リトル・ダンサーのレビュー・感想・評価
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何処までも名カットが連発する素晴らしい映画
目の肥えた人にはベタなシーンばかりなのかな。私には名シーンが連発で、こんな素晴らしい映画だとは想ってもみませんでした。途中の母親からの手紙と、ミルクのシーンでお腹いっぱい胸いっぱいになったつもりが、熱い抱擁の後は背を向けたままっていう父親の心情には泣かされました。そして喧嘩ばかりしていたアニキと共に、炭鉱へと沈んでいく・・・。更にラストシーン、人に上着を取らせる一般ダンサーとの格の違いを見せつけながら、行く末をご想像にお任せすること無く、きっちり見る人の期待に応えた主人公の成長ぶりに拍手喝采です。加えて、ゲイのお友達の成長ぶりも素晴らしい。むしろ、土地柄からして主人公よりも過酷な道のりだったろうに。
踊りだすと何もかも忘れて
最初は体が硬いけど、踊りだすと何もかも忘れて、すべてが消えます。何もかも。自分が変わって、体の中に炎が……。宙を飛んでる気分になります。鳥のように。電気のように。
ダンスを踊っている時の気持ちを聞かれたビリーの言葉が、本当に美しい。ロンドンで鑑賞したミュージカル版が素晴らしく、映画版は舞台を超えられないだろうという偏見があった。今となっては、今日まで本作を見ずに生きてきたことを後悔している。
舞台は、イギリスの炭鉱町。母を亡くし、炭鉱で働く父と兄はストライキの真っ最中。全く好きになれないボクシングのレッスンに通うビリーは、近くで女の子たちが練習していたバレエに惹かれ、たちまち夢中になっていく。
暗く沈んだ家庭、父や兄との関係、ストライキにより緊張状態の街、バレエを女の子のものだと決めつける世間の目……まだ11歳のビリーは悩み、迷い、立ち止まる。しかし、踊り出すと全てが消え、自由になる。様々な苦難を超え、人々の思いをのせ、躍動するビリーの姿が胸に焼きついて離れない。心が動かされるダンスというのは、こういうものなのだろう。
ベッドの上で跳ねたり、チュチュを着た女の子の中で踊ったり。母が遺した手紙を何度も読んだのか、ウィルキンソン先生の声に合わせて暗唱したり、父と草の上を転がりながら抱き合ったり。心にそっとしまっておきたくなるような、愛おしいシーンが満載だ。そして、好きなダンスシーンが多過ぎて、ひとつに絞れない。ビリーの夢見る気持ちに照らし出された人々の表情が、心に炎を灯してくれる。厳しく、ままならない現実に押しつぶされそうになっても、ビリーのことを思い出せば、たちまちその炎は燃え上がる。
宙を翔ぶ鳥のように、舞い、踊る。
「グラディエーター」でも書いたとおり、
配信で映画を観ない私にとっては20年振りでも未見の作品のデジタルリマスター版の公開はありがたいのである。
10月30日(水)
新宿ピカデリーで23年間見逃し初見の「リトルダンサー」を。
サッチャー政権下の1984年、イギリスは不況である。
賃上げ要求でストライキ中の炭鉱労働者の父親と兄。母は亡くなっている。認知症が始まっている祖母の面倒を11歳のビリーがみている。ビリーは母の残したピアノを時々弾いている。
父から50ペンス貰って父が使っていたグローブでボクシングの練習に通っているが、ビリーはあまり気乗りしていない。ボクシングの練習場の隣で少女たちがバレエのレッスンをしている。
少女たちの動きに興味を持つビリー。
それに気付いたバレエの女教師ウィルキンソンは自分のトゥシューズを貸してビリーにバレエを教えてくれる。
(あれ、これは「ぼくのお日さま」と同じパターンか?リスペクト?)
