リンダ リンダ リンダのレビュー・感想・評価
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丁寧な演出と、奇跡のようなキャスティング
この映画の一番の特徴は、バンドの練習を頑張っているショットよりも、その結果として居眠りをしてしまったりボーッとしているショットのほうが多いところ。何かと「キラキラしてる」とか表現されがちだが、実際にはキラキラしているシーンは数少ない。
そして、メンバーそれぞれの主観はなるべく直接描かないようにしている。カメラは常に引いているし、4人のショットはなるべく均等な大きさになるようにしている。
クローズアップは本当に少ない。メンバーの感情を、顔やセリフで分かりやすく表現することを極力避けている。典型的なのは、ソンちゃんが初めてブルーハーツを聴いて泣くショット。ソンちゃんの表情は一切映さない。声も出さない。他のメンバーが騒ぎ出すことによって、我々はソンちゃんの茫然自失を知る。
この辺りはとても丁寧に演出されていて、余計な説明ショットや説明セリフがない。なので、我々は彼女たちの行動をひたする見守るように作品に没入し彼女たちに感情移入できる。
客観的なショットの積み重ねがあるからこそ、我々の感情が爆発する。ソンさんが深夜の体育館で1人でメンバー紹介するシーンで、ずぶ濡れになった本番の演奏で。我々はスクリーンの中に入り、バンドのメンバーになったような感情に揺さぶられる。
客観的な視点に、ときおり甲本雅裕の視点が挟まることも良かった。彼がバンドの練習を優しくのぞき見るショットは、我々の視点でもあるので立体的に共感できる。
丁寧な演出と、奇跡のようなキャスティング。時代を超えた幸せな映画。
現在青春製造中。キラキラしていて眩しかった。
主人公は文化祭の前日に急きょバンドを結成した軽音部の女子高生たち。文化祭最終日に舞台でブルーハーツを演奏するためにがむしゃらに練習に励むというストーリー。青春ど真ん中の彼女たちはまったく気づかないけれど一生における宝物が現在進行中で製造されている真っ最中を見させてもらってる気分でした。とっても眩しかったです。
登場人物で最も目を見入ってしまったのが韓国からの留学生ソンちゃんです。ひょんなことからボーカルとなるが、とにかく魅力がたくさんつまった役柄でだいすきになりました。彼女は語学勉強中のため日本語が飛び交う会話のスピードについていけないことは多かったがいつも分からないことを笑顔で誤魔化すことはなく、スンとした表情でいて芯の強さが感じられてかっこよかったです。また、練習を重ねてメンバーと打ち解けていくと本来の茶目っ気のある性格が見えてきて作中での変化も楽しみのひとつでした。
作品の演者同士の沈黙や間の取り方は最近の作品より長めに感じ、20年前だけあって感覚の違いはあるのかなと思いましたが、公開した頃には知らなかった作品、リバイバルで気になり出会えて良かったなと思える作品でした。
洗面所のトイレットペーパーの積み方が気になった
何か起きそうで何も起こらない。そんな演出がほのぼのしてて良かった。
(バンドしたいな)と思ってメンバーを集めて、みんなで大きい音を出す、それだけで最高なんだよな、ホントに。
映画の序盤で、初めての音合わせの時ドラマーの子が「(ウチラ)下手くそやな〜」みたいなことを嬉しそうに言ってる場面を観た時、そのことを強く感じた。
あのときを封じ込められたなら
女子高生と文化祭とブルーハーツ
若者たちの特権
2000年代最高レベルのオールタイムベスト青春映画
それってやる意味あるのかな。
いやー、やっぱり大きなスクリーンで見てよかったわ。
抑えた演技のなかでも表情のかすかな変化が見てとれたし、
【見てなかった】ところにも【見えてなかった】ところにも気づくことができた。
初見はいつだったか、どのサブスクでみたのかも覚えていない。
ただ、思いっきりハマった。
特典のブックレットも読みたいからと限定初版DVDをオークションで落とし
