「私も一応〝普通の顔〟だと、あの少女は言ってくれるかな?」殺人の追憶 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
私も一応〝普通の顔〟だと、あの少女は言ってくれるかな?
軍事政権下、ということは歴史的な一般論からすると、まぁ、人権はお上次第。ということは地方の官憲の倫理観に清廉潔白を求めるのは、そもそもお門違いなんだろうな、という前提を飲み込みながら見てるうちに、この世界観にいつの間にか慣らされてくる。
アカデミー賞という結果を知っているので、後付けの理屈じゃないの?
と言われれば否定はしません。
世界に認められるモノには、村上春樹さんの小説と同じように、作品の中で感じるある種の共鳴する部分が(自分の母国とは歴史も文化も伝統も違うのに)何だか自分にも分かる、と思わされる要素があります。
この映画の世界に、もし自分がいたとしたら、誰の役割で、どのように振る舞っていただろう、そう思うことがそれほど不自然ではない、そんな不思議な引き込まれ方を経験できるということは、たぶん世界に通じる普遍性の現れなのだと思います。
〝普通の顔〟……この言葉にゾクッとした人はみんな虜になってしまいます。
コメントする
近大さんのコメント
2020年4月5日
コメントありがとうございます♪
ラストシーンの少女の台詞ですね。
自分もこの時、“普通”がどんなに…いや、最も恐ろしいか、ソン・ガンホの表情の如く戦慄しました。
昨年末、ずっと迷宮入りだったこの事件の真犯人が遂に特定したとのニュースがありました。
色々話題引っ括めて、また改めて見る価値ある作品ですね(^^)