リトル・ダンサーのレビュー・感想・評価
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公開から24年目にして、改めてリマスター版でビリーの跳躍を浴びる喜び
名作は色あせないというが、この映画は今なお驚くほどフレッシュだ。主人公ビリーが近所を徘徊する祖母の手を優しく引くとき、ふとバレエガールズのステップに目を奪われるとき、はたまた父の前で渾身のダンスを披露するとき、全ての瞬間に言い知れぬ瑞々しい感情が迸り、彼が躍動するたびに無性の喜びが胸を勢いよく貫いていく。また、本作は当時の炭鉱町が見舞われた社会状況や、現代に通ずるテーマ性、いかに自分の情熱を周囲に伝えるかといった通過儀礼、さらにはビリーが放った電気に触発されたかのように父もまた一途な行動に打って出るところなど、縦に横にと織り込まれた魂のドラマに改めて感嘆せずにいられない。誕生から24年。面白いもので歳を重ねた分だけ、私はビリーだけでなく他の大人キャラたちへの理解や共感も深まったように思えた。1度目でも、2度目でもなく、かくなる年月を経た今だからこそ味わえる感動がきっと数多く見つかるはずだ。
ラスト一瞬のために
この映画を見る為に何度も劇場に足を運ぶのはアダム・クーパーの登場する一瞬を見るため。その為に何度も見てるのに、何度見ても涙が止まらない。
現在の映画は社会問題を無理矢理詰め込んだ感がわかりやすくてそこまでしなくても焦点は1つでいいのに・・・と良く思う。
けどこの映画は何個も詰め込まれてるのにぜんぜん押し付けがましくなく、全てに共感出来る。
音楽もキャストも背景も全てが調和している映画だと思う。
クラッシュ
は、けっこう聞いていたのに、歌詞の意味や背景を考えたことがなかった。炭鉱不況のことは知識として知っていたはずなのに。「ロンドン・コーリング」が強烈だった。
予想していた話と全く違った骨太な話だった。
とてもよかった。
おれが持つんだ!!
映画.comで旧作をレビューすることは、今となってはかなり珍しくなったけど、劇場鑑賞したので載せておくことに。
見たい見たいと思いながらなかなか見れずにいた今日、デジタルリマスターとしてまさかの再上映!ということでようやく見ることが出来た。ストーリー自体はありがちな展開で、中盤あたりまでは良くも悪くも普通、のめり込むほどハマることは出来なかったんだけど、後半に差し掛かっていくあたりから最後まで、ずーーっと目頭が熱くなり、感動と興奮で胸がいっっぱいになってしまった。名作に良きお父さんあり。家に帰ってからも、"あの"名シーンは何回も繰り返し見ちゃうくらい、お父さんの行動に心動かされちゃうんだよねぇ...。
ビリーがバレエと出会うあの様は、先月ベスの映画「ぼくのお日さま」と酷似。この映画にインスパイアされたんだろうなぁ、と冒頭で感じていたら、それ以降も境遇や展開が非常に似ており、このタイミングで本作が公開されたのはまさに奇跡と言っていい。ついでに来月には「オペラ座・白鳥の湖」が上映されるって言うんだから、今年は完全なるリトル・ダンサー・イヤー。いやぁ、すごい年だ。
個人的には「ぼくのお日さま」の衝撃が強すぎたがあまりに、この映画にはあの作品以上の感動を得ることは出来なかったんだけど、口に出さない、語らない美しさという面では本作は心ズタズタになって、全身に響いて止まなかった。
重要なシーンを身体で表現してみせる。説明するよりまず行動。あのシーンのビリーには、労働者問題のストライキを全力で行う父と兄に似たものを感じる。「わたしはプロになれたの」と豪語するおばあちゃんと言い、バラバラのようだけどちゃんと家族なんだなって感じさせるところに心が温まる。
人は時に、合理的ではなく感情的に物事を判断することがある。ビビッときた!ってのがそれ。行動で示してくれたのなら、自分もまた行動で示そう。その連鎖がこの映画に大きな感動を呼んでいる。おれが持つんだ!とバッグを取り合うところとか、あぁ家族っていいなぁってしみじみと感じるよね。
恋愛シーンを入れたり、バレエが好きなことを家族以外の人達に批判されたり一切しないのが良い。自分のことが好きだったゲイの友達に対しても、ビリーは「自分はバレエが好きだけど、ゲイでは無い」と言い放ち、しかもその友達に内緒にしてくれる?と頼まれたら「もちろん」と答える。このテーマを扱っているのなら陥りがちな方向に、何ひとつとして向かっていない。家族に対しても友達に対しても、コーチに対してもバレエに対しても、どんなことでも真っ直ぐ正面から向き合うビリーの姿を見ていると、こんな風に生きたいと憧れの念を抱いてくる。
とても優しい映画。だけど、ちゃんとみんな人間的で自分らしく、自分に嘘をつかずに生きている。終わり方はベタではあるけれど、エンドロール中はシーンやセリフを思い出して、ガーッと感動が波のように押し寄せてくる。あぁ、よかったなぁ...。パンフレットもめちゃくちゃ可愛くて、総じて大好きな映画でした。映画館で見れて至極幸せでございます。
宙を飛ぶ
イギリスの田舎の炭鉱夫家族の物語
なんか「ぼくのお日さま」のホッケーよりもスケートのくだりが