(もちろんDVDも1~2年は繰り返し見た)、
脚本家向井康介の手によるシネマノベライズもブコフで探し当てて買った。
(小説には脚本家が思っていたパーランマウムの4人の後日談がある)
DVD鑑賞時代に気に入っていたのは、この映画の空気感。
それをカタチづくったのは演出・音楽・映像トーンもあるが、
キーとなったのは4人を中心とした演者さんたちの演技だろう。
声の大きさだけで感情を表現する青春映画と違う。
で、その印象はそのままに、今回、初めてのスクリーンでの映画鑑賞。
スクリーンの大きさと真っ暗な環境だからに映画に集中できるからだろう、
全身&五感集中で映画に没入。
たとえば冒頭に書いた表情だけでなく、
ソンと恵が初めて一緒に座るバス停でのカバン2つ分の2人の距離感。
(ソンさん→ソンちゃん→ソンと呼び方が変わる4人の関係の第一歩)
最初は一番後ろから3人についていっていたソンが
3人を引っ張るように先頭になっていった心理の変化。
(一番好きなのは、講堂でひとり盛り上がって部室に帰った時に
「ソン、やるよ」と言われて部室に入る際のソンの表情)
そして台詞。
学校の裏庭でボーカルをどうするか、悩んでる3人の所へ偶然やってきた凛子が言う
「それってやる意味があるのかな」。
今回の鑑賞で個人的にこの言葉が自分にとてつもなく響いた。
うん、意味?
意味ってなんだ?どういうものだ?
萌も「あんなに練習したのに意味のないものになった」っていってた。
大袈裟な言い方をすれば、
どんな【意味あるもの】でも
自分の思いも力も及ばない(さらに言えば無関係な)力によって
【意味ないもの】に一瞬で変わるのが今の時代だ。
例えば、ウクライナやガザのように為政者が起こす戦争
(核で一瞬で意味ある地球も消されないとも限らない)。
強引すぎる為政者の移民政策で思っていた日本が日本でなくなるかもしれない。
今、人はあまりにも不安定な世の中に生きている。
それでも「それってやる意味があるのかな」に
「意味なんてないよ」といいながらも、やる。
「だいじょうぶ?」と聞かれ
「だいじょうぶじゃない」といいながらも、やる。
人はそれしかできることはないのかもしれない。
ホントあまりにも大袈裟だけど、映画を見てそんなことを考えた個人的感想。
あ、あの子が主役だったんだ…
好きな要素がいくつも詰まっていた
本作を観たような気になっていたのだが、全くの記憶違いだった。たぶん「スイングガールズ」を観ている記憶と混同していたのかも。
楽器は全くやっていないし、バンドも組んだことはない。でも、みんなと一緒に何かをやろうとすることの尊さはわかる。この映画が素晴らしいのは、試合とかコンクールとかではなく、文化祭で演奏することが目的なところだ。優劣を決めるものではないから、ある意味ゆるい。でもそのゆるさが高校生っぽくていい。
韓国からの留学生ソンの存在が素晴らしい。同じ学年であまり交流のない人をバンドに入れる違和感を、留学生であることでうやむやにする。さらに言語の問題をうまく使いつつ、ソンちゃんのそれまでの孤独とバンドメンバーとの交流の落差をうまく際立たせた脚本。この設定が本当に秀逸だと思う。
彼女たちは何かを成し遂げたわけでもなく(文化祭で演奏はできたが)、彼氏ができたわけでもなく、大人になっても続く関係を作れたわけでもない(作れたかもしれないけど)。ただ、文化祭の時期を切り抜いたかのような映像はとても尊かった。あのとき雨に降られたよねーなんて笑いながら飲む大人になっていてほしい。
細かいところで言えば、20年も前の映画だから、軽音部の部室に貼ってあるポスターも時代を感じるものばかり。The Musicのポスターとかちょっと嬉しくなってしまった。ヒロトの実弟・甲本雅裕が出演しているのも意外と粋な演出。個人的には武道館のステージから見たラモーンズはめっちゃ笑えた。本当にブルーハーツ愛、ロック愛に溢れた映画だった。素晴らしい青春映画だ。
