リトル・ダンサーのレビュー・感想・評価
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いつしかお父さんの視線で観ていた
1984年のイギリス炭鉱町。ふと目にしたバレー・レッスンに魅入られて、「ぼくも踊りたい」との思いを膨らませる少年ビリーのお話。炭鉱夫の父は「男がバレーなんて」と全く理解を示しませんが、ビリーの「踊りたいんだ」の思いが清々しく現実を切り拓いて行きます。本作を支えるのはビリーの真っ直ぐさだけでなく、彼を応援するバレー教室の先生、彼にちょっと思いを寄せるおませな少女など脇の人々の豊かな人情です。
更に本作が単なる夢追い話に終わっていないのは、サッチャー政権による新自由主義的社会変革が物語の背景にしっかり描かれている事です。既に斜陽産業となりつつあった炭鉱が彼女の政策で如何にとどめを刺されたかは、『フルモンティ』『ブラス』など同じ背景から幾つもの映画が生み出されていることからもよく分かります。だから、この歳になって観ると、炭鉱ストの中で煩悶するお父さんの思いが心に響くんですよね。
でも、ラストのステージ・シーンはやっぱりウルウル来てしまったな。
ブギを踊ろう!
公開当時観て,すごく「いい映画」だったです.
絶対に観る!と決めて映画館に行った(車で5時間かけて(笑)).
(しかも,DVD持っていたけど,もうずっと前になくしてしまったし…)
こんなにいい映画だったんだあ… が一番の感想.
こんなに涙が出るるんだね… っていうくらい涙がでました.
たからもの.
ビリーの中では今も一緒にいてくれる(フレッド・アステアが好きだった)お母さん,
不器用だけどビリーをかけがえなく思っている父親,
実は見守ってくれているお兄ちゃん,
しっかり抱きしめてくれる(ダンサーになるはずだった(笑))おばあちゃん,
淡々としてるけどアツくて優しい先生,
いじらしい親友,
おませでかわいい女の子,
みんな,みーんな素敵.愛おしい.
荒涼とした町 Durham,閉塞した社会の中で,ビリー,(これがまた!)自然と身体が動き出して,リズムにのって踊りだす.
少年の心の中に蕾が芽生え,純粋な花が咲こうとしているようだった.
「先生,僕に気があるんですか(にやり)」.ビリーはニヤリが似合う.
炭鉱街の道を踊りながら走り抜けるシーン,踊らずにはいられない!「ルックバック」のよう.
そして,“白鳥の湖”を聴いたらアビゲイルが出てきそう(笑)
マーク・ボランとチャイコフスキーはおんなじくらいポップ
バンガゴーンゲリロン!で踊らない人がいるってよ。
世の中には音で体が動かない族ってのがいて、優良なバレエ音楽のコンサートでもじっとしていることを「動く族」に強要する。
白鳥の湖って、ダンスミュージックなんだぜ。
あの、趣味がサイテーサイアクの壁紙を見ると「あぁ、イギリスのド貧乏映画が始まるんだな」と思う。
そして洋画あるある。労働者階級の言葉が全然わかんない。
ロンドンのオーセンティックな人々が出てきてようやく言語的にホッとする。
さて日本だったら。パワハラセクハラモラハラ、ハラを集めて煮込んだような超田舎からやってきた猿みたいな少年が学校に入れてください、と例えば藝大あたりにやってくる。テクニックはないがずば抜けた表現力。で、試験会場で暴力沙汰。マナーババアたちがひっくり返りそうな態度(日本の「マナー」の根拠の多くがfrom UK)。
コイツに合格を出せるのは、日本だと映画の中にだってない。
親子の愛情だの叙情的なカメラワークだのの前にお話が成立しない。
さんざん田舎町の体を張った(=警察沙汰な)スト破りを見せつけといて、最終的に芸術の包容力許容量で落とすという、え?熊谷哲也ってあんなとこで戦ってたの?と逆に驚愕してしまった。
素晴らしいラスト
いやぁ、良い映画でしたねぇ。
これ、2000年公開のイギリス映画なんですよね?
私は今回のリバイバル公開まで一切この作品のことは知らなかったレベルの不勉強者なもんで、今さらこれ観て「良い映画でした」なんてみっともないことを映画好きなら言ってちゃいけないんだけど。
良い映画でしたねぇ。
当初は勝手に「スポ根もの」みたいなイメージを持って観始めてみたら、これはこれは。
バレェの知識なんかこれっぽっちもない私にとって、彼のダンスがどう良いのかはよく分からない。
でも確かに良いのです。
いわゆる「バレエ音楽」というのではなく、イギリスらしいグラムロックにのせて躍動する、ビリーの少し小さい、それでもエネルギーに溢れた身体。
※このあとストーリー書きますのでご注意ください。
お父さんの前で初めて披露するダンス。
大人たちが過去に縛られ、今の生活に汲々とする中で、子供たちは新しい扉を開き、着実に一歩を踏み出していることを目の当たりにする。
少しだけ理解が進んだ父親の支援を得てオーディションを受けたビリーは、ついにバレエスクールへの入学の権利を手にする。
一気にハッピーエンドかと思いきや。
ビリーの才能を見いだしたウィルキンソン先生には、(当初父や兄が失礼をはたらいたこともあったからなのか)ちゃんと喜びやお礼を伝えられないという「ほろ苦」。
そしてビリーの旅立ちの日。
お互いが寂しさを抱えて多くを語らない家族の中で、一番近くにいて一番遠かった兄の「I MISS YOU」。
でもこの言葉はビリーには届かないという「ほろ苦」。
私も耐えきれずオロロロロロォン、と泣いていると、さらに数年後にシーンが進む。
ついにビリーの主演舞台。
白鳥の湖のおそらく「オデット姫」を、男性として任され、ステージに登場する直前の舞台袖。
背が伸び、筋肉の隆起したその後ろ姿の凛々しさと美しさにまたオロロロロロン。
主人公もさることながら、私はやはり父親にひどく感情移入してしまった。
ビリーのために、妻の形見に手を付ける苦しさ。仲間の非難覚悟で組合活動に背を向け、自ら日常に帰っていくその姿。
夢を叶えることは、誰かが何かを犠牲にすることかも知れない。
その苦労があるからこそ、目の前の主人公が輝くんだな。
ここで登場する炭鉱労働者もイギリス社会においてはマイノリティ。
そのマイノリティの中でまた格差や差別や分断がある。
ラストのステージは、それが芸術を通して融和していく素晴らしいシーン。
もう語りたいことが溢れてくるのでこの辺で。
とにかく観てください。
良い映画なので。
惚れてしまう
ちょっとやそっと
やっぱり素晴らしかった
映画館で予告が始まって、(既視感あるな〜リトル・ダンサーのリメイクかなぁ〜?)なんて思ったりしてたら、なんとリメイクじゃなくて正しくリトル・ダンサー∑(๑º口º๑)!!
