと主人公であるデミアンの心情にフォーカスがあたっているようで、その描き方には一定共感できた。
また、のどかで美しい風景と、仲間を殺さざるを得ないシチュエーションだったり英軍の傍若無人だったりとのコントラストも、なんとも言えない味わいを残していた。
ただ、それぞれのシーンは見応えがあって記憶に焼きつく威力を持っているのに、何故か全てのシーンの切れ目において続きを見たいと思わせる魅力に欠けていて、自分としてはケン・ローチの最近作である「ダニエル・ブレイク」や「家族を想うとき」のような、自然とのめり込める感じに欠けた。
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