メメントのレビュー・感想・評価
全260件中、101~120件目を表示
かなしい
10年前、高校2年生だった自分を映画の世界にどっぷり引き込んだ作品がこれだった。
その当時は面白い映画ってこういった映画を言うのか!!と思い知らされた。
この映画は難しいって理由で評価を落とされていたりする。そんな理由で低評価着くのが哀しいなと思う。
しっかりとワンカットワンカットを「なぜ監督はこのアングルで撮ったのか?」「なぜ監督は台本でこのセリフを選んだのか?」「なぜ監督はこのシーンにこの音楽を選んだのか?」なんて風に観ていれば、ストーリーが難しいなんてことにならないはず。
例えば分かりやすい例で云うと、キューブリックの時計じかけのオレンジでアレックスは何故、お酒ではなくミルクを飲むのか?
アレックスの暴力性の根源的な幼児性を表現したかったのか?と考えたりできる。
その考えが正解か?監督の意図にドンピシャか?なんてことは人それぞれで良いはずだけど、そうではなく単純に難しい、理解できないと思うなら多分ちゃんと映画を観ることができていないはず。
それで映画の評価が落ちるのは哀しいことだ。
ラストから始まり、観ていくうちにラストに繋がる
記憶は全て自分の都合のいいように書き変えられていく。
TENETを観た後にこの作品の存在を知り観たが、ノーランの真髄がここにあることがわかった。
ストーリーは、ノーランの他の映画と同様に1回観ただけではわからないくらい難解。
でも、引き込まれていくところが、彼の作品の最大の魅力だと思う。
10分しか持たない記憶の中で生きていくことを疑似体験する感覚は、TENETで感じたような時間への混乱を生じ、
自分が今見ているものは現実なのか過去なのか夢なのか、足元がグラグラするような感覚に襲われる。
まったく別の話になるのかもしれないが、「サピエンス全史」によると、文字ができる前までは、人間は全てを記憶していたとのこと。
どの草は食べて良く、何が毒なのか、動物を仕留める方法や道具の作り方、誰が仲間で、敵は誰なのか、季節の移り変わりや天気の変化や歩いていく道や
全てを覚えている、または、口伝えで伝えていくことが生きていくためには必要だったとのこと。
だから、脳の大きさもホモサピエンスより、最終的に文字を持たずに絶滅したネアンデルタール人の方が大きかったということも納得できる。
文字ができたことにより、また、文字を紙で残し、伝えていくことができるようになってから、
人間は、全てを記憶しなくても、記録をして残しておくことで、過去を知ることができるようになった。
しかし、それは、残っているものが正しいものという錯覚を引き起こしているのかもしれない。
現代の私たちの脳は、色々なデバイスを使いながら、どんどん楽をし、自分にとって都合のいいように記録を残している。
積み重なる記憶と記録によって、自分を何に翻弄されているのかを考えさせられた映画だった。
クリストファー・ノーラン作品が観たくなって
テネットを観て、他どんな作品があったかなと思い探していたところ、昔観た映画があり、久々に観ました。
これも、「時間」がテーマの作品で、テネットの様な「時間の逆行」とは違いますが、過去に遡っていく作品です。
1回目観たときは、難しすぎてあまり理解が出来ませんでしたが、今回久しぶりに観て、バラバラだったピースがどんどんとはまっていく感覚で、最後、そういう事だったんだ!と、とても満足した気持ちになりました。
次また観た時に、新たな発見などを期待して、星マイナス1です。
時間というテーマを追求
時系列がバラバラで難解だけど面白い。
『メメント』鑑賞。
*主演*
ガイ・ピアース
*感想*
ノーラン作品が盛り上がってるので、メメント鑑賞。←2回目ですがw
記憶障害を持つ主人公が妻を殺した犯人に復讐するお話ですが、かなり複雑です!
