「泣かされてしまった」マレーナ SHさんの映画レビュー(感想・評価)
泣かされてしまった
過剰な演出に少なからず嫌気を覚えたけれど、見る者を惹きつけて離さない不思議な吸引力というか演出というか…何とも言えない魅力が、最後まで飽きることなく、しかも最終的には涙を催す結果となってしまった。
のぞき趣味、エロ、子供じみた仕返しや悪さ、ギャーギャーわめき散らすだけの喧嘩などなど、とにかく見ていて嫌になる演出が多くて、何度見るのを断念しようとしたけれど、それをも上回るモリコーネの音楽と切なく悲しげな美しい映像が、ぐいぐい自分の心を引き込んでいった。
デフォルメされ過ぎと感じる本筋も、歴史的事実とうまく絡めることで、全くの絵空事とは思えず、むしろ過剰なその話がリアリティをもって余計に感情をくすぐるものとなっていた。
トルナトーレの眼差しというべき作品だと感じた。
最後の、ごくありふれた言葉、しかし普通そんなに多く言わないけれど、誰しもが一度は誰かに言ったことがあるはずのその台詞、その一言だけで涙がぼろぼろと流れてしまった。
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