「ボクサーを演じたヒラリー・スワンクの取り組みが凄く、前半と後半の落差の大きさが見事。とは言え、尊厳死執行には共感出来ない。」ミリオンダラー・ベイビー Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ボクサーを演じたヒラリー・スワンクの取り組みが凄く、前半と後半の落差の大きさが見事。とは言え、尊厳死執行には共感出来ない。
クリント・イーストウッド 監督による2004年製作(133分/R15+)のアメリカ映画。
原題:Million Dollar Baby、配給:ムービーアイ、松竹、劇場公開日:2005年5月28日。
最初は拒否していたが、ボクサー希望の30歳女性ヒラリー・スワンクの熱意にほだされ、クリント・イーストウッドがコーチとして指導していく展開はワクワクさせられた。そして、彼女はどんどん勝ち進む中でボクサーとして逞しくなっていく姿も見事。この映画のために肉体改造したらしいスワンクの肩や背中の筋肉も凄かったし、ボクシング・シーンも実にサマになっていた。彼女に拍手。
かつてイーストウッドがコーチしていて、彼が試合を止めきれず眼を痛めてボクサーを引退に追い込まれたというジムの相棒モーガン・フリーマンも、イーストウッドの生き方を見守る友人を演じて好演。イーストウッドによるという音楽も、控えめながら綺麗であった。何より、栄光一歩手前までいった前半と悲劇の後半との落差の大きさが見事。
しかし、主人公イーストウッドが最後、愛弟子で長年無視されている娘替わり?のスワンクに尊厳死を執行する結末が自分には納得できず、モヤモヤ感が残ってしまった。
確かに、頸椎損傷は2004年は勿論現在でも、運動機能回復はほぼありえない様ではある。しかし、そうした厳しい状況にありながら少しでも回復すればと大変なリハビリに励んでいる大勢の人間が存在する。そうした人達の努力に寄り沿っていないし、手足が動かせなければ生きてる意味が無いとの思考法も、許せないと思ってしまった。そして、大きな成果はまだ無い様だが、再生医療による研究も日々なされており、近未来には治せるかもしれない。気持ちは変化するものでもあり、本人希望ということで、そういう可能性を全て断つことは許されないと自分は思う。
神父とのやりとりから見える様に、こういう反論も承知の上で、こういうストーリーを敢えて持ってきた勇気は、讃えられるものかもしれないが。
監督クリント・イーストウッド、製作クリント・イーストウッド、 ポール・ハギス トム・ローゼンバーグ 、アルバート・S・ラディ、製作総指揮ロバート・ロレンツ、 ゲイリー・ルチェッシ、原作F・X・トゥール、脚本ポール・ハギス、撮影トム・スターン、美術ヘンリー・バムステッド、編集ジョエル・コックス、音楽クリント・イーストウッドほぼありえない。
出演
クリント・イーストウッドフランキー・ダン、ヒラリー・スワンクマギー・フィッツジェラルド、モーガン・フリーマンエディ・“スクラップ・アイアン”・デュプリス、アンソニー・マッキーショーレル・ベリー、ジェイ・バルチェルデンジャー、マイク・コルタービッグ・ウィリー、ブライアン・F・オバーンホーヴァク神父、マーゴ・マーティンデイルアーリーン・フィッツジェラルド、ネッド・アイゼンバーグサリー・メンドーサ、ブルース・マックビッティミッキー・マック。
Kazu Annさん
こんばんは、
「ミリオンダラー・ベイビー」に共感ありがとうございました。
Kazu Annさんも矢張り「グラン・トリノ」もご覧になっておられましたねー
イーストウッド監督は老境に入ってから、 死を見つめる作品をたくさん撮っています。
「パーフェクト・ワールド」にも僕は本当に打ちのめされました。
いろんな角度から死の光景を見つめる人です。