「軍政下の閉塞感とやるせなさ」殺人の追憶 bluetom2000さんの映画レビュー(感想・評価)
軍政下の閉塞感とやるせなさ
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全斗煥政権化1980年代の韓国は、近過去にかかわらず、自分の想像を超える管制と緊張感。ソウル郊外という設定だが、これも想像以上に田舎感あるし、生活環境も近代化されていない印象。ましてや警察は目を疑うばかりの拷問と自白の強要。灯火管制や防災訓練、民主主義とは遠い。
そんな制限下で発生した猟奇殺人は、凄惨で哀しいのに犯人が見えないもどかしさ。主人公の刑事と同じようにもがき苦しむ観客。傍観者になれずどんどん引き込まれていく。結局、寝つきも悪かった。それほど意識に残る作品でした。
ラストで刑事をやめたらしく温和で明るさを取り戻した主人公の顔色が一挙に刑事に戻る。導入部と反対に、収穫前水田にパンしていくシーンが岩代太郎の音楽と共に鮮やかに残る。
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