殺人の追憶のレビュー・感想・評価
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何回も、観てます❗
ポンジュノ祭
面白かった!
なぜポンジュノはこんなにも重い実際の事件をクライムムービーの名作として見事に成立させることが出来たのか。その構成力に舌を巻いた。
筋書き、刑事達のキャラ、犯人像だけを味わう映画ではない。監督は、自分が生きている同時代のあの頃の韓国の田舎村を描きながら、それがいつしか遠い過去になることを察知しながら映像を綴っている。
何が事件を迷宮入りさせたのか。地方の旧態依然とした警察署のずさんさは、韓国社会そのものの混乱、暗黒の時代の反映だ。未解決事件を通して私たちもあの頃を「追憶」しているのだと感じた。
それでいて、ギャグ漫画みたいな飛び蹴りとか、面白い刑事たちの掛け合いに笑ってるうちに、警察の非道な行為に観客自身もいつしか共犯者になっていく。
そうして全てをラストのソンガンホの無言の表情に集約させた。
映画の世界から現実の世界へと目線が移る。
事件は終わっちゃいねえ。現在進行形だ。平凡な顔のテメーはまんまと社会に紛れて映画館でこれを観てんだろ。今、どこにいる!!
ソン・ガンホ刑事
2003年公開。音楽岩代太郎。
130分。
1980年代後半に起こった韓国の連続殺人事件の捜査を追う。
DNA鑑定は、韓国ではまだ出来ず、アメリカまで証拠品を送って鑑定してもらうというエピソードがある。
捜査車両がエンストして、押してエンジンがけしたり、現場保存がなってなかったり、たいへんな時代。
取り調べで拷問が行われていたことは、当時からかなり問題になったらしい。
ある刑事が、被疑者から返り討ちを喰らい、結果的に脚を失ったり、被疑者が自殺したりと捜査は、難航を極める。連続殺人事件が起きていて、犯人は見つからず、犯人の証拠も上がらず、警察は殺伐としている。
その中に時折感じるユーモア。ソン・ガンホ刑事は、真面目ではあるが、人間が平凡すぎてこういうイカレた事件には不向きなのだ。
カンヌやアカデミー賞を受賞したパラサイトとは違う作風だが、名作だ。
デビッド・フィンチャーの「セブン」1995にも、どこか似ている気もするが、全体に間抜けというか、かなりのんびりしている。
ただ、その漠然とした景色の中に犯人がわからない恐怖はある。
犯人はお前か?
「パラサイト半地下の家族」でポン・ジュノ監督にハマり、事前知識はほぼ無い状態で鑑賞しました。ポン・ジュノ監督の出世作として度々名前を聞きますし、映画ファンとして知られるライムスター宇多丸さんもこの映画を「ほとんど完璧に近い映画」と大絶賛されていたので、期待値は非常に高かったです。
結論。ポン・ジュノ監督らしい醜くエグイ作品。観る人を選ぶが、ハマる人にはとことんハマる。正直私の好みとは外れる映画なので大絶賛とまではいきませんが、それでも一見の価値がある素晴らしい映画でした。
あらすじ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ソウル近郊の農村で、女性を狙った凄惨な連続殺人事件が発生した。地元の刑事であるパク刑事とソウル市警から派遣されてきたソ刑事が対立しながらも事件の真相を追い求める。
韓国で実際に起こった未解決事件である「華城(ファソン)連続殺人事件」を題材とした作品
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題材となった事件の真犯人は2019年に判明したらしいですが、この映画が公開された当時(2004年)にはまだ犯人が不明な状態であったため、この映画でも犯人は不明の状態でラストシーンを迎えます。
当時の社会情勢などのせいもあって思い通りの捜査ができずに犯人を取り逃し、パク刑事とソ刑事の二人が事件に振り回されどんどんと疲弊していくのが演技や演出から分かります。
映画冒頭では拷問のような取調べを行なって事件の犯人をでっちあげようとした粗雑なパク刑事と、冷静に事件を分析して捜査に当たっていたソ刑事が対比的に描かれます。しかし映画後半では一転、前半で冷静な性格だったはずのソ刑事が事件に振り回されてみるみる疲弊し、冒頭のパク刑事のように犯人のでっちあげを行おうとする描写がみられていきます。
このような登場人物の心境の変化が丁寧に描かれているため、観ている我々も犯人がなかなか尻尾を出さないことに対して歯がゆさを覚えます。
