「疑心暗鬼」メメント odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
疑心暗鬼
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前脳基底部損傷による健忘症は、前向性健忘と逆向性健忘に加えて、しばしば作話、注意障害、人格の変化が出現するという。大学の授業でこの症例に興味を持った監督の弟さんが書いた小説「Memento Mori(死を忘れるな)」のプロットがきっかけらしい。Mementoの語源はラテン語で「思い出せ」という意味という、まさに記憶障害の主人公は全身に刺青までいれて悲壮感が凄いこと。
健忘症も確かですが不都合なことは特に忘れがち、というより勝手に記憶を書き換えてしまうのですから、ほぼ主人公の視点で描かれる映画なのに何を信じていいのか当惑、しかもすぐにばれないように話の流れを切り張りするから観ている方は混乱が増すばかり、頭のおかしな主人公なら何をやっても許されるだろうという創りは多少やりすぎな気もします。
精神異常ですから刑務所には入らずに病院行きでしょうがこういう殺人鬼は始末に困ります、操った張本人が殺されるというのも因果応報ですがテディは唯一真相を語れるキーパーソンなのですから事件当時や人物についてもう少し描いて欲しかった。
まあ、ありきたりのリベンジ・アクションに飽きた映画通には受けたのでしょう。個人的には作家性の強い、難解な映画は苦手です。
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