父からの50ペンスはボクシングからバレエのコーチ料になる。
ウィルキンソンは、練習を続けて行く中でビリーの才能に気付く。
ビリーは、亡くなる前に母が18歳になったら読めと渡された手紙をウィルキンソンに見せる。11歳だけどもう空で言える程内容を覚えている。
(ビリーは母親の事が大好きだった事が判る。母も踊りが好きだった。祖母もバレエダンサーになりたかった。僕は…。)
ストは長期化し、クリスマスの頃、父は母が残したピアノを壊して薪にしてしまう。
ビリーはウィルキンソンの指導のもと上達して行き、踊り出すとビリーのエネルギーの発露となる。
ボクシングでなくバレエの練習をしている事がバレてしまう。「男がバレエ!?」父も兄も理解を示さないが、父の前で一心不乱に踊るビリーに父は何も言わない。
ウィルキンソンのビリーをロイヤルバレエ学校にと言う思いと、ビリーの踊りを観た父はスト破りで働き始める。金を稼いでビリーをロイヤルバレエ学校に行かせるために。
スト破りをした父と長男は衝突するが、ストライキは解除され、また一緒に働くようになる。
ビリーは父に連れられてロイヤルバレエ学校のオーディションを受ける。
(審査員の様子が「フラッシュダンス」のオーディションを思いださせる)
最初は固くなって上手く踊れないが、エンジンがかかり始めると審査員の目を引く動きを見せる。しかし、思うように踊れなかったビリーは控室に戻ると別の少年を殴ってしまう。暴力沙汰を起こして万事休す。
最後の面接、踊っている時の気分を聞かれたビリーは「無になります。宙を翔ぶんです。電気のように。」
結果通知が郵送されて来る。隣室で一人開封するビリー。合格だった。家族が喜ぶ。
ビリーはロイヤルバレエ学校に旅立つ。
ビリーの舞台を観に行く父と兄。時間の経過が表示されない(私の見落とし?)が、歩みが遅くなった父を長男が、急かす。
そして、舞台では父と兄が観に来た事を告げられた25歳になったビリーが宙を翔び、舞う所で映画は終わる。
(クレジットではアダム・クーパー…ビリー(25)と表示される。アダム・クーパーは世界的なバレエダンサーだそうだ。)
ビリーの背中を押す、いい味を出していたバレエのウィルキンソン先生を演じたジュリー・ウォルターズがアカデミー賞助演女優賞に、監督も監督賞にノミネートされた。
11歳の少年の頑張りは70ジジイの心にも刺さりましたぞ。
一度書いたレビューを保存し忘れて書き直した。いよいよボケジジイの領域か。レビューは想いが熱いうちに書かないとダメだな。
主人公のダンスの表現力に脱帽
ビリー役のジェイミー・ベルのダンスがとにかく素晴らしかった。さすが超厳しいオーディションを合格しただけのことはある。
自分は今までダンスを見てもあまり心が動いたことがないような人間ですがそんな自分でも、本作品の各シーンのダンスからビリーの感情を明確に映し出す「表現力」がとても力強く感じ取ることができた。
・オーディションを受けられなかった日に兄と先生に挟まれて口論をされて自分ではどうすることもできない無力感や苛立ちからくるモヤモヤした気持ち。
・父にバレエをすることを認めてもらいたいがために本気の気持ちをぶつける気迫。
・そしてバレエ学校のオーディションのダンス披露時に、(後のシーンでビリーが語っていた踊っている時の気持ちのように)最初は動きが硬いが踊っているうちに徐々に緊張などの雑念が消えていくシーンなど、ダンスで全てを表現していたのがとても素晴らしかった。
本作はダンス以外のシーンも印象に残る場面が多く、
特に父がビリーのために考えを改めてからの家族の変化や、(他の方のコメントを見て気づいたのですが)ビリー本人や他の人ができないと言ってもウィルキンソン先生はビリーに対して一度も「できない」とは言わなかったのが良かった。
舞台版?はビリー役のキャストが自分の好きなトム・ホランドが演じているらしいので機会があれば是非鑑賞したいと思った。
P.S. ジェイミー・ベルのダンスに感化されて勢いで人生で初めて映画レビューを書き上げてしまいました。
拙い文章ですがこのコメントを見て共感やこの作品を見てみたいと思っていただければ幸いです。
泣ける
たんたんとしたタッチで少年が等身大で描かれている。監督の映画に対する真摯な気持ちが分かる。サッチャー政権のイギリスが背景にきちんと描かれているのも特筆すべき点だと思う。
彼がオーディションに受かるかハラハラした。
流石に大勢から選ばれた人だけはあった。
この人のダンスを見てるとテレビ見れなくなる。
本当の踊りを見る楽しさを教えてくれた。
見せなくても好きだよ
思春期ここではない何処かへ映画、母恋いし映画、労働者映画、ジェンダリティ・セクシャリティ映画なのだが、ヤングケアラー映画でもあるのが、予想外と言えば予想外、でもそうなるよなあという。主役のビリーの表情の代わり具合がすごい。/途中までのお父さんのトキシックぶりが個人的トラウマ映画『シャイン』を思い出させ、「やめてくれよ〜」と思いながら見たけど、大丈夫だった。
母の愛と家族愛
やはり、母親の存在は大きいのだ。
父親は、心ここに在らずの日々を送り、
ただただ長男や職場の同僚とストに行く。
長男トニーはある意味純粋か?
