劇場公開日 2004年9月25日

「最後まで救われない」モンスター(2003) kuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0最後まで救われない

2015年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

シャーリーズセロンがすごい!とこの映画は評判ですが、やっと見ることができました。聞いていた通り素晴らしかったです。
顔は特殊メイク、体重も増やしてこの役に備えたというだけあり、見事に醜い女になりきっていました。
しみだらけの顔に深く刻まれた法令線。落ち着きがなく、品の無い態度、言葉遣い。本当にすごいです。

主人公のアイリーンが犯したことは決して許されないことであり、彼女という人物に与えられた罰は相応のものであったと思います。が、この映画を見ているとアイリーンをただの「悪人」とは思えなくなってしまいます。
彼女の人生、何かひとつ変わっていたら彼女はこうはならなかったのでしょう。それは彼女でなくとも、他の犯罪者もそうなのでしょうが。出逢う人間、かけられる言葉、ささいなことで彼女は「悪人」にならずにすんだだろうと思い、同情や共感を覚えます。
それは彼女が一心にセルビーに愛を注ごうとしたところや、弱い部分をみせまいと笑ってみせるところ、そういう部分が印象的に描かれているからだと思います。
きっと変わりたかったけれど、変わるタイミングを逃し過ぎた。もう戻れないほど突き進み過ぎてしまったのだと思います。

最後の最後まで救われませんが、清々しすぎる彼女の表情に胸が痛み、「結局人の人生や愛って何なんだろう」と考えさせられました。

ku