鑑賞動機:20年経っても残ってる名作らしい8割、ブルーハーツ2割。
甲本さんが出てるの、ちょっと微笑ましい。松ケンはまだ売れる前か。
冒頭のずーっと横移動で長回しするとこ好き。ソンさんのちゃんとしてるのかちゃんとしていないのか、よくわからないところが魅力。ゆるい感じが良くもあり悪くもあり。これ数日(3、4日?)の出来事だよね。
「これが青春だ」とまでは思ないが、「これも青春だ」とは思う。
等身大な高校生活の一コマ、だからやけにノスタルジック
文化祭直前にメンバーの怪我と内輪もめでボーカルがいなくなったガールズバンド。ひょんなことから留学生ソンを加えてブルーハーツを演奏することになる。
文化祭前の非日常な高校の雰囲気、バンドのごたごた、ちょっとした恋心が描かれていて、延々と自然体なところがいい。これ、ソンが最強ボーカリストとかクセ強先輩がギターで参加とかそういう展開かなと思ったらそうじゃなくて、あくまで文化祭のためのバンドっていうのが、普通の高校生活を思い起こさせるような、等身大な映画。だからこそ、どこかノスタルジックさを感じる人が多いんじゃないかな、自分もそう。
ペ・ドゥナの、まっすぐな瞳がいいし、香椎由宇のクールな大人っぽさも魅力的。甲本雅裕さんが先生役なのも心憎いキャスティング。
こんな高校生活いいなって憧れたり、自分に高校生活を思い出して浸ったりできる作品。若さのキラキラ感が圧倒的!でもそのキラキラって、特別な行事だけではなくて日常に潜んでたよね?
映画の題名のほうが楽曲名より「リンダ」がひとつ多いのがちょっと可愛い 青春映画のド定番
🎵ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には写らない美しさがあるから
と始まって
🎵リンダリンダリンダリンダリンダ……
とリンダの連呼へ。ここは破壊力抜群で客席を総立ちにさせる魔力があります。高校の文化祭にはもってこいの名曲だと思います。
もう50年以上の前の話になりますが、私の高校のクラスメイトで地味で目立たなかった男が文化祭のワンステージで男女問わずクラス一の人気者になった例があります(ほんの一瞬の人気ではありましたが)。
曲の前半の歌詞は省略しますが
🎵たよりの自分は睡眠不足で だから
ガンバレ みんなガンバレ 月は流れて東へ西へ
ご存知の方もいらっしゃることでしょう、井上陽水の『東へ西へ』です。ステージ上の彼は 🎵ガンバレ みんなガンバレ のところで手を挙げて腕を振ってボディアクション、客席の我々も立ち上がって🎵ガンバレ のところは大合唱…… こういうのって文化祭あるあるで、そんなのは1-2日もたつと、もうみんな普通の高校生の日常に戻っているわけです。
青春とひとことで言ってみても、とことん打ち込める何かを持っている一部の人たちを除くと、みんな若さを持て余し気味でだらだらと日常に流されて過ごし、生きる目標も見いだせず、元気があるはずなのになんだかだるい、そんな時期だったような気もします。そんな中であのガールズバンドの4人は3日間だけだったけど、ステージに立って演奏を披露するという目標を持ち、それを達成して、まあ充実した時間を過ごすことができたのではないでしょうか。時間のマネジメントには大いに問題はありましたが。
彼女たち4人、暑苦しくもなく、かと言って爽やかでもなく、適当に緩くて、なかなかいい雰囲気でした。韓国からの留学生のソン(演: ペ•ドゥナ)はある意味、とばっちりというか、巻き込まれて関わったバンド活動でした。それまで日本では小学生の女の子しか友だちがいなかったみたいですが、同世代の女の子とバンド活動を通して友だちになれました。彼女が本番前夜にひとりで会場に行ってステージに立ち、無人の客席に向かってメンバーを紹介するシーンにはじーんと来ました。
さて、本番のステージが終わった彼女たちに声をかけますか。
「ドブネズミみたいに美しかったよ」
なんでもない至福
青春映画の金字塔、奇跡の一本。その通り!