真面目にストに励む。
次男ビリー、母が恋しい11才。
おばあちゃんのお世話を任せられながら、
時折正気に戻るおばあちゃんから、
ダンサーだったことを聞かされ、
大好きな母さんも踊ることが
好きだったことを聞かされつつ、
父親に苦手なボクシングに通わされる。
その隣でバレエ🩰の練習があるという
でき過ぎた展開❣️
そもそも、人の顔を思いっきり殴る行為、
馴染めない人はボクシング🥊できないと思います
そんなことより、
ダンスの方がバレエの方が楽しそう、と
そっちへ行っちゃう。
女の子ばかりの集団にも怯まない。
身体が自然に動くのか。
鍵を渡しに行っただけなのに、
指導する先生も先生で、
あなた邪魔よ、とか、男の子でしょ、出て行って、
とか、言わない。
言えば反対に、関係ない❗️と。
足のサイズは?と
トゥシューズを履かせてくれる。
あるがまま、なすがままに。
ただ、50ペンス持って来てね、と声かけ。
翌日から父に貰うボクシング代の50ペンスを
バレエの先生に払い
集団に混じってバレエ練習。
このウィルソン先生、見た目と違い、
なかなか熱心で見る目のある方。
高圧的な父と兄に叱られたり殴られたりする
毎日を送るビリー、寂しい。
おばあちゃんは目を離すと直ぐいなくなり。
寂しくて母のお墓参りに行くと、
なぜか汚されている。
誰のしわざなんだろう?
ビリーの親友マイケルは
女の子みたいに色白で可愛いお顔立ち。
ワンピ着て出て来た時、
女の子だと思った。
バレエしていることが父にバレてしまい、
先生と相談すると、
ロイヤルバレエ団のオーディションを受けない?
というまさかの言葉。
えっ、信じられない⁉️
先生との個人レッスンが始まる。
みるみるうちに上達して行くビリー。
だけど、ストへの警察の弾圧が強まり、
組合のリーダーの兄が逮捕され、
そのゴタゴタで
オーディションを逃してしまう。
先生が会いに来て父と対面。
父と兄にこっぴどくバレエを否定され、
先生にも失礼な態度。
先生とのレッスンはしなくなったが、
マイケルとのバレエごっこを父に見られ、
父の前で思いっきり踊り出す。
ビリーに才能があるとわかった父親は、
ウィルソン先生に掛け合い、
オーディションのことを聞き、
父親の自分が責任を持つと断言し、
信念を曲げてまでビリーの為に
金を稼ぐ道を選ぶ。
ビリーの為なら他にも方法があると
一緒に慟哭する兄トニー、
おばあちゃんも覚醒したのか。
しっかりして来た。
おばあちゃんは最初から応援、理解者。
父と共にオーディションへ。
審査員の前で踊り、最後の質問で、
踊るきっかけとなったのは?と聞かれ、
さあっ❓とだけ。
私は、母親だなと思ったけど。
踊っている時の気分は?と聞かれ、
電気みたい、何もわからなくなってしまう、と。
なぜか驚く審査員。
ビリーの合否を心配する父、兄、おばあちゃん。
旅立つ別れが辛そう。
父とトニーは、仕事再開でまた地下に潜って行く。
父と兄が普段と違うコート姿で赴いた先は?
入り口で、ビリーに家族が来たと伝言してと頼み、
座ると隣には成長したマイケルが。
時の経つのをわからせてくれる。
そして、舞台に現れたのは‥‥。
🩰やはり、ビリー少年役、ジェイミー•ベル、
幼少期よりバレエに親しむ、納得。
🩰成長したビリー役、アダム•クーパー、
世界に名だたるバレエダンサー、納得。
🥊儲けが労働者の給料よりも少ないゆえの
ストライキ。
出口の見えない日々を送る父と兄にとって、
ビリーが希望の星⭐️になって行ったのでしょう。
🇬🇧移動図書館でバレエの本をくすねる際のあの
お尻丸出し男性。どこにもいろんな人がいますね。
🇬🇧デビーちゃんのあの発言⁉️先生泣くで😱
成長したデビーちゃんも観たかった。👩🦰
マイケル、ゴッツなって、子供の頃可愛かったのに😢
しかし、父親、激しいな、
何もピアノを木っ端微塵にしなくても。
2024/10/23•24映画館で鑑賞❣️
11歳の少年ビリーが、自分を取り巻く環境の中で心が揺れながら成長していくとこが面白かった。
今から40年前、1984年、サッチャー政権下、炭鉱ストで揺れるイギリス北東部ダラム州。
パパと兄トニーは炭鉱スト中。この2人はビリーに、男は強くなくてはいけないとスパルタ式できびしい。ママは亡くなっていて思い出の中。
1 1才のビリーはパパに言われてボクシングをやらされている。だけど、殴ったり殴られたりして痛いからホントはやりたくない。そしてパパには内緒でバレエをやっている。
ビリーはロンドンのロイヤル·バレエ学校で学びたいけど、ビリー家の財政は厳しいようで、まあビンボーじゃないけど、そこまで余裕はないって感じ。
パパは、男がやるのはボクシングかサッカーで、バレエは女の子がやるものだと言ってたが、ビリーの夢を叶えるため、妻の形見を質屋で売り、スト破りまでして資金繰りする。ナイス パパ。
パパがスト破りしたのを知って驚いた兄のトニーは、炭鉱までパパを追いかける。パパと兄トニーは、最近、ストのやり方に対する意見の違いで少しギクシャクしていた。スト破りが弟ビリーの夢のためだと知って、2人が歩み寄れた場面は良かった。
車の中で、パパがロンドンに行ったことがなくて、ダラム州しか知らないみたいなことを言う。ビリーがあきれて、「ロンドンぐらい行っとかなきゃダメだよ」みたいな事を言ってたとこも面白かった。
さて、バレエ学校の面接。
