「男の観点から観ました」ロング・エンゲージメント きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
男の観点から観ました
わざと利き手を負傷させて、
従軍から逃れようとした男5人の物語。
女性ビューアーの皆さんは多分あまり知らないことだろうが、軍隊には
「命令は絶対」、
「敵前逃亡は銃殺」という厳しい規則がある。
アメリカ軍にも。そしてもちろん自衛隊にも。
女性は、どうなさるか?
女性だから、関係ないですね。
僕は男なので、赤紙の対象者だ。
自分が兵士として徴用されること、前線に送られること、そしてこの5人のような過酷な運命に放り込まれる可能性がある=男である=ことを、幼い時から自分の事として怯えながら想像してきた。
先の日本がおっぱじめた太平洋戦争。
徴兵忌避が最も多かった都府県をご存じだろうか
「京都府」と
「沖縄県」だそうだ。
京都は、江戸政府への反感と孤高のプライドから、
そして沖縄は、そもそも明治の廃藩置県で琉球王国を失ってからまだ日も浅く、日本国民として教育を受けた時間が、未だあまりにも短い。そしておおよそ戦(いくさ)が似つかわしくない南の国の“弱い”県民性だ。
この京都と沖縄の「徴兵忌避」体質が、国家総動員法によってどれだけ非国民としての虐げを受けたか、これは想像に難くない。
しかし、それでもなお、彼らは右手の人差し指を切り落とした。そうして引きがねを引けない障害者となり、また一升瓶の醤油を飲んで病人となって徴兵検査を免れようとしたのだ。
映画は、男=マネクにとっても、女=マチルドにとっても、ハッピーエンドではない。
「ひまわり」のソフィア・ローレンのように、探し続けた女は、そして待ち続けた女は、戦場に送られた男の数だけ、存在する。
戦争は駄目だ。
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徴兵は命かけても阻むべし母・祖母・おみな牢に満つるとも
石井百代
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ギャスバー・ウリエルは前作「かげろう」も必見。
沖縄県人は悲惨だと思います。2つの原爆も東京大空襲も悲惨ですが、1879年の琉球処分を考えると、やはり、日本への返還間違っていたと僕は思います。今年が返還50年とか言ってましたが、また、もうすぐ、琉球処分から150年ですが、たった、150年!と言う気がします。あくまでも私感です。
映画の紹介ありがとうございました。物凄く傑作な映画だと思います。今、二度目を見ています。
今晩は。
昨日、「長崎の郵便配達」を劇場で鑑賞し、今晩この作品を鑑賞し(珍しく・・。、配信はいつもは前の晩に鑑賞しています。)”ジャン=ピエール・ジュネ”はこんなに本格的な反戦映画を撮っていたんだ!”と驚きつつ、完成度に驚きました。では。返信は不要ですよ。
映画館でご覧になった皆さんにも、DVDで再鑑賞をお勧めします。
「特典」での監督ジャン=ピエール・ジュネの解説がとてもいい。
キャスティング秘話から~彼らの演技の特徴の見所を解説で是非見るべき。
監督の映画人としての才能と、製作に賭ける矜持。そしてどこを取っても鑑賞者側の納得を得られるように工夫出来る客観的視点。
・・これらは一映画好きの僕にも本作の深みを改めて発見させてくれることは当然、映画作りを学んでいる学生や助監督たちにも「教材」として金字塔になるのではないかと思います。