何故かといいますと、この映画は時系列が逆向きに進行していくので、エンディングから始まるんです。
犯人の手掛かりが彫られた刺青、写真とメモをとりながら主人公は犯人を見つけ出す為、奮闘!しかし、新しい記憶が10分間しか保てない為、数分前の出来事がすぐに忘れてしまいます。これがなかなか厄介!
2回目で、やっとわかりましたが、それでも細かい部分がありますね~(特にナタリーとモノクロのシーン。)
難解なストーリーでしたが、面白かったです。
アイデア、演技、演出、構成、全てが噛み合っている
久々に観たけど面白い。
ストーリーを理解できるかどうか?で言えば、ほぼ初見殺しの映画ではある。これ以上難しくしたら、逆につまらなくなるんだろうなと思う。しかし鑑賞者に対し、絶妙な具合にネタを小出しにしてくる。だから先が気になってしょうがなくなるのがにくい。
時間軸が逆行していく、というアイデアが斬新すぎるのはいわずもがな。要はそのアイデアをどのように観る人に伝えて行くのか?その演出だったり構成がまた秀逸すぎる。
役者陣がまた良い。ガイピアースが混乱する時の演技がリアルで良い。こっちまで緊張してしまう程の緊迫感。彼を利用しようとする脇役陣のうさんくささも絶妙だ。
アイデア、演技、演出、構成。色んなことが重なって名作になっていると感じる。
ただその難解さから、人を選ぶだろうなとは思う。
とても良い映画
前から気になっていたこの作品…暇つぶしにと思い、借りてみたら、まさかのクリストファー・ノーラン!(笑)
初っ端の場面に、過去の記憶を辿るかのような、まさかの逆回しのシーンが(笑)…今まさに公開中の『テネット』のアイディアは、すでにこの時からあった!?(笑)…まだそちらは観てないけど。
で、この作品、前向性健忘に見舞われた男のサスペンス・ドラマ…最後まで目の離せない展開のストーリーで、とても面白かったです。『インセプション』もそうでしたが、この監督は、ひねりの利いた、というか一筋縄で行かない物語が好みなんですかねぇ…観ている方はなかなか大変ですが(笑)
主人公を演じたガイ・ピアーズが、狂気と正常の間(はざま)のギリギリさ加減を見事に演じています…そして、その心の不安を、監督が見事に演出しており、秀逸でした。
もう一回観ると、見逃した事もまた発見出来そうな、そんな作品でした。
オススメ!
【書き換えられる記憶】
弾丸が銃口に戻る場面は、確かにTENET を彷彿とさせる。
また、記憶を断片的に過去に遡る手法は、単に時系列に従ってストーリーを追うのと異なり、僕達の記憶にチャレンジしてるかのようだ。
そして、結末を知りながら、大元となる事件に辿り着き、また、それが結末であるという仕掛けにハッとする。
こうしたところがクリストファー・ノーランの独自で独特な手法なのだと思う。
映画の様々な手法は、ほぼ出尽くしたのだと言われて久しいが、クリストファー・ノーランはTENET などで、なお挑戦を続けているのかもしれない。
真実とは何だろうか。
僕達の長期記憶の中にある「真実」と信じているものと、10分間の記憶の繰り返しの中でしか生きられないレナードが「真実」と信じているものに決定的な差はあるのだろうか。
心理学者によると、人は、3度同じ嘘をつくと、その脳は、それを事実として認識し始めるようになるらしい。
僕達の記憶が如何に危ういのか。
僕達も自らの都合に合うように記憶を書き換えていないか。
(以下ネタバレ含みます)
↓
ストーカーも実は似たようなものかもしれない。
あの人は、自分に優しい。
あの人は、きっと自分のことが好きに違いない。
あの人は、自分のことが好きだ。
絶対好きだ。
だから、自分を拒絶はしない。
しかし、
何かの間違いだ。
誰かに騙されているんだ。
他に誰か好きな人が出来たんだ。
これは決して精神障害ではないだろう。
レナードもたった10分の間に、自身の感情にそぐわないものを消去したり、改竄していく。
きっと、重要なのは、感情なのだ。
レナードにとって、それは妻を失った深い悲しみだ。
僕達の記憶は、自ら改竄されていないか。
深い悲しみのほか、怒り、一時の喜びなども記憶を書き換えているかもしれない。
苦い記憶も楽しい思い出も様々あるだろう。
この作品の実はプロローグとなるエピローグは切ない。
妻を直接死に追いやったのはレナード自身なのだ。
妻はレイプされ、自分は殴られ短期記憶に障害を負う。
妻は、10分しか続かない記憶を利用して、糖尿病のインスリンの注射をレナードに何度も打たせ、命を絶つ。
なぜ、妻は死を選んだのか。
レイプ?
