劇場公開日 2024年10月4日

「おれが持つんだ!!」リトル・ダンサー サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5おれが持つんだ!!

2024年10月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

映画.comで旧作をレビューすることは、今となってはかなり珍しくなったけど、劇場鑑賞したので載せておくことに。

見たい見たいと思いながらなかなか見れずにいた今日、デジタルリマスターとしてまさかの再上映!ということでようやく見ることが出来た。ストーリー自体はありがちな展開で、中盤あたりまでは良くも悪くも普通、のめり込むほどハマることは出来なかったんだけど、後半に差し掛かっていくあたりから最後まで、ずーーっと目頭が熱くなり、感動と興奮で胸がいっっぱいになってしまった。名作に良きお父さんあり。家に帰ってからも、"あの"名シーンは何回も繰り返し見ちゃうくらい、お父さんの行動に心動かされちゃうんだよねぇ...。

ビリーがバレエと出会うあの様は、先月ベスの映画「ぼくのお日さま」と酷似。この映画にインスパイアされたんだろうなぁ、と冒頭で感じていたら、それ以降も境遇や展開が非常に似ており、このタイミングで本作が公開されたのはまさに奇跡と言っていい。ついでに来月には「オペラ座・白鳥の湖」が上映されるって言うんだから、今年は完全なるリトル・ダンサー・イヤー。いやぁ、すごい年だ。
個人的には「ぼくのお日さま」の衝撃が強すぎたがあまりに、この映画にはあの作品以上の感動を得ることは出来なかったんだけど、口に出さない、語らない美しさという面では本作は心ズタズタになって、全身に響いて止まなかった。

重要なシーンを身体で表現してみせる。説明するよりまず行動。あのシーンのビリーには、労働者問題のストライキを全力で行う父と兄に似たものを感じる。「わたしはプロになれたの」と豪語するおばあちゃんと言い、バラバラのようだけどちゃんと家族なんだなって感じさせるところに心が温まる。
人は時に、合理的ではなく感情的に物事を判断することがある。ビビッときた!ってのがそれ。行動で示してくれたのなら、自分もまた行動で示そう。その連鎖がこの映画に大きな感動を呼んでいる。おれが持つんだ!とバッグを取り合うところとか、あぁ家族っていいなぁってしみじみと感じるよね。

恋愛シーンを入れたり、バレエが好きなことを家族以外の人達に批判されたり一切しないのが良い。自分のことが好きだったゲイの友達に対しても、ビリーは「自分はバレエが好きだけど、ゲイでは無い」と言い放ち、しかもその友達に内緒にしてくれる?と頼まれたら「もちろん」と答える。このテーマを扱っているのなら陥りがちな方向に、何ひとつとして向かっていない。家族に対しても友達に対しても、コーチに対してもバレエに対しても、どんなことでも真っ直ぐ正面から向き合うビリーの姿を見ていると、こんな風に生きたいと憧れの念を抱いてくる。

とても優しい映画。だけど、ちゃんとみんな人間的で自分らしく、自分に嘘をつかずに生きている。終わり方はベタではあるけれど、エンドロール中はシーンやセリフを思い出して、ガーッと感動が波のように押し寄せてくる。あぁ、よかったなぁ...。パンフレットもめちゃくちゃ可愛くて、総じて大好きな映画でした。映画館で見れて至極幸せでございます。

サプライズ
サプライズさんのコメント
2024年10月24日

大好きなシーンです🥰
いいお父さんとお兄ちゃんを持ったね、ビリー!

サプライズ
humさんのコメント
2024年10月23日

俺が持つんだ!のやりとり、最高でしたよね。
ビリーの幸せをかんじました。

hum