劇場公開日 2001年11月3日

「斬新で難解で主人公に傾倒してしまう」メメント R41さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0斬新で難解で主人公に傾倒してしまう

2024年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

携帯電話登場以前の作品だが、作品そのもののクオリティに関し、古臭さはみじんも感じさせない斬新さが漂う。
しかしこの作品は、主人公レナードの記憶がすぐになくなる症状と事件と現在地のつながりが、レナードの記憶に合わせて作られているために、非常にわかりにくく描かれている。
彼は記憶障害となり、妻は糖尿病。この事実をサミー夫婦という主人公の作り上げた架空の人物に置き換えて生きている。
そしてレナードの記憶では、彼は保険会社に勤務し、サミーの症状は外的要因ではなく精神的要因からくるものなので保険金は下りないという報告書を作成したことで、自分自身がサミーと同じ症状になって初めて彼らの苦しみが理解できたとしている。
またレナードは、彼の介護に疲れインシュリンを打たずに風呂場で倒れた妻が、何者かに襲われて死んだことにして、その犯人であるジョンGを探しているのだ。
彼の行動に付き合っているのがテディで、彼は元警官だ。レナードは1年前にジョンGを殺害しており、精神病棟へ。しかし彼の症状では法律上裁くことができなかったと思われる。テディはレナードを利用して麻薬取引のお金を盗み出そうとしていた。
モノクロシーンが時系列で、カラーシーンは時系列とは逆になる。
つまり最も新しいシーンは、冒頭でレナードがテディを打ち殺した場所になる。
記憶のない彼がなぜテディを殺したのか? 視聴者はその謎を彼のよみがえった記憶とともに探しに行くのである。
レナードの泊まるモーテルには幾度となく電話がかかってくるが、それはおそらくテディだろう。
ナタリーはドットと別れたいがため(?)にレナードを利用している。
なんとなくわかったように思うが、まだまだ隠し扉がありそうに思う。
この作品について誰かと話せば、それぞれ違った意見が出ること必至だろう。

R41