「何か凄いモン見た気にさせてくれる系。 ※はっきりとは書いてないけどラストに関わる重要なネタバレあり」メメント alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
何か凄いモン見た気にさせてくれる系。 ※はっきりとは書いてないけどラストに関わる重要なネタバレあり
ずーっと見たいと思ってたので、まさかAmazonで無料で見られるとは。かなり昔のではあるけど、人気作だし、Amazonは何十年も昔のでも平気で何百円も取るんで(もちろん登録料とは別に)、有名作品はいつまでも金取るのかなーと望み薄ながら探してみたら、無料…
(・・?
すぐ無料にする作品といつまで経っても有料の作品の違いは一体何なんだよ…
ともあれ、複雑にしまくるの大好きクリストファー・ノーラン監督の本作、めちゃ複雑なようでいて、流石に初期の頃の作品だけあって、最近のほど複雑ではないです。最後まで見ればちゃんと作中で全部説明してくれてるので、かなりわかりやすい方かなと。
割と序盤から、あんなテキトーなメモに絶大の信頼を置いてる主人公に「え?」となってしまう。「記憶なんてあやふやで信用できない!メモの方が素晴らしいんだ!」と何かのカルトか?ってくらいメモを信頼してる。いや、逐一メモすることは確かに素晴らしいけど、お前のメモは雑過ぎるよ。
短すぎる上に事実だけを残せていない、感情に左右されまくりのメモも混じってる。
結局のところ、自分の見たいものしか見てない人間は、メモ残そうが何しようが自分の都合の良い解釈しかできない。更には主人公の自己愛強めの精神が記憶障害をうまく利用して、それで自分を形作ってしまった。
記憶について語っている作品のようで、実は障害がどうとか関係なく、人は自分を守るためなら何でもするし、自分の記憶すら改竄するから何を言っても基を正さなきゃ意味ねーよという話なのかなと思います。
元々主人公の自己愛が強すぎたために、無意識のうちにわざと障害の中でも記憶を失う障害を選んだんじゃないかと思ってしまうレベル。
主人公が悪い奴でしたのオチなのかなとは思ってたけど、こんな着地点とは…
主人公が悲劇のヒーローでないことは多分すぐにわかるし、どんなにメモを残しても元が感情に左右されすぎる人間だからあんまり意味ないのも中盤くらいにはわかってくるので、碌でもないラストなんだろうなとは思ってたけど、別のベクトルでクズだった…
出てくる奴らが大概クズなので、ラストに衝撃も何もなく、「あ、ハァ」と納得して終わる。
映画としては凄く整っていて、この監督は昔からこういうバランス感覚が良かったことがわかります。
精神的なことにとらわれすぎる人や、自分や周囲を美化して都合良くとらえがちな人には身につまされるストーリー…だと思うけど、そういう人はこれ見ても自分だ!怖い!とはならんよな。