今回のボクシングよりも…に似てるなあ、と思いましたね
やっぱりいつの時代もどこの国にも
男のスポーツ女のスポーツってあるよね
でもそれを認めるか認めないか、
子供を信じるか信じないかって親次第
親の気持ちで観ると複雑だけど
パパやるじゃんって感じでよかった
ビリーの演技もとてもよかったです
オススメです
父親目線
見逃していた気になる作品を劇場リマスター版化を機に漸く鑑賞。今更ながら感動です。。。
途中から想像していたのと違う展開に。父子を軸とした家族ストーリーだったんですね。もう巣立っているものの私も二人の息子の親と言うこともありずっと父親目線で観てました。共感したり、反省したり・・・そして主人公ビリーのみずみずしい感性とエネルギーに感銘。
たくさんの見せ場があるんだけど、個人的にはジェンダーを超えた親友との友情の描写がお気に入り。同じイギリス映画で私の大大大好きな「小さな恋のメロディー」のダニエルとトムとのそれを思い出しました。
公開されたのは約四半世紀前。色褪せていないですね。名作です。
スクリーンで観る価値がある
素晴らしすぎて鳥肌モノでした。
デジタルリマスター版で拝見、スクリーンで観る価値がありました。
初公開の2000年ころは仕事が忙しくて劇場に行く暇や気持ちの余裕がなく、テレビ画面でしか観たことなく、スクリーンでは初でしたが、観てよかった。
バレエダンスを踊るビリーの生き生きした表情と、全身からあふれる喜びがすごい。
ビリーを演じた子役の体幹のよさ、表情、演技すげーなー、と改めてしみじみ。
そういえば、このビリー役のジェイミー・ベル、最近は何やってんだろ?と調べたら、エルトン・ジョン自伝映画『ロケットマン』で作詞家バーニー・トーピン役だった、あのおっさんか!(時の流れは無情)と驚いたり。
ストの起きた社会背景や問題点も、この頃の英米の新自由主義を日本が真似て、40年近くかけて経済的にも文化的にも没落していった今ならわかるし。
このタイミングで鑑賞できてよかったです。
「いいんだ、誰だって怖いんだから」
炭鉱夫達の置かれた環境、ビリーの心境の変化、母を含めた家族の絆。どれも丁寧に映画らしく表現されている。
父が母のピアノを壊して薪にするところから始まるクリスマスのシーンは印象深い。特に暖炉の前での一人ひとりの描写、父の前で思い切り踊るビリーは目が離せない。
やがて成長したビリーはロイヤルバレーでプリンシパルに。これまでと見間違える様な筋骨隆々とした大きな背中と堂々たる態度。努力を積み重ねて世界トップクラスのダンサーとなった事が伝わってくる。
そして最高の見せ場を前に迎える幕切れ。もっと先を見たいという渇望が湧き上がり、思った以上に映画の世界にのめり込んでいた自分に気がつかされた。
跳躍
公開当時大ヒットしてたけど見逃していた作品。勝手に実話だと思い込んでたけど違ったみたい。
なんといってもジェイミーベルのダンスの躍動感!もどかしい気持ち、人生への怒り、父への挑戦、ダンスでこんなにも表現できるんだ。ラストのアダムクーパーの背中と跳躍のカットも感動的。
リーズの廃れゆく炭鉱とビリーの輝かしい未来の対比。跳躍するビリーと炭鉱へと降りていく兄。先生のうらぶれた中年女性っぷりもいい。人生に差し込む若い希望、応援するしかない。ストやぶりしてでも息子の未来に手を差し伸べようとする父に泣ける。
ロンドンのロイヤルバレエのシーンはおとぎの国みたいで迷い込んだような父子の戸惑いと憧れに感情移入した。
マイケルの存在とか、兄が警官から逃げながらお茶を飲むところとか、おしゃまな少女とのやりとりとか、細かい目配りも効いていて映画の楽しさがあるなぁと思った。
やはり名作、心を動かす作品とはこの作品のことを言う。
過去観た作品であったが、映画館で鑑賞するのは初めてだった。
言葉ではなく行動、ダンスで自身の未来を切り開くシーンには心を動かされるものがあり、気がつくと自然と涙が溢れていた。普段、作品を見て涙を流すことがあまりない私だが、気がつくと涙が溢れていた。そんな体験は本当に久しぶりで、心がはっきりと動かされた証なんだと思う。
思いの強さ。それを支える人々の思い。そんなメッセージを演技を含めた映像の力で表現しきった素晴らしい作品。
鑑賞動機:評判9割、たまたま1割
もうそんなに経つのか。劇場で観る機会に恵まれたことは、喜びたい。
ジェイミー・ベルありきの部分は大きいのだけれど、王道なストーリーと躍動感のある撮り方で、今でも輝いている映画だった。父ちゃん…。
なんとも瑞々しい、パッションに溢れた作品
いろんな要素を含んでいるにも関わらず、ブレのない脚本。
二分化された世界を、見事に描ききり、その溝が音を立てて埋まっていくさま。
ビリーが放つどうしようもないパッション。怒り、悲しみ、やるせなさ、無力感。それらがないまぜになった躍動が、なんだか自分の代わりに放たれているような、なんとも言えない解放感。
素晴らしい作品です。
心の底から「I miss you」が切ない。
見終わったそばから、またもう一度見たくなる、そんな作品でした。
カジュアルに、爽やかに、涙
タイトルや画像からある程度ストーリーは予想しつつも・・・
完全に良い方に予想を裏切られました!