そして衝撃のラストシーン。一人目の犠牲者の発見現場で少女と会話した主演のソン・ガンホの顔のアップ。鳥肌が立つくらいに衝撃を受けたシーンです。ポン・ジュノ監督は「犯人がこの映画を観ると思って、ラストシーンでソン・ガンホと犯人が見つめあう構図にしたかった」と語っていましたが、これが本当に良かった。
犯人の顔を問われて「普通の人だった。」「どこにでもいる顔。」という少女の台詞も「犯人がどこにいてもおかしくない」という言葉に他ならず、非常に衝撃的でした。
【2020年9月追記】
どうやら、実際の事件の犯人も獄中の映画上映会でこの作品を鑑賞していたらしいですね。
ポン監督が犯人に仕掛けた「刑事役のソン・ガンホが犯人を見つめる構図」が思惑通りに機能しましたね。素晴らしい。
今まで信じていた物を信じられなくなる過程
韓国映画らしいちゃらしいけど…。
正直に言って今一つの感想でした。連続殺人事件の中、重苦しい雰囲気に馬鹿馬鹿しいどこか茶番的な取り調べといった風刺的な場面を挟みクライマックスへ。ただ、今一つなのはテーマが弱い、前半は冤罪を風刺して取り上げ、後半はまだ捕まらない殺人犯への警告。私達の周りには捕まらずに多くの犯罪者がのざらしになっているという理不尽さを歌いあげているが最後の捻りはあるもの、見終わった後の虚無感や虚脱感も中途半端に感じた。こういったアンハッピーエンドの作品は多くあるがその中でもまあ、中の上位にしか思えない。韓国にしか解らない国全体が抱える闇を描いたのなら物足りなさを感じてしまいます。最新作のパラサイトはまだ観ていませんがあまり観たいとは思わない。多分、個人的に韓国映画は恋愛もの以外は合わないのだろう。なんとなく邦画の亜流的な出来にしか感じない。
徒労感と倦怠感
やっとスクリーンで見れました
垢のように染み付いた心の汚れ
事件は解決……。
上映当時は未解決事件として撮られたものですが、
2019年に犯人が特定されたようですね。解決と聞いても事件が事件だけに少しも安らぎませんが、、
う〜ん… なんでしょう… 警察の取調べ って、韓国も日本も大差無いのですかね…犯人を捕まえるより 事件を早く片付けたいだけ、何日も拘束して精神衰弱させて自白強要。とか、障がい者的立場の弱さにつけ込んだり。
昔だからと許される事ではないですし過去に日本の事件
でも思い当たる事例の多いこと…。
刑事達の焦りと振り回されて疲弊していくところなんて拘束された容疑者が精神をやられていくのと変わらないのだなぁと思ったり。
最初は笑えるシーンもあって農村のほのぼの感がありますが、段々とシリアスにヒリヒリしていき観ている側も疲れてくる一体感を感じました。
ラストのシーンは未だ捕まっていない犯人がこの作品を観る事を想定した犯人に向けた眼差しということだそうですね。
未解決事件として撮られていたものの、最後の容疑者の役者さんと実際の犯人の顔がとても近いのには驚きでした!
迷路に迷うように、徐々に夢中になっていくカンジ
連続殺人事件。それを追う地元刑事パク目線で話は進む、未解決事件。('19に真犯人逮捕。)
◉作中、たまに出てくる犯人。顔は一度も映らない、わかりそうでわからない。掴めそうで、掴めない事、パク刑事の落ちていく様が、この事件の迷宮入りを表していると思う。
◉しかし、この時代独特なのか、はちゃめちゃな暴力性。この時代に生まれなくて良かった。
◉空襲訓練が度々発令。(それを利用されて?犯行されたりする。)これは北からのミサイルに向けてなのかな?パラサイトでも言っていたが、金持ちはミサイル用の部屋があるらしい。当たり前だが、日本より北が身近な、当然な存在なのだろう。
一言では言い表せない
ほんとうに無念なのは・・・
たしかに役者人の好演もあり、かなりリアルに描かれていて臨場感のあるポン・ジュノ監督の力量を感じる映画です。
しかしやはり凶悪犯には捕まってほしいし、警察には捕まえてほしい。バッドエンドが嫌いな人にはあまりオススメできない映画かもしれません。
捕まえられなかった刑事の無念さが映画では描かれていますが、それより被害者の遺族の無念さを思うと切なすぎる。
それに時代背景はよくわかりませんが、拷問による自白強要はけして許されないことだと思います。
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