初公開から20周年を記念しての上映だという。舞台は2004年、公開は2005年。
当時、僕は二度目の転職をしたばかりで下北沢に住んでいた。コインランドリーの前のお好み焼き屋、その壁にこの映画のポスターが長いこと貼られていたのを覚えている。だが結局観なかった。ブルーハーツはすでに懐かしのカラオケソングだったし、キラキラした青春映画を観ようと思う気持ちが動かなかったのかもしれない。
それが今日、60歳になってはじめてシニア割引で観る映画として選んだのがこの作品だった。久しぶりに訪れた渋谷、駅ビルの2階から上がら消えていてびっくり。
映画は予想に反して、地味で控えめだった。青春映画にありがちな友情や挫折やケンカなどで、ドラマを盛り上げようとせず、演技も演出も抑制されている。普通なら「ここを描くだろう」という場面も、場面転換して見せない。
言葉がわからないから、なんとなくバンド参加への誘いを「はい」と引き受けたペ・ドウナがブルーハーツをヘッドホンで聞かされている場面。背を向けた彼女は全く動かないで実は泣いていた。ブルーハーツに感動してしまったのである。心が動いたらやらないわけにいかない。
主人公が目的に向かって動機づけられる重要な場面でも、監督は彼女の顔を映さない。それなのに、いやそれだからこそなのか、こちらも訳もわからず泣かされてしまう。
感情が爆発するのはラストの「リンダリンダ」演奏シーン、そこだけでいいと決めたのだろう。
本番前夜、ペ・ドゥナがひとり会場を訪れる場面はまるで『ロッキー』のようで印象的だった。とにかくこの映画は出来る限り気持ちの昂ぶりを直接描かない。しかし、その周辺にある、その時にしか写せないであろう風景・情景を印象的に挿入する。それによって「いま、ここ」の一回だけの取り返せない瞬間の物語であると感じさせるし、逆説的だけど、だからこそ普遍性を獲得していると思う。
学園祭のわずか三日間に、この年代の輝きのすべてが凝縮されている。それは僕自身の高校時代とも何も変わらない。だからこそ、20年ぶりにスクリーンに甦ったこの作品は、さらに輝きを増しているのだと思う。
ベースを弾いていた関根史織は、これが最初で最後の映画出演だという。撮影の数年前、バンドBase Ball Bearの小出祐介に誘われて、ベースを触ったこともなかったのに、1年少しの練習でステージに立ったのだそうだ。脇役でありながら、とても魅力的だった。
また、物語の中心に韓国人留学生を置くという設定も大胆で、結構な冒険だったのではないか。そこにペ・ドゥナは見事にハマっていた。
青春映画の金字塔という今回のセールスコピーは、見事その通りですと認めるしかない。監督も自称する奇跡の一本は本当に素晴らしかった。
偉大なり!ブルーハーツ!
ブルーハーツが一番嫌いそうな言葉でごめんなさい🙇♂️
でもさ、やっぱりブルーハーツは最&高!
令和の今だって、、否、色んな意味で格差だ!亀裂だ!溝だ!って云ってる令和だからこそ、
ブルーハーツは殊更光輝く!✨️
«リンダリンダ»も«終わらない歌»も«僕の右手»も、
世の中から、爪弾きにされて、居場所の無い、虐げられてきたモノや誰からも見向きもされず愛されてこなかったモノへの、
哀悼歌であり、鎮魂歌でもあり、応援歌だと私は思う。
そんな詩を、青春真っ盛りのJK四人組バンドが熱唱する!
それすら最早理不尽な皮肉🤣🤣
でもね、二十年前だろうが、青っ臭い若者共が思い悩む事なんざ、大して変わらない!
オトナになった今なら、思い返して顔から火が出る様な、
クッソしょ〜もない事を、真剣に・深刻に・真面目に苦悩したからこその、
大切な今が在る、確かに在る!
世間一般に二十歳を過ぎれば否が応でも【大人】として扱われ、後は老いていくだけの人生で、
思い返せば、暗闇でも、たとえ僅かだったとしても、確かに煌めいていた青春と云う刹那。
振り返れはしても、二度とは戻ってこない惨たらしい現実を、思い知るには最高の作品です😊
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