主人公ビリー君はもちろん文句なしに主役なんですが、この作品では周りの友達や大人一人一人の優しさ、アツさ、苦悩、葛藤のそれぞれがストーリーに大事に溶け込んでいて皆んなが主役と思いました。
ビリーの苦難は最大のテーマですが
対応を試される大人のテーマでもありました
作品全体を通してもシリアスさや重さはなく、音楽までもがカジュアルタッチで、人々もサバサバしながらもちゃんとビリーに向き合っていて、、、爽やかに涙できます
そっけなくもアツく見守る先生、
アンタはイカしてるよ!
子供の夢を後押し出来る大人でありたい
名作と言われている本作、今回デジタルリマスター版でやっと観られました。
お話しはバレエの才能に目覚めた少年が、
頑固な父親や貧しい境遇に立ち向かって
本当にやりたい道に突き進むお話し。
簡単に書き過ぎだよ(苦笑)
とにかく鑑賞後感の気持ち良い映画です。
で、月に8回ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
採算が取れなくなった炭鉱が閉鎖の危機にあって、
炭鉱労働者のストライキが激化していた時代と言うのが
この映画の大きなキモなんでしょうね。
生活の糧としてこれしか生きる術が無い父親や歳の離れた兄貴と言った
荒っぽい男性性に押しつぶされそうな、音楽好きで繊細なビリー。
高齢ゆえに少々認知があやしくなり始めてる祖母の世話も
ビリーの肩にのし掛かって来てる。
結構悲惨な状況ではあるのだけど、ノリの良い音楽の使い方と、
バレエを始めたばかりで、少しでも上手くなろうと
家族に隠れてジタバタするビリーの様子が可愛くて前半は楽しく観られます。
後半になってくると、もう実質頑固なお父さんの話となり
ビリーだけでなくその家族と町の人々の話となってくる。
それ故、流石のビリーも緊張のあまり、
色々とやらかしてしまって、これは大丈夫か??
と最後までハラハラさせられてしまう。
どんな状況であっても子供の夢を後押し出来る大人でありたい。
狭い見方に固まった有害な男性性や父権性は
もうおしまいにしなくっちゃね〜〜。
イギリス映画祭
デジタルリマスターでリバイバル上映して
シネリーブル池袋で鑑賞
ダンスシーンが秀逸
ビリーエリオットから溢れ出る!
それはパッション!
お父さん役もいい
親子愛、家族愛
息子がいるお父さんは全員泣くこと必至
マイケルとの友情もいい
坂道が多い町が舞台なのでラストの
高低差をいかした別れのシーンもすごいいい!
Tレックス、スタカン、クラッシュなどのサントラもいい
合う合わない
私にはこの映画は合わなかったかな。
サクセスストーリー物が好きで評判が高いので期待して観ました。
クライマックスでは確かに活躍しますが、そこに至るまでが時間の9割を費やすので、疲れます。
最近の映画に慣れてるからなのか、せめて7割くらいの時間でサクセスして、そこから成功した後の話を展開してくれるともっと楽しめたのになーと思いました。
このなかなかサクセスしない部分が合う人には合うんでしょうね。
いつしかお父さんの視線で観ていた
1984年のイギリス炭鉱町。ふと目にしたバレー・レッスンに魅入られて、「ぼくも踊りたい」との思いを膨らませる少年ビリーのお話。炭鉱夫の父は「男がバレーなんて」と全く理解を示しませんが、ビリーの「踊りたいんだ」の思いが清々しく現実を切り拓いて行きます。本作を支えるのはビリーの真っ直ぐさだけでなく、彼を応援するバレー教室の先生、彼にちょっと思いを寄せるおませな少女など脇の人々の豊かな人情です。
更に本作が単なる夢追い話に終わっていないのは、サッチャー政権による新自由主義的社会変革が物語の背景にしっかり描かれている事です。既に斜陽産業となりつつあった炭鉱が彼女の政策で如何にとどめを刺されたかは、『フルモンティ』『ブラス』など同じ背景から幾つもの映画が生み出されていることからもよく分かります。だから、この歳になって観ると、炭鉱ストの中で煩悶するお父さんの思いが心に響くんですよね。
でも、ラストのステージ・シーンはやっぱりウルウル来てしまったな。
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