ビリーのダンスは、素人から見ると上手くない。もしかしてプロから見ると、体の使い方が柔らかくてイイとか、センター軸がぶれないとか、なんか素質があるとか、伸びしろが有りあそうだとか見えるんかのう。
控え室で他の子を殴っちゃった時点で、レッドカード1発退場じゃなかろうか? とは思うが、面接はしてくれた。でも、殴ったことは選考過程での考慮に入れると言われちゃう。ムムウ。
緊張の面もちで迎えた面接も、面接官に特別な印象を残したり、殴ったことをリカバリー(リカバー?)するような言動があったとは思えんもんじゃった。
ビリーのダンスをしてるときの気持ちも、全てを忘れて夢中になれるみたい事を言っただけだ。イヤ、ビリーだけじゃなく、ここに来る子はみんなそうじゃろう。中にはバレエは素晴らしいけど日頃の厳しい訓練に嫌けがさして、いやいやバレエをやってる子がいるやもしれんが。
最後にパパが面接官に言ったことも、特に面接官の心を打つような事を言ったとは思えん。何を言ったか忘れたが、僕は、「ここに来る子のパパはみんな同じ気持ちだろう」と思った程度の内容だった。
とここまで、絶対不合格だろうと言うような悲観的な事を散々書いてきたが、映画的、物語的には(というか僕の希望として)は、ここで受かってもらわにゃ気が済まん (^^)
だから、いよいよ届いたロイヤル学校からの結果発表通知の場面。6対4イヤ9対1位の割合で、ほぼ絶対受かってるだろうと期待して見ていた。だけど、物語としては1割ぐらい落ちる可能性もあるだろうと思ってた。
ほいで、落ちてしまった場合、そのあとは一体どんな展開になるうんだろうなんて、当事者じゃない御気楽な興味もわく。
結果を見て泣くビリー。落ちたと思ってガッカリする周り一同(家族、友人、恋人)なんてのは万国共通。こんなん落ちても受かっても泣くいつもの展開で百も承知。
落ちてるかもしれないという一抹の不安を抱えながらドキドキして見ていると、ビリーの「受かった」と言うセリフ、
思わずヨシと拳を握りしめてガッツポーズ ♪ヽ(´▽`)/
ここで終わったと思ったら、成長して主役を演じるビリー。その後を知りたい人のためのサービス映像。
まあ蛇足とは言わないが、エンドロール後のオマケ映像(エンドロール前だけど)
というわけでホッコリ気分で家路につく。
次は映画館で観てみたい!
ピアノの鍵盤をぽろんぽろんと触るビリー。
写真立ての母がみつめる脇の小窓から薄日がさす。
その場所に彼の安心があるみたいだ。
母が遺したピアノを焚き木にしなければならなかったクリスマスの晩、普段は強い父が咽び泣く。
その意味をこどもにも隠せない状況は、ふとしたきっかけでバレエダンサーの道を夢みたビリーに現実の厳しさを突きつけた。
小さな炭鉱の田舎町はストに荒れ、父や兄のような労働者にとり日常はその雪のように冷たい。
ビリーの憧れの世界はその雪のように優雅な別世界だ。
それでも夢を叶えたいと奮闘するビリーと家族はたびたび衝突していく。
本当はビリーを支えたい父と兄の葛藤と慟哭もよくわかり、高齢の祖母の姿も切ないほどだ。
そんな時、ビリーに才能を感じたウィルキンソン先生との出会いがあきらめない人生を後押しすることに。
白鳥の湖をBGMに、川を越えながら先生がそのストーリーを語るシーンがいい。
未知に囲まれたこどもに世界を感じさせる言葉が好きだ。
あの頃のビリーの気持ちをどう救えるか。
それを考えられるよき理解者との巡りあいが人生の違うドアの鍵になったのだな。
やがて才能の片鱗と内面から湧く汚れなき情熱の温度を外に向けて伝える時が来た。
喜びと寂しさが混ざり合う家族の別れ際はみんなの愛が溢れている。
自分の経験も重なり胸が痛んだが、そんな思いを感じることでまたビリーは一歩成長していくのだろう。
そしてからだのなかに電気が走るような感覚で全身を躍動させる鳥のように羽ばたく、あの舞台のラスト。
軽快な音楽と明るいダンスが随所に挟み込まれ、ほとんどのカットにアクセントになる明るい色がパーンと目に飛び込む。
それはどんな世界でも、大人の手で消してはならない無垢なこどもたちの希望の色だった気がする。
未来に向かって自由に広がる世界が誰にも公平ならばどんなにいいだろう。
しかし、そうもいかない時代と環境のなかで、何に出会い誰に出会うか。
無邪気だけど芯のあるかわいいビリーを応援しながら夢中で観た。
そして私は私の立ち位置で私の人生をおもう作品にもなった。
修正済み
すべて忘れて電気みたいに
初めて見ました!何故今まで見なかったのか?と悔しくなるほど素晴らしい映画。
ビリーが怒って、悔しくて、悲しくて、どうしようもなくて踊って踊ってストリートを駆け抜けていくシーンの圧巻。マイケルと踊っていて、あ、見つかっちゃう!また、お父さんに偏見を持った目で見られる!と見ているこちらが身を縮ませたところで、もう我慢できないのだ!とばかりにお父さんの前で踊って踊って自分の全てを出すビリー。踊る彼を見て涙が溢れました。
そして、先生の元にそのまま駆けつけ「俺の息子だ、俺が面倒を見る!」と告げ、周りから揶揄られても黙々と炭鉱バスに乗り込むお父さん。それを見つけて追い縋るお兄ちゃんに「ビリーは才能がある!でもまだ11歳なんだ、夢を叶えてやりたいんだ」という姿に、またまた涙が溢れて。
お涙頂戴じゃないんです。これが心を揺さぶられるということ。セリフじゃなくて、感情がすべて映像から、ダンスから伝わってくる!
