メン・イン・ブラック2 : 映画評論・批評
2002年7月3日更新
2002年7月6日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
ウィル、トミー・リー、パグ犬のトリオ漫才が快調!
トーキー以後のアメリカ喜劇がもっとも得意としたもの……それは丁々発止のかけ合いが超特急で展開される狂騒的なダイアローグ劇だった。スクリューボールと称されるそれは、言葉のリズムを聴くだけで楽しくなってくるもの。「MIB2」も、そんな伝統を濃厚に感じさせて嬉しくなる出来だ。
ニューヨーク生まれで初期コーエン映画の名カメラマンだったソネンフェルド監督は、メジャーシーンの中でずっとクセのあるコメディを好んで作ってきた。どんなに下世話な笑いを狙っても、都会的でオフビートな彼の感覚には「品の良さ」があるのだが、ややもするとブロックバスターとしての食い足りなさに繋がっていたように思う。
でも今回はちょっと違うのだ。「間」よりも「スピード」を選択したというべきか、リズムの良さが前作以上に光るウィル&トミー・リー、そして喋り唄うパグ犬エイリアンのトリオ漫才が快調そのもの。特撮ばりばりのビジュアルにヘロヘロ書き文字(「博士の異常な愛情」等のパブロ・フェロ)を重ねるタイトルシーンや、ラストで効いてくるコロンビア・マークのお遊び、そして88分(!)という上映時間に、ソネンフェルドこだわりのモダニズムを感じる。ま、お話なんてちーっとも判らないけどね。
(ミルクマン斉藤)