「時代を感じるなつかしさ」リンダ リンダ リンダ こべっこさんの映画レビュー(感想・評価)
時代を感じるなつかしさ
出だしがいきなりホームビデオでとったような粗い映像で高校の放送部員による記録映像風で始まる。撮影は工業高校で撮られたようだがどこにでもあるような公立高校の雰囲気がとてもなつかしかった。最近では体育館にもエアコンが入ったり改修工事が入ったりとずいぶん小ぎれいになってしまい以前のようなおもむきのある体育館はどんどん少なくなっているのではないだろうか?
軽音楽部の部室の場面でもラジカセがパイオニアだったかソニーだったかの一時期とても流行った機種だったりでかくて最近では製造されていないだろうがいい音でなってた。そのラジカセでカセットテープを再生するのだがジッタリンジンの「プレゼント」を聞こうとしてリンダリンダが間違ってかかってしまうという話になっていた。いろんな局をいれているカセットテープならではの間違いなんだけれど今ではなつかしい。そういえばMDというメディアが流行った時期もあったがMDも無くなってしまいCDに取って代わられそのCDすらサブスクに取って代わられようとしている。
映画の中で勝手にプールに入っていたり、夜中の学校に忍び込んでバンド練習をしていたり、今の時代なら管理が進んでちょっとリアリティを欠く感じだが70年代に中高時代を過ごした自分にとってはあるあるとうなずける話になっている。
何気ないカットに映画でしか表現できない空気感が表現されていて文化祭練習ってけっこうダラダラするものでそのダラダラした時間も友だちとの貴重な時間だったりするのでこの感じあるよなと思った。
ボーカルとギターがいなくなったバンドなのだけどギターはキーボードをしていた子が猛練習でギターをすることになり、ボーカルをどうしようかという話でたまたま通りかかった韓国からの留学生にボーカルを頼むことになる展開がおもしろい。日本語の会話がおぼつかない留学生だからといって対象からはずすのでないところが高校生あるあるでいいな。
ボーカルである留学生は文化祭で日韓文化交流のための展示を先生といっしょにする準備をしていたのだがバンド活動が楽しくなり文化交流の展示物に体育館でバンドやるから見に来てと大書する場面など大人目線のあるべき文化交流より日本人生徒との普通の付き合いのほうが良いよねというメッセージにも思えてあえて批判するわけではないのだろうけどけっこうパンクな映画だとも感じた。
前に見た時はビデオを借りて見たとおもうが今回映画館で見られて良かったです。
