「11歳の少年ビリーが、自分を取り巻く環境の中で心が揺れながら成長していくとこが面白かった。」リトル・ダンサー マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
11歳の少年ビリーが、自分を取り巻く環境の中で心が揺れながら成長していくとこが面白かった。
今から40年前、1984年、サッチャー政権下、炭鉱ストで揺れるイギリス北東部ダラム州。
パパと兄トニーは炭鉱スト中。この2人はビリーに、男は強くなくてはいけないとスパルタ式できびしい。ママは亡くなっていて思い出の中。
1 1才のビリーはパパに言われてボクシングをやらされている。だけど、殴ったり殴られたりして痛いからホントはやりたくない。そしてパパには内緒でバレエをやっている。
ビリーはロンドンのロイヤル·バレエ学校で学びたいけど、ビリー家の財政は厳しいようで、まあビンボーじゃないけど、そこまで余裕はないって感じ。
パパは、男がやるのはボクシングかサッカーで、バレエは女の子がやるものだと言ってたが、ビリーの夢を叶えるため、妻の形見を質屋で売り、スト破りまでして資金繰りする。ナイス パパ。
パパがスト破りしたのを知って驚いた兄のトニーは、炭鉱までパパを追いかける。パパと兄トニーは、最近、ストのやり方に対する意見の違いで少しギクシャクしていた。スト破りが弟ビリーの夢のためだと知って、2人が歩み寄れた場面は良かった。
車の中で、パパがロンドンに行ったことがなくて、ダラム州しか知らないみたいなことを言う。ビリーがあきれて、「ロンドンぐらい行っとかなきゃダメだよ」みたいな事を言ってたとこも面白かった。
さて、バレエ学校の面接。
ビリーのダンスは、素人から見ると上手くない。もしかしてプロから見ると、体の使い方が柔らかくてイイとか、センター軸がぶれないとか、なんか素質があるとか、伸びしろが有りあそうだとか見えるんかのう。
控え室で他の子を殴っちゃった時点で、レッドカード1発退場じゃなかろうか? とは思うが、面接はしてくれた。でも、殴ったことは選考過程での考慮に入れると言われちゃう。ムムウ。
緊張の面もちで迎えた面接も、面接官に特別な印象を残したり、殴ったことをリカバリー(リカバー?)するような言動があったとは思えんもんじゃった。
ビリーのダンスをしてるときの気持ちも、全てを忘れて夢中になれるみたい事を言っただけだ。イヤ、ビリーだけじゃなく、ここに来る子はみんなそうじゃろう。中にはバレエは素晴らしいけど日頃の厳しい訓練に嫌けがさして、いやいやバレエをやってる子がいるやもしれんが。
最後にパパが面接官に言ったことも、特に面接官の心を打つような事を言ったとは思えん。何を言ったか忘れたが、僕は、「ここに来る子のパパはみんな同じ気持ちだろう」と思った程度の内容だった。
とここまで、絶対不合格だろうと言うような悲観的な事を散々書いてきたが、映画的、物語的には(というか僕の希望として)は、ここで受かってもらわにゃ気が済まん (^^)
だから、いよいよ届いたロイヤル学校からの結果発表通知の場面。6対4イヤ9対1位の割合で、ほぼ絶対受かってるだろうと期待して見ていた。だけど、物語としては1割ぐらい落ちる可能性もあるだろうと思ってた。
ほいで、落ちてしまった場合、そのあとは一体どんな展開になるうんだろうなんて、当事者じゃない御気楽な興味もわく。
結果を見て泣くビリー。落ちたと思ってガッカリする周り一同(家族、友人、恋人)なんてのは万国共通。こんなん落ちても受かっても泣くいつもの展開で百も承知。
落ちてるかもしれないという一抹の不安を抱えながらドキドキして見ていると、ビリーの「受かった」と言うセリフ、
思わずヨシと拳を握りしめてガッツポーズ ♪ヽ(´▽`)/
ここで終わったと思ったら、成長して主役を演じるビリー。その後を知りたい人のためのサービス映像。
まあ蛇足とは言わないが、エンドロール後のオマケ映像(エンドロール前だけど)
というわけでホッコリ気分で家路につく。