これがダンス、これぞ映画。
ビリーを取り巻く人々も、お父さん、お兄さん、お婆ちゃん、マイケル、そして、先生とそれぞれが自分の人生を生きている。ビリーの才能を見抜く先生が甘ったるい人じゃなく、タバコをスパスパ吸ってる、情熱が表に見えないおばちゃんなのも最高に良い。
何度も繰り返し見たくなる映画に出会えて最高の気分です。
感情
ほんのきっかけ
素質はきっかけ、才能は後からついてくる
努力と信念を持って
舞台は炭鉱の街ダラム
ビリーは炭鉱スト真っ最中の厳しい父と兄と痴呆の入った祖母との4人暮らし。
父からイヤイヤにボクシングを行かさせる。祖母の世話をし時折、亡き母のピアノをそっと鳴らしとてもとても狭い世界で生きている。
ボクシング場にバレエ教室が入るようになりたまたま見たビリーは音楽と共に軽やかに踊るバレエに魅せられつい共に踊ってしまう
それから彼はこっそりバレエを習いだす。
咎めることなく受け入れる先生のサンドラ
そこから彼の世界は鮮やかに色づき始める。
狭い街を軽やかにステップを踏みながら走り、バレエの本を見つつ(確かにバレエの専門用語わかんないよ…)自宅の鏡の前で、バレエ教室で、幾度もターンをし、それを達成した彼の笑顔がとても眩しい。
決してご都合主義ではなく、どこでもダンスしやっとできるようになる過程も彼のあちこちで踊るシーンできっちりその努力が伺える作りがとても良い。
作品を強く支えているのがBGM
あーー、そうそう!ここでこんなのが欲しかったのよ〜って懐かしい音楽をバリバリに流してくれるので最高にエモがすぎる。
あと、カットなども大胆かつそれぞれの背景や心情を表しているのでとても見応えがある。
ILOVE TO B OOGEが流れるシーンは踊るビリーやその家族のそれぞれのカットが流れるところなど良かった。元ダンサーの祖母が昔を思い出す様にダンスをヨロヨロするのがかわいい。
とにかく、芸コマの連続で捨てるシーンがないのでは?と思うよ。
亡き母親からの18才になった自分に宛てた手紙をサンドラと共有する。ボクシングリングに座り。
覚えるまで読み込んだ手紙。11才の彼が読んだのは自分の狭い世界を悟っていたからか?
そこでのサンドラとのやりとりとダンスで2人の絆は深まる。
個人的に好きなのはここでやりとりの前にサンドラがサンドバッグをボンっと叩いてやってくるところ。
男がやるのはボクシングで女がやるのはダンス
そんな事はないのだ。
ビリーは踊り続ける
楽しい時も辛い時も、怒りを感じる時、苛立ち
全ての感情をダンスという方法で爆発させる
後に彼は「電気」と語っているが、まさにそれなのである。
もうね、観ててずっと泣いてたのよ…
ストで兄が捕まり、オーディションの機会も逃し、父との亀裂が入るクリスマス
父は母親の形見のピアノを斧で壊し、暖炉でくべ「最悪のクリスマスだ…」
そしてビリーは友人のマイケルとダンスをしているところを目撃され、威嚇、挑戦する様に父の前でダンスを魅せつける。
父は変わる。
デモの先頭を斬って戦っていた父はビリーのためにデモをやめてしまう。
バスに乗る父を見つけて何故だ!と追いかける兄。
目を背ける父。
「ビリーには未来がある!!」
あーーーーーーーーーーーーーーーもぅ…涙腺爆発だよ…
鼻水まで出た。
影の主役は父だなぁとずっと思ってはいたけど、頑固で常に男子たる者!みたいな父がサンドラとのバトル、ピアノを叩き壊すのは亡き妻への未練。
ビリーのダンスと情熱を見て激しく心を動かされ、サンドラの援助ではなく自らのお金で息子を支えたいと願い、ストに降伏し、カンパを集める。仲間ではとても頼りになる男なことが伺える。
ビリーと共にオーディションに向かうが、本物のバレエを見た時の驚きや息子をしっかりと支える姿。漢だよっ
今まで狭い生活の中に常に合った酒とタバコに支えられ、家族が待つ中にある通知。
受け取るビリー
家族3人の心と行動がシンクロ。
受かった!