そしてデジタルリマスター版だ
なるほどなるほどリバイバル上映だ
映画館でやるんだぁー
素敵やん
観に来るわ絶対(*ˊ˘ˋ*)
リトル・ダンサーを観たのは20年以上前ということになるのか
私が観たのは劇場ではなく、レンタルだったと思う
すごくいい映画で、好きな映画でオススメでもあったと思うけれども
あまりの年月が経っていたので思い出すまで時間がかかった
今日初めて観るに等しい
でも観ているうちにみるみるよみがえってきた
そう、無理やり父親にやらされるボクシングでなく、バレエに魅了され、自然にバレエに惹き込まれるビリー
父親からボクシングのレッスン料として50ペンスもらうが、内緒でバレエに費やしてしまうほど夢中になるビリー
そんなビリーに素質があることを見出したウィルキンソン先生もビリーのレッスンに力が入る
けれどビリーがボクシングではなくバレエのレッスンを受けていたことを知った父親からは猛反対を食らわされる
バレエは女のやるものだとも
父親から反対される→
バレエを辞めなくてはならない→
でもバレエをやりたくてたまらない→
でも父親から反対された→
そんなやり切れない思いでさえ、とにかくダンスで、身体を打ち付けるが消化しきれないぐらいやり切れない
ビリーにバレエのオーディションを受けさせたいウィルキンソン先生は何とかビリーの家族を説得しようとするが、今度は兄貴までもが猛反対
諦めることができないビリーとウィルキンソン先生は内緒でレッスンを続け、オーディションを目指すことに
頭ごなしにビリーのバレエを反対していた父親も、ただ闇雲に反対してたわけではないのだ。炭鉱労働者の権利を主張する為ストをしていても、長いストの生活もいつまで続くのか。だが、自分や家族を守るため続けなければならない
愛する妻を亡くしたことも彼を苦しませていたのだろう
ビリーはなんと言っていか分からないがとにかくダンスが好きだということを言葉ではなく、全身全霊を込めたダンスを父親に見せつけることでその情熱を表現した
そして父親は気付かされ、そして父親は変わる
まだ11歳のビリーの夢を叶えるために変わるのだ
ここからが父親の武器用な愛情が溢れ出し、家族でビリーを応援することになる
とても心が温かくなる作品
頭の中がストでいっぱいだった兄貴も、実はすごい弟思いだったし、ちょっとボケかかってたおばあちゃんは自分の夢と重ね合わせていつでもビリーの味方だったし、何よりもお父さん。辛いこと大変なことで上手くいかない嘆きも全部押し込んで、心が荒みそうだったが、大事なことに気づき素晴らしい父親の愛情が見て取れた。
そしてウィルキンソン先生の辛口だが淡々としたやり取りが、とても愛情深かった。
24年前?の作品で、今で言うLGBTがこんなにも自然に表現されていたことに改めて素晴らしいと思った
とにかく最初から最後まで素晴らしい素敵な作品。映画館で鑑賞させて頂けて本当に良かった
2000年の映画…
時代にとらわれない名作
ザ・イギリス映画
ビリーの実在感
ぜんぶがすき
ダルドリー自身の11歳を加味した逸品
スティーブン・ダルドリーの長編映画デビュー作をようやく観ることができた。噂に違わぬ名作だった。
1984年、イングランド北東部の炭鉱町、母を亡くし炭鉱労働者の父と兄、そして認知症の祖母と暮らす11歳の少年ビリー・エリオット(ジェイミー・ベル)。
バレエ教室の先生(ジュリー・ウォルターズ)にダンサーとしての才能を見いだされ、彼女の熱心な指導を受けることに。
のっけからT. Rexのアルバム「電気の武者」に爆上がりする。84年に何故71年の「電気の武者」?と思ったらダルドリーは自分と同じ60年生まれだった。
そう、我々がビリーと同じ11歳だった71年の空気をもきっちり注入した逸品。
単なるサクセスストーリーでないところも好きだった。
ビリーの物語と並行して描かれる炭鉱労働者たちのストにサッチャー政権下の影を重く落とした。この重さがこの作品に特別なものを加えた。
エリオットの成長=父や兄との関係性の改善
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