ラスト サムライのレビュー・感想・評価
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日本と侍を真面目に理解しようと努めたハリウッド作品
総合:75点
ストーリー: 65
キャスト: 80
演出: 85
ビジュアル: 75
音楽: 60
かつてハリウッドが描く日本と言えば、日本人から見るとわけのわからない神秘主義だったり日本人も知らない変な習慣をもっていたりとへんてこなものばかりか、或いは少し西洋と違う日本を見下したようなものが多い。本作もそうかと思って最初は少し身構えていた。多少変な部分や侍を美化しすぎるという部分はあったが、全体としてけっこう真面目に日本や侍を理解しようとしている姿勢が見られて好感が持てた。
特にいいのは殺陣。最初はスターウォーズのみたいな子供のチャンバラのようなものだったら嫌だなと思っていた。勿論ある程度は映画用の演出らしい派手な見せるための場面もあったが、だが疾走感もあるし剣道の技がそれなりに使われていて安っぽくなかった。そこらへんの日本の時代劇よりもよほど真に迫っている。
渡辺謙も良かった。洋画に出てくる日本人といえば、日本人役だから出ている日本人というのが多い。しかし松田優作以降、久しぶりにハリウッドで通用する力のある俳優がやっと出てきたというのを嬉しく思った。
物語は史実とは違うので日本人からするとこれは何が原因で戦っているのかと思う。しかしフィクションとして見れば、時代遅れになり滅び行く侍たちの魂の話としていいのではないか。公開当時アメリカにいた私は、度々これは本当の話かとか聞かれて歴史的背景を説明するのが面倒だった。だが一方で外国人から日本の歴史と侍が注目を浴びて興味を持ってもらえているという意味で悪い気はしなかった。電気製品や車じゃなくても日本が注目されつつあるのだと感じた。
この上ない美しい生き様
理解するという事に、この映画の素晴らしさが隠れている。オールグレンと彼を捕らえた勝元はお互いに理解し合っていく。インディアンを殺し名誉を自ら取下げ、落ちぶれていたオールグレンは人間を道具として見立て金で雇おうとする日本国に失望するが、家族など関係なくみんな仲間であり、文化を守り自分の道を曲げない勝元軍勢に惹かれたオールグレンが真の英雄になる、そう描かれた希望の湧く映画だ。日本国家は大村を中心に洋式文化を輸入し本来の日本文化を壊していく。そして人間を道具として扱い人々を洗脳していく。それに対する批判は今現在の日本状勢にも通ずるのではないか。自分の利益だけを考え、今までに築き上げてきた我が国の伝統や文化までもが壊されていくこの日本へのメッセージなのではないだろうか、あの剣の意味は。そして最大のポイントは勝元が送った日本へのメッセージ。それは、「いつまでも日本は日本でいてくれ」ではなく「これから先、何があっても我々は日本人であることを忘れないでくれ」。
その時、歴史は動いた…。
観終わった後、ただ『素晴らしい!』と思った。よくぞ、このようなテーマをハリウッドが取り上げてくれた。監督エドワード・.ズウィックの演出も見事!しかし同時にとても悔しかった。何故、こんな映画が日本で作れないのか?日本人としてそれが非常に…。
日本人でも果たしてどれくらいの人が、明治維新の頃の歴史をキチンと知っているだろうか。この物語自体はフィクションであるが、その背景となった時代を丹念に掘り下げ細かいディティールにまでこだわり、見事なまでに作品の中に一つの歴史として描き出している。これまでのアメリカ映画に登場する“珍妙な日本の姿”はここにはない。確かに幾つか理屈に合わない点も見受けられたが、それがほんの些末なことに感じられるほど、製作者たちがいかに真剣に“日本”というモノに取り組んだかが映画の中からひしひしと伝わってくる。この作品は、ハリウッドが“敬意”を持って“日本”を描いた恐らく最初の作品ではないだろうか。ただそれだけに、『果たしてアメリカでこれが理解されるのだろうか?』という不安を感じるのではあるが…。
日本人俳優達は、誰もがこれまでで最高の演技を見せてくれる。特筆すべきは渡辺 謙の圧倒的な存在感。彼がスクリーンに映し出されるだけで、その雄々しさに思わず涙しそうになった。ただ惜しむらくは最期のシーン。やはり“侍”として英語ではなく、日本語で逝ってほしかった。この映画で私が唯一『惜しい!』と思ったシーンだ。
サムライ魂というよりも商人魂
周囲がしきりにこの映画で泣いたと行っていたのでDVDで鑑賞。
昔から、どこか嘘くささを感じていたトム・クルーズ主演のサムライスピリットを描いた作品で、今では海外でカルト的映画扱いされてきているように思う。
さて、まずは本作の評価ですが、悪いけど、小雪や渡辺謙が英語ぺらぺらという不自然な展開を見させられて、サムライ魂なんてどうでもよくなりました。映画がつまらないとなると、どうしてハリウッドで日本を描いた作品をわざわざ撮ったのかという疑問が、映画が終わるまでの唯一の関心。
トム・クルーズの日本人気にあやかってつくったマーケティング的要素の強い作品だと思います。というか、この人の俳優としてたどってきた路線には、どこかビジネス戦略のしたたかさを感じる。そしてそれが狡猾であればあるほど、嘘くささがまとわりつくのだと思いました。
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