空を背景に真っ先に走りだすのは父である。
仲間の元に「受かった!!!!」
弱ったら帰っていい?
部屋は貸したからダメだ。退路を断つ愛。
バスに乗る前に父とハグ。しかも抱っこハグなのがまだ幼いビリーと父の複雑な感情が現れて良い。
11才で親元に帰れないとか怖いよ…
兄はバスを追いかける。かつてストを降伏した父を非難をしながら追いかけるのではなく、弟の未来を応援するように。
新たな未来を築いたビリーの晴れ舞台
狭い街でゲイという秘密を抱えていた親友のマイケルが綺麗になり、彼氏と共にビリーの舞台を観にくるという裏サクセスストーリーもとてもジンとくる。
少年達は飛び立つ。翼を持って
自分の好きなことのために、信念を曲げず。
出番を待つビリーの肩甲骨は羽のようだった。
過去に観た時はサクセスストーリーだと思っていたが、今回は父親に感情移入したのは己がお父ちゃん世代になったからだろうなぁ…
解らない事だらけだけどスッキリした
観る前のイメージはもっとバレエに特化した熱血系な映画なのかと思っていて、
女子と混ざってバレエをやっていくなかで生まれるジェンダー問題とか、
見て見ろよなんだあいつって同級生に指差されて笑われながらそれを見返していく展開を予想してたけど一切ない。
むしろバレエじゃなくて球技のバレーでもいいのじゃないかと思うぐらい、
映画の主役はバレエだけど結構放置されがち。
主人公のビリーも才能があるっていう雰囲気は見えるんだけど、
その辺りの説明はほとんどない。
バレエに詳しい人なら感じれるのかもしれないけど、全くの素人の私は解らなかった。
バレエ以外の部分も要素がありすぎて、
それも全部見せられて放り投げっぱなしで説明なし。
感じ取ろうにもかなり難しい。
主題おいてけぼりで、色んな要素を詰め込んで説明なしで観念的すぎて、クソ映画要素もりもりなんだけど、
最後も25歳の姿で、いや間飛ばしすぎって思うんだけどエンドロールが流れたら、バレエじゃないと駄目だったと思うし、バレエ以外の要素も絶妙なバランスで支え合って立っているように思えて、凄いスッキリした気持ちになれる。
先生の娘との会話で「見せなくてもいいけど好きだよ」とか、
父親が受かったぞって大はしゃぎで町のみんなに報告しにいくのに、あんなに受かるかなあとか言ってた町の人が全然関心示さないシーンとか良すぎて脱帽。
説明しない事で説明する事に成功している映画。
文句なしの満点の作品!
現代の格差社会を作った源流とも言うべきサッチャリズムが猛威を振るった1980年代のイギリスを舞台にしたお話でした。11歳の主人公ビリー(ジェイミー・ベル)の一家は、父親(ゲイリー・ルイス)も兄(ジェイミー・ドレイブン)も炭鉱夫という炭鉱一家でしたが、サッチャー政権による国営企業の合理化=首切り政策のあおりを受けて労働組合はストライキに突入。そんな中、ボクシングを習っていたビリーは、たまたまボクシングの練習の隣でやっていたバレー教室に惹かれてバレーを習い始め、名伯楽と言うべきウィルキンソン先生(ジュリー・ウォルターズ)に見出されてその才能を開花させていきました。
そんな本作でしたが、見所は2つ。1つはビリー役のジェイミー・ベルの名演。本作が制作された2000年当時の実年齢は14歳だったようですが、何しろ演技が素晴らしく、その上ダンスが徐々に上手くなっていく過程もリアル感満載。そのほかにも、父親や兄貴にぶっ飛ばされるのを怖れてビクビクする様や、ゲイっぽい友達と屈託なく交流するシーン、そしてロンドンのバレイ学校の受験シーンなど、本当に上手すぎる上、可愛すぎました。
2つ目の見所は、ビリーのシーンではなく、父親と兄貴の泣き崩れながらもビリーのバレイ学校行きを応援することを決意するシーン。根っからの炭鉱夫だった2人にとって、バレイなんてものは”女のやるもの”でしたが、ビリーの才能に気付いた父親が学費のためにスト破りに参加。それを見た兄貴が父親を咎めようとしたものの、父親の真意を知り兄貴も理解を示すこのシーンは、今思い出しても泣けてきます。
現実の社会問題を土台としつつ、家族の絆や少年の成長物語を描いたストーリーはもとより、ビリーをはじめとする俳優陣の演技も素晴らしく、また炭鉱の街の景色を絶妙なカメラワークで映し出していた映像も言うことなしでした。
そんな訳で、本作の評価は満点の★5とします。
不器用な父が愛おしい
ミュージカルがあるのは知っていたが映画版で初鑑賞。
バレエは女の子が習うもの、男はボクシング、昔ならではの考え方に葛藤し、怒りや頭の中の考えがいっぱいになったときに爆発したかのように踊るビリーが才能に溢れていた。
