劇場公開日 2004年7月24日

マッハ! : 映画評論・批評

2004年8月2日更新

2004年7月24日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー

「パフォーマーの身体そのものが映画であった時代」にリスペクト!

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古式ムエタイ、恐るべし。これはひょっとすると、ブルース・リー、ジャッキー・チェン以来のアクション革命、あるいは活劇映画の大転換へと繋がる作品なのかも知れない。

もっとも、構造も動作演出もギャグも初期ジャッキー映画……というか70~80年代に無数に作られた香港カンフー・アクションの応用にすぎない。しかしワイヤーワークやCGの無駄な濫用が止まらぬ現在にあって、たとえ映画的技術は拙くとも「パフォーマーの身体そのものが映画であった時代」にリスペクトすること自体、志が高いではないか。

いかにも素朴で無邪気な田舎のニイちゃんにしか見えないトニー・ジャーは、これがデビューということを差し引いても、ブルースほどのカリスマにもジャッキーほどの器用さにも恵まれていなさそうではある。だがジャーのスタントに賭ける、妄執にも近い熱情は間違いなく僕らの心をときめかせ、やがて確信するに至るはずだ。……肉体を酷使したガチンコ・アクションの新しい地平が、ついに切り拓かれてしまったことを。今後何十本、何百本の亜流ムエタイ映画が作られることになろうとも、本作の素朴にして完成された魅力が減じることはないだろう。偉い!!!!!!!!

ミルクマン斉藤

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