「簡素化しない徹底した描写」殺人の追憶 ヒックス伍長さんの映画レビュー(感想・評価)
簡素化しない徹底した描写
ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ主演の2003年公開作品。
実際の事件を基に作られている。
80年代当時の韓国の日常や風景、また人物の何気ない行動や仕草などへのこだわりが徹底している。
(例えば、普通の食事シーンや主人公の刑事の自宅及びオフの時の行動など)
ポン・ジュノ作品に限らず、ナ・ホンジン等の作品にも感じるが、主に警察などの体制側の人間は割とコミカルなダメ人間として描かれる傾向にあるように思える。
また途中まで、それこそコメディタッチで話が進んでたはずなのに、いつの間にかシリアスな方向へ急展開し、ラストは何か不穏な気持ちを抱かずにはいられない感覚を残す作風が多い気がする。
そして、2019年、第92回アカデミー賞にて作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞などを受賞した「パラサイト 半地下の家族」までの作品において、ポン・ジュノ監督の、作品に対する作家性に少しもぶれがないところが一流の映画人たる所以でもあり、人気の秘訣でもあるんだと思う。
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