劇場公開日 2004年3月27日

「実際にあった容疑者の列車飛び込みシーン」殺人の追憶 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0実際にあった容疑者の列車飛び込みシーン

2019年9月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

  冒頭のテロップから、この連続殺人犯は捕まっていないことを知らされる。「どんな結末になるんだ?」と、もうこれだけで期待度が高まります。そして、これは単なる刑事ものサスペンスと思って臨んだらギャップに驚かされる映画なのである。

 途中、笑える場面が多くなり(特にNIKE)劇場内ではクスクスと笑い声が聞こえるようになる。「犯人はお前か?」と映画館内の客に対しても疑ってしまうほど、疑心暗鬼にかられるようなプロット作りなのだ。

 そして、犯人を追い求める正義感の強い刑事たち・・・と普通の映画ならばこうくるはずの展開ではなく、軍事政権下でデモ鎮圧に力を注ぎすぎたための警察の無能さ、自白強要・拷問・でっちあげ等の警察内の悪の部分を曝け出すブラックさ。しかも悪徳刑事を「やっぱりすごいんだ」と称えるものではなく、痛烈な警察の体質批判になっているところがすごい。

 個人的にこの映画で最もゾッとする部分は、みなさんの意見とは違うものになりそうだ。ソウルからやってきたソ刑事は、当初、パク刑事たちが行った拷問や自白強要に対して批判的な、頭脳調査を尊重するエリート刑事であった。これが犯人が見つからないことの焦燥感から、徐々に捏造してもいいと考えになっていく様子だ!!ある意味、犯人より怖い。

 とにかく画期的な韓国映画。日本人としては背景がイマイチ理解できないところをもっと表現されていたら最高の映画だ。

kossy