「ボクシング映画ではなかった」ミリオンダラー・ベイビー kuさんの映画レビュー(感想・評価)
ボクシング映画ではなかった
女性ボクサーのサクセスストーリーだと長い間思っていたが、いざみると違った。これはボクシング映画ではなく、ボクシングというものを通してみる血を超えた愛の話なのだと思う。
ヒラリー演じるマギーが成功し、タイトルマッチに挑むところまでは正直そんなにひきこまれなかった。そこからの展開がこの映画の本当に言いたかったことのような気がする。
見事に筋肉質のボクサーになりきったヒラリースワンクは見事だった。試合中の獣のような表情は鬼気迫るものがあり、圧巻。クリントイーストウッド演じるトレーナーも、頑固親父のような印象から少しずつマギーに対して心を開く感じが見ていて微笑ましかった。
後半は気づけばぼろぼろと涙がこぼれてしまうほど、現実にこれでもかというほど叩き落されるマギーが見ていてつらかった。
ひたむきに頑張ってきたものに待っていた現実と何も頑張って来なかった家族への現実。腹立たしさとやるせなさが募った。
あれだけの反則を繰り返したチャンピオン、そして最低家族。このへんの描写がちょっとやり過ぎ感があった。「いかにも悪役」という感じで、わかりやすいととらえることもできるかも知れないけれど。そしてラストが唐突に訪れたので、もう少し余韻があったもよかったかなと思う。
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