「17年前に観た記憶が無くなってた・・・メモっとけよ・・・」メメント kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
17年前に観た記憶が無くなってた・・・メモっとけよ・・・
これは観客の記憶力を試すための映画か?!冒頭のシーンから徐々に逆戻しで見なければならない映画。新しい記憶ができない男が主人公であるが故に思い切った編集にできた内容でした。しかも逆行と順行、二つのストーリーが最後に結びつき、テディの正体もわかる驚愕のラストエピソードが面白い。
『TENETテネット』(2020)を観てから再確認してみましたが、銃弾の逆行はこのメメントで既に使われていたことを再確認。さらにモノクロ映像では、レナードが保険調査員として調べていたというサミーの健忘症について詳細に順行しているエピソード。しかもその事実自体も彼の創作であったことも最後にわかる(時系列でいえば最初)。
レナードは初っ端にテディを殺してしまうが、何故テディが殺されなければならなかったのか、真犯人は誰なのだ?と観客を魅了させるのだが、レナードが前向性健忘症のため謎が謎を生んでしまう。
見終わった後で話を繋ぎ合わせて再チェックしなければならないという心理を利用させて、リピーターが公開当時に続出したらしい。今だと、録画したものにスキップチェックを入れておけば逆再生も簡単だし、ストーリーを把握する上ではいいのかも。
インシュリンの恐怖。妻(レナードの妻ともサミーの妻とも言える)が覚悟の上の自殺目的で時間差を利用してインシュリンを打たせる。レナードの健忘症を利用して売人を撃退しようとするナタリーの存在。自分自身の存在価値と生きる上での目的意識。メモそのものにも偽りがあるなど、色んな要素が暴露され、好奇心も刺激されるという、とんでもないストーリーだった。恐るべしノーラン監督。
なお、短期記憶障害ものとして、この作品以降は『50回目のファーストキス』など多くの作品が作られるきっかけになったエポックメイキング作品なのだろう。個人的には邦画の『ガチ☆ボーイ』(2007)が好きです。