レナードの障害?
将来への絶望?
もしかしたら全て?
僕が想像するに、妻が去り、決して答えの得られない深い悲しみは、たとえ短くても記憶を改竄するには十分だろう。
いつのまにか、自分や妻以外に原因を求めても不思議はないのだ。
自分の記憶を奪ったのは誰だ。
そいつが妻を殺したのだ。
妻が亡くなったストーリーは他人に置き換え、自分の物語を構築していく。
復讐しなくてはならない。
記憶は長短に関わらず、感情によって書き換えられてしまうのではないのか。
レナードは、彼の短い記憶の障害もあって、ループした世界に止まらざるを得ない。
特定の記憶に囚われて生きるのは悲しい。
しかし、もし人が特定の感情に囚われて生きているのであれば、レナード同様、悲しい存在なのではないか。
クリストファー・ノーランは、こうしたことも示唆しているのではないか。
そして、よく考えてみたら、歴史もそうだ。
古い歴史は為政者によって、大きく書き換えられてきた。
そして、悲劇も繰り返されてきた。
僕達も、その時々の感情によって、レナードがメメント(断片や記念物)に少し手を入れるように書き換え、歴史もその時々に都合よく書き換えられ、皆、大きなループの中に止まって生きているに過ぎないのかもしれない。
ノーラン初期の、そして屈指の変態作品…いや、傑作(笑)
シネクイント渋谷で鑑賞。シネクイント20周年企画で!
妻を強盗殺人で亡くし、そのときの怪我で短時間の記憶ができないレナード。妻殺しの犯人を見つけるため、彼は身体中にメモを残す。メモを頼りに自分はどこから来たのか、目的は何かを追跡していく彼の真実とは…。
ノーラン初期の代表作で、作品の変態ぶりもノーラン屈指と言えるメメント。いや、傑作なんやけどな。物語の性質は全然違うが、テネットにおける時間の逆行はどうしてもメメントを思い出してしまう。ついでに、テネットの変態作品ぶりも。
この作品を初めて見たのは大学の時ですね。一時期レンタルするのにハマってた時期があり、お姉ちゃんの薦めで借りたんですわ。色々借りて見たわけですが、強烈に印象に残った一本でしたね。後にインセプションが公開されたとき、なんじゃこの変態は!?と思ったもんですが、監督の作品の中にメメントがあり、納得したのを覚えてます。
今公開されてるテネットに一番近い感覚の作品ですね。今ではさすがに理解しますが、マジで初見では理解できない。というか、映画始まってから暫くは物語を理解できないんですよね。これなんの話だ?場面が切り替わるが意味は?ホントわからないし、深く考えても仕方ない。でも徐々にピースが繋がっていく。そして終盤で全容が見え、この作品の輪郭をとらえた瞬間の快感、面白さですかね。
テネット風にいうと、順行ルートなエピソードと逆行ルートなエピソードが交わる瞬間、モノローグがカラーに変わるわけですが、あの辺りはホントノーランらしい。というか、ノーランの基礎ですね。今では、ノーラン作品と知れば驚きはしないですが、メメント公開当時は無名やからな。そら、衝撃だったでしょう。
何度見ても、終盤で話の全容がはっきりする部分は見入ってしまうわ。テネットが公開されたこのタイミングでよくぞ、再上映してくれたって作品です!
全260件中、101~120件目を表示