この映画はビリーはもちろん良かったんですが不器用な父と兄、祖母が凄い良い味を出していて特に最後のお別れシーンでの祖母との力強いハグに胸が熱くなりました。
【”踊っていると良い気分です。踊り出すと何もかも忘れて。とビリーは審査員達の前で言った。”今作は不況の炭坑町で生きる少年がバレエと出会い、当初反対していた父や兄の支援の下、表舞台へ旅立つ物語である。】
ー イギリスの寂れた炭鉱の町を舞台にした映画と言えば「ブラス!」「パレードヘようこそ」を思い出すが、どちらも逸品である。
そして、今作もそれに並ぶ逸品だと、鑑賞後に思った作品となった。ー
■イギリスの炭坑町で暮らす11歳のビリー(ジェイミー・ベル)。
炭坑府である父ジャッキー(ゲイリー・ルイス)の指示で嫌々ボクシングを習っていた彼は、隣の会場で偶然見かけたクラシックバレエに魅了される。
父の大反対を受けるも、ビリーは女子に混じって練習に没頭する。その上達ぶりを見て、バレエ教室の先生ウィルキンソン(ジュリー・ウォルターズ)は”ロイヤルバレエ学校”のオーディションを受けさせようとする。
◆感想
・ビリーがバレエを行う事に反対していた、炭鉱夫の父と兄のトニーが、考えを変えていく過程が心に沁みる。
ビリーがボクシング場で、父の前でバレエを踊るシーン。父はその姿を“止めろ!”とも言わず、じっと見ているのである。そして、その後、兄のトニーに”俺たちには、未来はない。だが、ビリーには未来があるんだ!”と言って、賃上げの為のストを止め、鉱山へのバスに乗り込むシーンである。
■冒頭に出るが、今作の舞台設定は1984年である。イギリスが不況に喘いでいた時期である。故に、父もビリーもストライキに参加している。
シーンに被せて流れる音楽も、ブリティッシュロックの名曲揃いである。T-レックスの「Bang a Gong」ストの光景に併せて流れるザ・クラッシュの「London Calling」スタイル・カウンシルの「Shout to the Top」などの使い方もバッチリである。
序でに、観ていて個人的に、非常に盛り上がった事も記しておきたい。映画に置いて、音楽って大切だよなあ。
・この映画では、心に沁みるシーンが、怒涛の如く描かれる。ビリーの親友であるゲイの資質を持つマイケルが、ビリーが踊る姿を憧れの眼で見ているシーン。
・そして、ビリーの父がビリーを連れて”ロイヤルバレエ学校”のオーディションに臨むシーン。ビリーは審査員の前で踊った後に、満足出来る踊りではなかったのか、同じくオーディションに来ていた少年を弾みで殴ってしまうのである。
その後の面接のシーンでの、”踊っている時は何を考えているの?”という女性審査員の言葉に、部屋を出かけていたビリーが振り返って言った言葉が、実に良い。
”踊っていると良い気分です。最初は身体が固いけれども踊り出すと何もかも忘れて、全てが消えます。自分が変わって・・、宙を飛んでいる気分になります。鳥のように、電気のように。”
その言葉を聞いて、審査員たちの表情が明らかに変わるのである。
<そして、時は経ち、父と兄は大劇場でマイケルと共にビリー(ナント!アダム・クーパーが踊っている!)が「白鳥の湖」を高い飛翔で踊る姿を見ているシーンで、画はストップする。見事なるラストであると思う。
今作は、貧しき炭鉱の町で育った少年が、自分の好きなバレエに出会い、最初は反対していた父、兄も彼を応援するようになり、成長する様を描いた逸品なのである。>
子どもは希望なんだなあ…
ビリーの才能に気づいた先生、
ボクシングの部員、婦人会、
協力してくれた町のひとたち、
バレエは女の子がやるものだと大否定していた父親、
弟を邪険に扱うがなんだかんだいなくなると寂しく思う兄貴、
みんないなければビリーはこの町で終わっていたのだろうな。
名門であろうバレエの学校の面接、あんな態度でええんや。
ロンドンまでの旅費を出してでもオーディションを受けさせようとする先生、
素質、才能を見出していたんだろうな。
ビリーのダンスを目の当たりにした父親が先生にお金はかかるのかと聞いて…。
炭鉱を閉山?にする仕事に行き…。
あんなにもストライキをしていて各方面から蔑まれても、息子の未来を考えて…。
兄貴も父親がバスに乗ってるの見つけたときはショックだったろうね。
父親のセリフ
ビリーの夢を叶えてやりたい。
ビリーのためにストライキをやめる。
才能を伸ばしてやるんだ。
ビリーはたった11歳の子供だよ。
小さな子供だ。
俺を許してくれ。
俺たちに未来が?
