親切なクムジャさんのレビュー・感想・評価
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真っ赤なアイシャドウとシスターフッド
パク・チャヌクの復讐三部作のファンなので、久しぶりに再鑑賞しました。初めて鑑賞した時に思わなかったことなのに今回再鑑賞して思ったことは、クムジャさんは女性の怒りの象徴であり、真犯人は韓国家父長制度(男性優位社会)の象徴なのではないかということでした。本作はシスターフッドを描いたフェミニズム作品なのではないかと。
クムジャさんは刑務所の中でシスターフッドの中心的な人物でした。かつての聖母は、出所後に抵抗の色である真っ赤なアイシャドウを塗り、拳銃を手に入れて復讐を誓います。そして児童達の父母にも壮絶な復讐の権利を与え、実行するという実に勇ましい行動を取ります。我が子を殺害された父母をみても、母の方が俄然肝が据わっていましたよね。
そもそも真犯人の思考そのものが家父長的で、家父長が行き過ぎると弱い者への殺人も厭わなくなるというのを示唆している様に感じました。家父長制の本質にあるのは暴力なんですよね。
暴力に対してはきっちりと暴力で裁く。復讐者の虚しさは復讐者が感じるものであり、第三者が指摘するものではない。だからラストシーンでは、観客の感じ方も様々になっていると思います。
本作が上映された約20年前は世界的に現在と比較して女性差別が強く、本作の様なシスターフッド的な作品は欧州や欧米でしか発表されてなかったか、ほんの少ししかなかったと記憶しています。そんな時代の中、シスターフッドが韓国作品でしかもバイオレンスというのが驚きでした。前衛的な本作は今の韓国エンタメの盛り上がりの予兆を感じさせくれます。やはり、時を経て再鑑賞した作品は、まさかな発見がありますね。
復讐を果たした先に…
心の救済は無かった。死んだ人は帰ってこないし、後悔は消えない。これが言いたかったことなのだろうか。イ・ヨンエの清廉さとグロい復讐のギャップが本作の見どころ。冒頭は時系列が飛ぶシーンや幻想的なシーンもあり、このあたりが鬼才パク・チャヌクの手法なのだろうが、好き嫌い別れると思うし、個人的には分かりにくく、好みではなかった。
面白くなるまでに時間がかかるスロースタートな映画
序盤は時系列がコロコロ変わり、登場人物も多く相関図が分かりづらくて混乱した。さらにテンポも悪く中盤までは退屈。全体像が見えてきたのが終盤で面白くなるまでに時間がかかるスロースタートな映画だった。
演出面は音楽と人物を舐め回すようなカットが多くてくどい。オシャレな感じを出してる感が苦手かも。単純に韓国映画特有のゴリゴリの復讐系を期待してたから自分には合わないなー。
最後の処刑シーン、被害者たちでゾロゾロ殺しに行くのはシュールで面白い。警官がナイフの使い方教えたり、順番待ち中に身代金の話をしたりリアルに感じた。緊迫感あるシーンなのにコントっぽく見える。シリアスとコメディの絶妙なライン。
パクチャヌク、えげつない。
異次元だよ、この人。
悲劇の極冠だと思う
あのラストシーン、誰が思い付くよ。
周りを真っ白にしていく中で、
クムジャさんだけが白くなれず、
むしろ漆黒に染まってしまって、
もう手の打ちようがないのよな…。
けれども周りはそんな彼女を天使のように
見ているという。
こんな皮肉あるんかいな。
あと、心臓が悪いお母さん。
なに彼女の顔。もう最高だったんですが。
笑ってしまうくらい、怖かったよ。
韓国映画って音楽もいいのよなあ…。
あの曲が流れるだけで、作品のクオリティを上げるというか、高貴なものとさえ思えてくるのよ。
あと演出というのか、カメラ割というのか。
すべてに凝っていて、ワンシーンワンシーンが
贅沢なんですよ。
もうパクチャヌクだいすき。
また絶対映画作ってほしい。
なんだろう。
魅力的な人物作りがうまいのか、
それとも飽きさせない展開がうまいのか。
わからんな、全てが魅力だな。
余計に語らないのも、また良いのよ。
いや、にしても…
クムジャさんの魂は救われなかったか…。
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