「【”7 1/2階のエレヴェーターのドアをグイッとこじ開けて入るオフィスの中に或る穴。そして人形の使いの夢。”今作は映画観賞履歴の中でもベスト3に入るヘンテコ映画であり、何度も観ると深い作品である。】」マルコヴィッチの穴 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”7 1/2階のエレヴェーターのドアをグイッとこじ開けて入るオフィスの中に或る穴。そして人形の使いの夢。”今作は映画観賞履歴の中でもベスト3に入るヘンテコ映画であり、何度も観ると深い作品である。】
<Caution!内容に触れています。>
■妻ロッテ(キャメロン・ディアス)に促され、渋々レスター社と言う会社に行く”人形遣いのクレイグ”(ジョン・キューザック)。
ビルに着きエレベーターに乗ると、同乗していた黒人女性(オクタヴィア・スペンサー)が慣れた感じで”7 1/2階ね!”と言うと、早業で7階を通り過ぎた瞬間にボタンを押し、備え付けの鉄棒を隙間にグイっと入れて(何度も行っているらしく、隙間がボコボコ。)ドアを開けると、そこは腰をかがめないと歩けない高さが異常に低いフロアなのである。
このシーンから可笑しいのであるが、レスター社長(オーソン・ビーン)の言っている”普通がオカシクて、オカシーのが普通”と言う擦れ違い会話から、尋常ではない会社という事が分かる。
クレイグはフロアで出会った美女マキシン(キャサリン・ターナー)をチャッカリ、ナンパしつつ、会社の備品棚の裏に開いて居た穴を見つけるのである。
その穴に四つん這いで入り、進んで行くと突然”すいーっと”吸い込まれると、そこはジョン・マルコヴィッチ(ジョン・マルコヴィッチ)の頭の中であり、彼が見ている世界を共有出来るのである。驚愕するクレイグだが、15分すると車が走る幹線道路脇の土手にドサッと落ちるのである。
【”人形遣いのクレイグ”は、その事をマキシンに告げると、彼女はそれで一儲けしようというのである。15分、200ドルでジョン・マルコヴィッチの頭の中に入れる穴】は、評判を呼ぶのだが、多くの人が腰を屈めて穴に入る順番待ちのシーンは可笑しい。
ー けれども、このシーンは人間が他人の頭の中に入りたいという願望を可視化したシーンでもあるのである。ー
その後、性倒錯者と自称するロッテも、その穴の中に入るのである。そしてジョン・マルコヴィッチの恋人になっていたマキシンと、倒錯的なセックスをするのである。ウーム。不条理だなあ・・。
自分の身体が乗っ取られている事に気付いたジョン・マルコヴィッチが列に強引に割り込み、”すいーっと”吸い込まれると、そこに展開されていたのは、ウェイトレスも、お客も、メニューも、皆が喋る言葉も、皆”ジョン・マルコヴィッチ”なのである。
ー このシーンは超有名である。不条理シーンとしても一級品の構成である。どのように撮影したのかなあ・・。クスクス。-
”人形遣いのクレイグ”は、ジョン・マルコヴィッチの頭の中に入り込み、彼を支配してジョン・マルコヴィッチは有名俳優から、人形遣いになるのである。その過程で徐々に”人形遣いのクレイグ”の人格はジョン・マルコヴィッチの人格を乗っ取って行くのである。少し怖いシーンである。マキシンも又、それに協力するのである。
だが、それに反発したロッテは、レスター社長に助けを求めるのである。レスターの正体は”穴の中で生き続ける”マーティン船長だったのである。観ていると可なり混乱してくるのである。
数か月後、 ”人形遣いのクレイグ”が乗っ取ったジョン・マルコヴィッチはマキシンと結婚するが、妊娠中の彼女は誘拐され、”人形遣いのクレイグ”はレスター社長からマキシンを助けたければ、ジョン・マルコヴィッチの身体から出て行けといわれ、逆にジョン・マルコヴィッチの身体の中には、レスター社長とその仲間達が永遠の命を得るために、入り込むのである。もう何が何だか分かりません・・。
今作では、チャーリーシーンや、ショーン・ペンも実名で登場するのもアクセントとして面白いのである。そして、8年後。見事に禿げあがったチャーリーシーンも登場するのだが、そこは本筋には関係が無い。
マキシンとロッテはお腹の中に居た”彼女達の女の子”と暮らしているのだが、女の子の中にはジョン・マルコヴィッチの中に戻ろうとしていて、胎児の中に入ってしまった”人形遣いのクレイグ”が居て、二人をプールの中から、じっと見ているのである。
<今作は私の映画観賞履歴の中でもベスト3に入るヘンテコ映画であり、何度も観ると深くて、ちょっと怖い作品なのである。
個人的な意見であるが、マア、今作は、2回観ると中々だと思います。>