おしまいだ。
だが、ビリーには未来がある。
兄貴を抱きしめながら話すシーン、
まじで泣ける…。
おそらく亡くなった母親のであろうアクセサリーも売り、
町の人たちからの協力でお金をかき集めるのももう…。
あんなに邪険にしていた兄貴が、
合格後ロンドン行きのバスに乗ったビリーに向かって、
寂しいと何度も言っていたのが本当…。
ものすごくうるさくてありえないほど近い
の監督と同じと聞いて納得した。
ちょっとわかんないというか、
ここ映画に入れる?って思うことがある。
子供は希望なんだと。
大人も変われることを知った。
2024.3.31 テラサ
大好き!
どうも、この時代の設定のイギリス映画に弱いのです。
その中でもこれは秀逸。
メインは家族愛なのですが、その中で、理解してくれない父親に、一言のセリフも無く踊ってみせるシーンがあります。
これほど、無言で相手に訴える強い場面をみたことがありません。
涙が止まりませんでした。
けっして前編お涙的ではなくふふっと笑えるシーンも多いです。
決して観て損はない!
青いカーディガンを着た少女が『さようなら』
青いカーディガンを着た少女が『さようなら』それだけが良かった。
ストーリーと全く関係ないが、それだけが良かった。
全く出鱈目の話で、ストーリーに感動しようがないが、こんな馬鹿親父(ピアノを壊すなんて最低!)のDNAを受け継いだ息子が、普通に考えて、成功しないと思うし、ロイヤル・アカデミーの選考委員も何故?この子に合格を出したか。それが理解できない。『踊ると気持ちよく、頭の中が真っ白になる。』つまり、ボクシングやるのと一緒だと思うが。ボクシングやサッカーはスポーツ。バレーは芸術。その違いを説明しなければ。
首相が女性になったが、女性だから、良いと言う訳ではない。この映画の時もサッチャー、今度も女性の首相。しかし、平和には程遠い。彼女はサッチャーと同じだと思う。
今日で3回目の鑑賞になるが、今日、この映画の欠点が分かってしまった。がしかし、踊りのうまさに魅了されるのと、『グッバイ、ビリー。』『シーユー。』
初恋の少女の話。
子供が成長が親の幸せ
オーディションに行けなかった後の外で踊ってる時や、友達と遊んで見つかった後に父親前で踊っている姿ががとても楽しそうで良い。
また、父親がオーディションのお金を工面するためにスト破りに参加しようとするなど、息子を思う行動に感動できました。
あと、合否の手紙を読んだときの反応が絶妙で、合格すると思っていてもドキドキしながら見れました。実際、信じられないような嬉しいことがあると、いきなり大喜びはできないのかもしれません。
以下は気になった点です。
・父親の息子の踊りを見た後の行動が急すぎて、気持ちがついていかない。
一度家に帰って、夜に息子の寝顔を見ながら、物思いにふけるような間が欲しい。そして、翌日に先生の自宅を訪ねて、まずは先日の失礼を謝罪して欲しかったです。
・オーディションの面接で、踊っている時の気持ちを字幕だと「電気のように」でよく分からない。これは、「自由になれるんです」位の理解できる表現の方が好きかな。
・最後の舞台公演、先生と娘も登場させて欲しかった。大勢の方が盛り上がるし、先生への感謝の気持ちが伝わると思う。
以上
ビリーがバレエの道に進むのは反対の父、兄と最初から協力的なお婆ちゃ...
ビリーがバレエの道に進むのは反対の父、兄と最初から協力的なお婆ちゃん、親友。道を示してくれる先生と分かりやすい相関図から、少年らしい葛藤に苦しむビリーの姿は自分の幼い頃と重ねて見てしまった。
「遠い空の向こうに」を見たばかりだからか、炭鉱労働者を取り扱う作品は時代背景もあるのだろうが、それ以上に何となく似た雰囲気を感じてしまうのは何故だろうと思った。
半ば諦め気味のビリーと希望を持っている街の人たちとの対称的な姿勢から、試験に受かった時のビリーが口に出す前に受かったと分かる表現力でこの流れが非常に良かった。
ラストの方、ビリーの想いを汲んで協力的になる父とのじゃれあいと別れのシーンで父、お婆ちゃんの無言の抱擁には胸が熱くなった。逆境にも屈せず、自分に正直で居続ければ道は開けると学ばせてくれる作品。
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